017 ボクと初めての町1
初めての町はとても新鮮だった。
前世には居なかった獣人やエルフ、ドワーフなど、いろんな人が軒を連ねて商売をしていた。
エルフの作る薬屋さん、ドワーフの武器屋、獣人の精肉店に妖精の服屋さん。
そんな中でエレナさんと訪れたのは妖精の服屋さんだった。
大人から子供まで、色んなサイズの服が並んでいる。
「いらっしゃいませー」
「この子に似合いそうな服を見立ててもらってもいいかしら?」
「ふむ、猫の獣人さんですか。
サイズの自動調節はどうしますか?」
「そうね、まだ大きくなるかもしれないからお願いするわ。」
「そんな事出来るんですか?」
「出来ますよ~。
それじゃあ、取り敢えずこの辺なんかどうですか?」
取り出されたのは所謂ゴスロリと言われる服だ。
黒い下地に白のレースが施されたフリフリのワンピース…。
いきなりハードル高くないですか?
「あら、いいわね。
銀髪に似合いそうね。」
手渡され逆らう間もなく試着室に押し込まれる。
「これ、どうやって着るんですか…?」
「それはですね、背中のファスナーを開けて、こうやって、あとはファスナーを閉めれば、OKです」
あっという間に着せられて引っ張り出される。
「エレナさん…これはちょっと…」
流石に恥ずかしい…。
口には出さず目で訴えようとエレナさんを見ると、すごく見られた。
瞬きもせず凝視される。
「リリィ…貴女…」
「あ、やっぱり変ですよね。
すぐ着替えます」
試着室に引っ込もうとしたら腕を引っ張られそのまま腕の中に抱き寄せられる。
「すごくいいじゃない!
可愛いわよ!」
「ですよね!
私の見立てに間違いはなかった!」
ふふん、と鼻を鳴らしドヤ顔の妖精さん。
「この調子であと5着位、用意して!」
「了解であります!」
テンションの上がった2人にその後も色々着せては脱がしを繰り返される。
「きゃー!これも可愛い!
でもそっちも良さそう!」
「これなんかどうですか!
布の色も何種類かありますよ!」
「じゃあ、次はそっちのお願い!」
「こっちもお勧めですよ!」
「それじゃあそれと、こっちもお願い!」
「いやぁ、こっちも似合いますね!」
**************
結局下着数点と服を10着以上購入したエレナさんでした。
今は最初に着せられたゴスロリを着ている。
「なんかスースーします…。」
下半身が心許なくて内股になる…。
「次は装備よね。
リリィ、武器とか何がいいか希望はある?」
「特に何が使えるか分からないです。
でも長いのとかは無理そうですね。」
「そうなると短剣とかになりそうね。
ちょっと武器屋行きましょう。」
「何から何までお世話になります。」
「大丈夫、後でしっかり働いて返してもらうから」
エレナさん、その笑顔はチョットコワイデス…。
武器屋に入るとドワーフのおじさんが奥から出てくる。
「おう、エレナか。今日はどうした?
杖でも新調しに来たか?」
「いえ、今日はこっちの子でも扱えそうな武器をお願い。」
「ふん。獣人か。猫なら爪でも何とかなるだろ?」
「そうなんだけどちょっと訳ありなのよ」
「なら詳しくは聞かんさ。
金さえ払ってくれりゃ客は客だ。」
ぶっきらぼうな喋り方だけど、冷たい感じはしない不思議なおじさんです。
「出来れば短めで軽いものをお願いします。」
「取り敢えず、そこに並んでるの持ってみろ。
5割位の力で振り回せる重さをこっちにもってこい。」
指さした先に何本か剣が並んでる。
比較的短めのダガーからショートソードくらいの大きさだ。
持ち比べてみるとダガー寄りの真ん中より少し軽いものがしっくり来た。
「これ位がいいです。」
「なら手を見せろ。
ふむ。獣人なら身体能力は低くないだろうから2本作る。
明日にでも取りに来い。」
「ありがとうございます。」
「ありがとね。リリィ、宿に行きましょうか。」
外に出るとうっすらと暗くなり始めていた。
思っていた以上に時間が経っているようだ。
宿はギルドからそんなに離れてない場所にあった。
三階建てで一階は食堂とか酒場みたいな飲食スペースで、二階と三階が宿泊施設になっているらしい。
「一泊2人にでお願い。」
「なんだ、エレナじゃないか。
森に越してから全然顔出さねぇで。
そっちが連れか?」
入ってすぐの受付に立っているちょっと厳ついおじさんにお金を渡しながら伝えると、部屋の鍵を渡される。
「えぇ、ちょっといろいろ買出しに来たのよ。
半日で往復できるのに1人で泊まるのはお金の無駄でしょ?」
「まぁな。
食事はどうするね?」
「荷物置いたら食べに来るわ。」
エレナさんはここの御主人とは顔見知りのようだ。
手を引かれて部屋に上がる。
次回も町での買い物です。
銀髪幼女にゴスロリは正義。
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あと、本編に関係なさそうなサブキャラ視点を本編として書くか、別で書くか、是非ともご意見をお願いしますm(*_ _)m