表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫耳少女が歩く異世界  作者: 七氏
第一章 猫耳少女
1/67

001 猫耳の少女1

  日も落ちて辺りは既に暗くなっている森の中、木から木へ飛び移りながら走る。

  チラリ、と懐にしまっていた依頼書に書かれた内容を確認する。

  依頼の主な内容ははぐれた仲間の捜索依頼で、生きていれば救出、死亡していた場合は遺品の回収だ。

  依頼主は商人の護衛をしていた冒険者で、この森を通り抜ける際にモンスターの群れに襲われ逃げる途中で殿を任された仲間を探して欲しい、とギルドに依頼してきたらしい。


「この辺りのはずなんだけどな…」


  そろそろ話に聞いていたはぐれた地点なのだけど、足元に見える馬車道に目を落とすとうっすらと戦闘の痕跡が見えた。

  詳しく確認するため木から降りると、おそらく搜索対象である冒険者が倒したと思われるモンスターの死体が点々と転がっている。


  「流石にこのまま放置は不味いかなぁ…」


  依頼が出されてから既に半日程経過している。

  このまま放置すれば死体を目当てに他のモンスターが集まってくるだろう。

 

「死んでたら遺品の一部として渡せばいいか」


  ふぅ、と軽くため息をついて死体を回収しながら依頼された冒険者の捜索を開始する。

  それにしても、この馬車道は森の中にあるとはいえ、そこそこ人が通る場所でもあるのでそうそうモンスターに襲われることは無いはずなんだけどなぁ。


 死体をアイテム袋に詰めながら周囲を見回す。

  どうやら殿の冒険者は襲ってきたモンスターの撃退には成功したものの、怪我で動けないか、力尽きたかのどちらかのようだ。

 どちらにしても、戦闘の痕跡がある場所からそれ程離れてはいないだろう、と予測を立て、探索の魔術式を起動する。


  意識を集中して探索範囲を広げて行く。

  すぐ近くには反応がない。少しずつ範囲を広げて行くと馬車道から50mほど離れたところに反応があった。

  その反応が捜索対象かはまだ分からないけど、他に反応がないのでとりあえず確認しに行く。

  と言っても不用意に歩いて近づくと捜索対象じゃなかった場合面倒な事になりそうなので木の上に飛んで移動すること事にした。


  気配を殺して反応があった辺りに移動すると、男性が1人木にもたれかかって腰を下ろしていた。

  項垂れるように座っているため顔は見えない。

  体格からみて人間族か。おそらくは男性、髪の色は、所々血と泥で汚れているものの金髪と確認出来た。

  服と鎧も怪我と返り血で汚れている。

  多分この人が依頼のあった冒険者だろう。

  怪我はしているものの生きているし、このまま街まで送り届ければ依頼は達成だろう。


「お兄さん、生きてますかー?」


 と、木の上から声をかけてみる。

  突然話しかけられた冒険者は、ビクッと肩を揺らし声の主を探してキョロキョロしている。

  まぁ、そりゃいきなり木の上から話しかけられるなんて思わないよね。

  あまり驚かせても悪いので、少し離れた位置に着地して改めて


「お兄さんがカールさんですか?」


 と、確認するため聞いてみる。


 冒険者さんは突然現れたボクに驚いていたので敵意が無いことを示す為、両手を広げて見せる。

  危険は無いと判断したのか、冒険者さんは驚いて浮かしていた腰を下ろし


「あぁ、確かに俺がカールだが、どうして俺の名前をお嬢ちゃんが知ってるんだ?」


「お兄さんの仲間の人がギルドに捜索依頼を出して、それをボクが受けてここに来たんだよ」


 それだけ伝えれば充分だろう。怪我で動けなさそうなお兄さん改めカールさんのために転移の魔術符を取り出す。


「あぁ、そうだ。カールさんが倒したモンスターの死体も回収してるので街に帰ってからお渡ししますねー」


 と言いながらカールさんに魔術符を渡す。

  それじゃ帰りますかね。と内心つぶやきながら魔術符を起動する。

  え?怪我の治療?流石にそこまではサービス出来ませんよ?


  周囲の景色がぼやけて、転移特有の浮遊感が収まると少し離れたところに街の門が見える。

  カールさんに歩けるか聞いたところ、これくらいなら問題ない、と言っていたので気にせず歩く。

  今日のご飯は何にしようかなー、なんて考えながら門番のおじさんにギルドカードを提示して中に入る。


「それじゃギルドに報告に行きましょう。お仲間さんも待ってるはずですからね」


  カールさんは頷き後ろを付いてくる。

  ギルドは門からそれ程遠くないのですぐに到着しました。


「ニーナさん戻りましたよー」


 と、扉を開けて中に入ると依頼主のニーナさんが駆け寄ってくるのが見えた。

  あとはカールさんを引き渡して完了報告すれば依頼達成です。

 

感想、ご意見など随時お待ちしておりますm(*_ _)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ