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こころあつめる(仮)~烏と不思議な少女の伝奇時代冒険譚~  作者: 葉月 心之助
第六話「こころきずつく」
29/54

第三章『最凶たる悪鬼』

 二月......本当なら今頃第七話を書いてる頃だったろうなぁ......orz


 はぁ、残業の次は勉強に追われる日々か、泣けるぜ。


 それでは、はじまり~はじまり~。


「シャーシャシャシャ! 今日は無礼講やぁ! じゃんじゃん飲んで食って喚けやぁぁぁぁぁぁ!」


「何故にお前が仕切る......」


 ここは、鴨居城の宴会の間。


 城の者達が飲んで騒いでる中、上座に座しているのは、烏乃助、その膝の上にうずめ、その隣に恨めしそうに烏乃助を睨み付ける御祓姫。そして、本来なら城主である鴨居が座る筈の席に深鮫が座していた。


 日中、烏乃助、鴨居、深鮫の三人で遊郭に遊びに行く予定だったが、途中で郷見に発見されてしまった鴨居は、郷見から必死になって逃げようとしたが、隠密部隊総指揮官である郷見の足に敵うはずもなく、呆気なく捕まり、溜まりに溜まった業務を片付ける為に郷見に連行されてしまった。


 それ故、鴨居は全ての業務を終えるまでは、今宵の宴に出ることを禁じられたらしい。


「むふー」


 胡座(あぐら)をかいて座る烏乃助の膝の上に座り、烏乃助の鍛え上げられた胸板を背もたれにしてご満悦になりながら団子を頬張っていた。


「な、なんでそいつの膝の上なんかにぃ......」


 うずめを烏乃助に取られたような気分となった御祓姫は、なんとも恨めしそうにずっと烏乃助を睨んでくる。


 いつも罵詈雑言を浴びせられる烏乃助からすると、日頃の仕返しをしているような気分となり、睨みをきかせる御祓姫に対して勝ち誇ったような笑みを見せる烏乃助。


「......むきゃー!」


「おわぁ!?」


 突如、猿のような奇声を発したかと思うと、なんと御祓姫まで烏乃助の膝の上に乗ってきた。

 烏乃助はてっきり殴られるかと思っていた。


「な、なんの真似だ......?」


「ふ、ふぅんだ! うずめはアンタの事が気に入っている......それは認めるわ! でも、アンタに私の大事なうずめを独り占めさせてたまるかぁ!」


「む、むぎゅう......」


 食事中だったうずめの首に腕を回して、うずめに頬擦りしながら滅茶苦茶な事を言ってきた。


「シャーシャシャシャ! なんや兄ちゃん、両手に花やのぉぉぉぉ」


「うっせぇよ、何ニヤ付いてんだよテメーら」


 烏乃助の膝の上に可憐な少女二人が乗っているのを見て、深鮫と城の者達がニヤニヤしながら烏乃助達を見つめていた。

 もし、今この場に烏乃助の愛刀でもある鞘付き刀があったら、今頃全員叩きのめしていたかもしれない。


「......ニヤ付かれるとうっとおしい上に酒が不味くなるなぁ、だからさぁテメーらだけで勝手に騒いでろよ」


「なんやぁぁぁぁぁ? 兄ちゃん照れて......」


「ねぇから」


「シャシャ! そぉいう事にしといたるわぁぁぁぁ、あ! そや、そこの姉ちゃぁぁぁん、後で俺様の部下達も来るからよろしくぅぅぅぅ」


 深鮫は料理を運ぶ使用人の女性に話し掛けながら城の者達と共に酒を飲み。そして、皆の前でその高い身体能力を活かした奇抜な躍りを披露し始めた。


「......ふぅん、アンタの胸、中々にいい感じね」


「あぁ?」


 先程までうずめに抱きついていた筈の御祓姫が烏乃助の胸に頭を寄せながら軽く触れ始めた。


「......あれ? お前そういう奴だっけ?」


「......その、今まで色々言ってきて......ごめん」


 いきなり御祓姫が烏乃助に対して謝罪した。

 ちなみに、その隣でうずめは次々と来る料理を平らげていた。


「ほら、私さぁ、お姫様だからと言って甘やかされたくもないし、ちやほやされたくないから、あんな態度ばかりとっていたけど......アンタにはまだお礼言ってなかったわね。ありがとう」


 お礼とは、もしかして烏乃助が御祓姫と初めて会ってすぐにゴロツキに誘拐され、そこで烏乃助が(仕方なく)助けた時の事を言っているのだろうか?


 どうやら、御祓姫が普段から態度が悪い理由は、ちやほやされたくない上に、姫だからと言って()められたくないからだったようだ。


 もしかしたら、これが素の御祓姫なのかもしれない、そう思うと烏乃助は頭を掻きながら返事を返した。


「......なんだ、中身最悪かと思ったら案外可愛いところが......」


「とでも言うと思った?」


「あ?」


「ぷ、あははははは! 本気になっちゃってバッカみたい! アンタにお礼なんて言うわけないでしょ! アンタに対するお礼なんて、これで十分よ!」


「いで!?」


 そう言って、御祓姫は烏乃助の足をつねった。

 殴られるよりマシだが、地味に痛い。


「て、てんめぇ......」


 痛いけど、なんか、御祓姫らしいと言えばらしいな、と思い。逆に一安心してしまった烏乃助であった。


「あはははは......は......でも、ありがとう」


「あん? なんか言ったか?」


「言ってないわよ!」


「はぁう!?」


 またつねられてしまい、つい変な声が出てしまった烏乃助。


 取り合えずうずめも御祓姫も膝の上から降りる気配はないらしい。うずめはともかく、御祓姫は恥ずかしくないのだろうか?

 折角なので、この体勢のまま御祓姫と雑談をすることとした烏乃助。


「なぁ、以前から気になってた事なんだが、お前の父親でもある鴨居ってさぁ、最髪(もがみ)家の十二代目当主だよな?」


「ええそうよ、それがどうしたの?」


 最髪家、鎌倉時代から戦乱の時代まで出羽を治めていた『武上(むがみ)家』の臣下であったが、戦乱の頃に武上家は没落。その後を継ぐ形で、戦乱終結後に出羽を治める事となった武家である。


「......じゃあ、なんで姓が『鴨居』なんだ? 当主なら普通に『最髪』の姓でもよくないか?」


「あぁ、単純な話、父上は元々最髪家の人間じゃなく、婿(むこ)養子として最髪家に向かい入れられたの」


「ふーん、つまり、いくら婿養子とは言え、余所から来た男に最髪の姓を名乗らせたくないって事か?」


「そう、その事に私の母上が激怒して、最髪家本家に対する腹いせとして、この城を武上(むがみ)城から鴨居城に改名しちゃったの」


「え、えぇ......」


 何とも破天荒な人だと思ってしまった烏乃助であった。

 それだけ鴨居の事を愛していたのであろう。

 しかし、いくら最髪家の、強いて言えば武家の娘である鴨居の嫁の行為である城の改名なんて、そう簡単にまかり通るものなのだろうか?


「ま、その変わり父上と母上は、最髪家本家から二度と会うことを禁じられてしまったけどね」


「......そうか」


 それはそれで可哀想な話である。


「と、言ってもあの二人、月に一回こっそり密会してるからそれほど可哀想な話ではないわ」


「......」


 会える機会は少ないが、取り合えずこの二人はちゃんと会っている上に未だに愛し合っているようである。


 ......だとしても、愛する妻がいるくせに、よく仕事を脱け出して遊郭に遊び歩いてるのはどうなのだろうか?


 鴨居の身の上話は分かったので、別の話題を出してみた。


「なぁ、お前は知ってるか? こいつの父親の事」


「うにゅ?」


 烏乃助はうずめの頭に手を置いた。


 うずめの父親、正直何者なのか未だにはっきりしていない。うずめ本人に聞いても覚えていないとか、記憶が断片的とか何とかで、教えたくても教えられないようである。


 今判ってる事は、かつて、うずめの神通力の研究をしていた。鴨居とは友人で、鴨居本人は教えてくれなかった。

 そして、現在生死不明のままである。一年前、鴨居が出雲に向かった際は、うずめの父親はどこにも見当たらなかったらしい。


「さぁ? 私一度も会った事ないから何とも言えないし、父上も私には何も教えてくれなかったわ」


 結局何者なんだろうか? いずれ分かる事だと思うが。


 と、そんな事を話していると、何やら城の者達が騒がしくなった。


「ん? なんだ......て、何やってんだお前?」


「わ、悪いけど隠れさせて......」


 さっきまで膝の上に居た御祓姫が、いつのまにか烏乃助の膝から降り、烏乃助の背後に隠れていた。

 このお姫様にしては珍しい光景である。


「きっと『あいつ』だわ......」


「あいつ?」


 と、宴会の間の、烏乃助から見て正面の扉が勢いよく開いき、そこから一人の小柄な男が現れた。


「くはははははは! 余が来てやったぞぉ!」


 その男を見た途端、騒いでいた城の者達が急に静まり返ったかと思うと、急に床に散乱した酒瓶とかを急いで片付け始め、その人物の為の『道』を作った。


「ふは、ははは、流石は鴨居殿の配下達。気持ちの切り替えが早くて助かるわい」


 見た目は、女子のような美少年なのに、言動が壮年の男性のような感じであった。


 ちなみに、鴨居の配下達はその人物に対して頭を垂れているものの、皆浮かない表情であった。


「ありゃ? 旦那やないかぁぁぁぁい」


 皆が頭を垂れる中、深鮫だけはその人物に対して堂々と両手を広げながら歩み寄って行った。


「ん? 御主......確か越中の。何故(なにゆえ)、出羽に居るのじゃ?」


「そりゃこっちの台詞やでぇぇぇぇ、旦那こそなんでここに.......ぐ、はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 いきなりその人物は、深鮫の股間の金的を下から手のひらで軽く叩いた。あまりの激痛に深鮫はその場で(うずくま)ってしまった。


「これ、先に質問しとるのは余であるぞ?」


 今度は踞った深鮫の顎を蹴り上げた。


 烏乃助はこの人物が何者かよく分からないが、取り合えずかなり横暴な人物だと言うことが分かった。


「......く、相変わらずやなぁぁぁ、旦那ぁぁぁぁ、俺様がここに居る理由? そりゃぁぁぁ、あの兄ちゃんに関係しと......ぶぅ!?」


 と、仰向けに倒れていた深鮫を踏みつけながら、その人物は、烏乃助とうずめの所に歩み寄って来た。


「...... ほぉ、御主がそうか」


「......俺に用か?」


「うむ、それもあるが......ほぉ!」


 その人物は烏乃助の膝の上に座っているうずめに顔を近付け、その顔をジロジロ見始めた。


「ほぉ、ほぉ、何とも美しい童女よ。その見た目といい、この髪。まるで作り物のような美しさよ。まさに生きた芸術よな!」


「......あ、そうでしゅか。......はぐはぐ」


 ジロジロ見られた上に自らを大絶賛してくれているにも関わらず、うずめはその人物を意に介さず食事を続行していた。


 うずめに無視されたにも関わらず、その人物は今度は烏乃助に視線を移した。


「ほぉ、ほぉ、御主は目付きは悪いが、その瞳の奥に何とも綺麗な輝きを感じるのお。まさに闇を照らさんばかりの眩い魂の輝きを感じる!」


「......あっそ。......んぐんぐ」


 ジロジロ見られた上に自らを大絶賛してくれているにも関わらず、烏乃助はその人物を意に介さず飲酒を続行していた。


 二人に無視されてどう思っているのか知らないが、烏乃助の背後に居る御祓姫はくすくすと笑っていた。


「ん? 御主の背後に居るのは......」


「その前にあんた誰だよ?」


「............ぬ? 余が判らぬと申すか? 弱ったのぉ......『伸杉』!」


「え? わたくしが言うんですか?」


 伸杉と呼ばれた人物は、いつの間にか城の者達に混ざって酒を飲んでいた。


 そして、伸杉は面倒くさそうに立ち上がりながら、今烏乃助の目の前にいる人物の素性を語った。


「えぇい! その御方をどなたと心得る! 奥州陸奥が顔役! 『伏真(ふすま) 輝至(てりゆき)』様がご子息にして仙台藩藩主! 『伏真 政至(まさゆき)』様にあらせられるぞ! 貴様ら頭が高い! 控えろぉ! そしてそこの使用人の御婦人! わたくしに酒をご用意しなさい!」


「くはははは! ......て、御主が頭が高いわい!」


 と、突っ込みを入れながら政至は、近くにあった酒瓶を勢いよく投げつけて、伸杉の口に勢いよくはまり。そして、伸杉はそのまま酒瓶の中身を飲み干し、口から酒瓶を抜くと「ありがとうございます!」と、深々と頭を下げた。

 まるで漫才を見てる気分になった烏乃助。


「ま、そういうことじゃ。余は寛大故な、身構える必要はないぞ?」


「......で? 結局アンタ何しに来たんだ?」


「ん? ......おお! そうじゃったそうじゃった! 御主らに会いに来たのじゃ!」


「俺ら?」


「うむ! 単刀直入に言うぞ? 御主らは『神通力』......なる物を集めていると聞いたのじゃが......」


「!?」


 何故、政至がその事を知っているのか不明だが、だが烏乃助は瞬時に分かった。

 この男に神通力、うずめの心を教えてはいけないような気がする、と。


「......それだけじゃないんだろ? ここに来た理由は」


「む?」


 出来れば神通力の話は持ち出さないよう、烏乃助は話題を変えた。


「うむ! 確かにそうよな、その神通力以外に後二つ理由がある」


「二つ?」


「左様、一つは御主に会いたかった」


「は? 俺?」


「そう、御主は去年の葉月、鴨居殿の命を狙うあの『影隠妖魔忍軍』の魔の手を退けたと聞いてのお。それに、若狭の川の開発に貢献したり、丹波の京の町で十尺を超える鎧武者を退治したと言う噂を耳に挟んでのぉ、それで御主に興味が湧いたのじゃ!」


「ふーん」


 烏乃助は素っ気ない返事をした。

 ちなみに、この時点で烏乃助や鴨居達は、この『伏真 政至』と影隠妖魔忍軍が裏で繋がっている事は判明していない。


「そして、もう一つが......かぁ!」


「うわぁ!?」


 と、さっきから烏乃助の背後に隠れていた御祓姫に対して、政至は掛け声を上げて驚かした。


「くははは! 久しいのお、我が愛しの御祓姫よ。どうじゃ? 気が変わったか?」


「変わるかバーカ! 一辺くたばれこの年齢詐称がぁ!」


 烏乃助の背後から飛び出した御祓姫は政至に対して罵倒しながらあっかんべーをした。


「くはは、本当に照れ屋だのぉ」


「なわけあるかぁ! 何でもかんでも良識に考えるそのお花畑全開な頭どうにかしろー!」


「くは!  全ての物事を良き方向にしか考えられぬ余の思考回路は至高にして美しい頭脳なのよ! こればっかりはどうしようもない」


「......マジむかつく」


 あの御祓姫に罵倒されても動じないとは、この政至と言う男、ある意味器が大きいのかもしれない。


 と、ここで烏乃助はある事に気付いた。


「......なぁアンタ、政至って言ったか?」


「む? そうじゃが、なんじゃ?」


「......ここに来る前に人を斬ったか?」


「ほぉ! よく分かったのお! ちょいっと山賊共を余の華麗な剣技によって......」


「それだけじゃないだろ!」


 と、烏乃助にしては珍しく声を粗げて政至を睨み付けた。


「山賊つったら、出羽と陸奥の街道の連中のことだろ? あいつらの事はどうでもいい。今アンタから感じる血の臭いは......とても真新しいもの、ほんの数分前に人を斬った臭いがする。街道からここまで早くて四刻(八時間)ぐらい掛かる筈だ!」


 烏乃助の推測に対して政至は急に邪悪な笑みを浮かべた。


「......く、くくくくくかかかか、なんじゃ御主? 犬か何かか?」


「違うよ? 烏乃助は『カラス』だよ?」


 緊迫した空気になっているにも関わらず、うずめはそう訂正してきた。


「......そうかそうかぁ、だから血や死臭に敏感なのか御主?」


「!?」


 その言葉を聞いて御祓姫は血相を変えた顔となった。


「......アンタ、城の者に手を出したわね......あれだけ父上に禁じられたくせに......!」


「ん? 出しとらんよ? この城の連中には......まぁ、強いて言えば......あそこで伸びとる賊の配下共かのぉ」


 政至は冷酷な眼差しで、政至に暴力を振るわれて気絶している深鮫に視線を送った。

 あの深鮫が気を失ってしまうとは、この政至と言う男。見た目に反してかなりに実力者のようである。


「く、はは、てっきり賊かと思って勘違いしてしまったが......あの男がここに居たと分かって得心がいったわ。まぁ、結果的にこの城の通路が汚れてしまったが、致し方なし......ん? なんじゃ御祓姫よ。余が怖いか?」


「な......にを......」


「くく、無駄じゃ無駄じゃ、見えるぞぉ、強がっていても判るわ。昔、余がここの城の者を手に掛けた時もそうじゃ、御主は人の血が、死が、怖くてしょうがないなぁ?」


「あ......う......」


 いつもの強気な表情は崩さないように必死になっているが、御祓姫の動悸はとても粗くなっていた。

 強がっていても内心、この政至が怖くてしょうがないらしい。


「くく、ははははは! やはりそうか! 普段のあの『偽りの強気』なんかよりも、血に怯えるそなたの方が実に愛くるしいぞぉ」


 政至は御祓姫に向けて、その穢れた手を伸ばしてきた。


「や......めて......それ以上......来ないでっ!」


「ふはははははは! ん?」


 御祓姫に向かって伸びた手首を、烏乃助は力強く掴んだ。


「おい、あんましお姫様を泣かせるなよ、酒が不味くなる」


「ん? そうなのか? 余はこれだけで酒が美味くなるが......お!?」


 烏乃助は膝からうずめを下ろし、烏乃助は立ち上がって政至の手首を掴み、まるで刀を振るような形で踏み込み、この華奢な体を片手で投げた。


「ほぉ!? やりおるわ!」


 政至は、背中から畳に着地し、そのまま床を玉のようにゴロゴロと転がった後に立ち上がった。


「たく、アンタからは昔の『俺』と同じに臭いがして反吐(へど)が出る。アンタが何処の誰かなんて知ったことか。来いよ、血が大好きな変態が」


 烏乃助は、とても冷たい口調で政至に語り掛けながら、薄く笑っている政至に近付いていった。


「......良いのか? 余と闘り合って? 余と闘り合えば、御主の主君である鴨居殿が只では済まぬぞ?」


「関係ねぇよ、そもそも俺は鴨居に使えてる訳じゃねぇし、ましてや俺は剣士であっても侍じゃねぇ」


「ほぉ? では何故、余に立ちはだかる?」


「......あの強気で、口が開けば罵詈雑言しか出ねぇむかつくお姫様によぉ、テメェは、あんな見たくもねぇ面をさせた。それに、ここでテメェを今ここでどうにかしねぇと、後々面倒な事が起こりそうな気がするしなぁ」


「んん? そうかそうか、では御主は、先の未来に起こりうる危機の芽を摘んでおくと? くは、くはははは! なんじゃなんじゃ御主は!? そんな曖昧な理由で闘うのかや! 何とも面白き男よなぁ!」


「ま、待ってよこの馬鹿!」


 と、さっきまで怯えていた御祓姫が二人の会話に割り込んできた。


「あ、あいつに手を出したら......アンタ......アンタ仙台藩どころか......陸奥国そのものを敵に回すのよ!」


「......ふーん、それも悪くねぇな」


「は!?」


「烏乃助ー、そんな奴やっちゃえー」


「ちょ!? うずめまで!?」


 今から二人は闘うようだが、このままでは出羽と陸奥の関係が悪くなってしまうやもしれない緊迫した状況となった。


 しかし、突如として宴会の間の襖が開き、そこから鴨居本人が現れた。


「ちょっと待ったぁ! 御主ら! ここが宴会の間と分かってて闘り合う気かぁ!」


「止めんなよ鴨居、初めてこいつを見た時から気に喰わなかったんだ」


「そうか? 余は御主の事初めて見た時から気に入っとるぞ?」


「まぁ待てお主ら。ここは宴を楽しむ場。ならばそれに見合った試合をするのだな」


 と、鴨居は二人に目掛けて二本の袋竹刀を投げ、二人はそれぞれ一本ずつ掴んだ。


「あ? なんだよこれ?」


「ふはは! 袋竹刀とは、随分と真新しい物を持っているな、鴨居殿よ!」


「......今からお主らは、竹刀による模擬試合をするのじゃ。これなら何の問題もなく思う存分闘り合えるやろ?」


 どうやら、鴨居は最悪な事態を避ける為に、袋竹刀による模擬試合を二人に行わせるらしい。


「......どぉでもいいや。この死臭野郎をぶちのめせるならなんでもいい」


「ふはははは! 御主とこのような形で剣を交えられるとは、なんとも運が良いことか! では、始めようかのぉ......凶気に染まりし宴を!」


 そう言うと、政至は竹刀を構えた。


 政至の構えは体を半開に開き、こちらに切っ先を向け、切っ先と肩の高さを水平にした突撃の構えであった。


 それに対して烏乃助は、構えずに、右手に竹刀を持ち、両手を力なくぶら下げた無の構えであった。


 一見、何の力も込もっていないような構えではあるが、実は切っ先は政至の膝を狙っている下段の構えであった。


「......」


「......」


 両者、ジリジリと間合いを詰めてお互いの出方を伺っていた。


「......しゃッ!」


 先に動いたのは政至であった。


「散れい! 『霊鳥(ひざま)』!」


 一瞬、烏乃助の目を狙った突きかと思いきや、実際は烏乃助の腹部を狙った突きであった。


「甘めぇ! 『(さぎ)』!」


 その突きをかわすと同時に、政至の竹刀の切っ先は烏乃助の着物の中に入ってしまい、一瞬剣の自由が奪われてしまった。

 それとほぼ同時に烏乃助は政至の喉を狙って突いた。


「ふっ!」


 と、政至は後ろを向くような形で転換し、烏乃助の突きを避け、手に持っていた竹刀の持ち手を右手前、左手後ろから左手前、右手後ろへと持ち変えて、まるで居合のような感じで、烏乃助の着物に絡まった竹刀を引き抜くと同時に、誰もいない前方を逆袈裟斬りで斬り上げたと同時に転換して、烏乃助に向き直りながら、遠心力が付いた強力な片手正面打ちを繰り出してきた。


「そぉれ! 『青鷺火(あおさぎのひ)』!」 


「しゃぁ! ...いっ!?」


 烏乃助がその正面打ちを受けようとした途端、左肘に痛みを感じた。

 よく見ると、政至の左腕に隠れた右手が烏乃助の肘を掴み、親指で肘のツボを刺激し、その結果烏乃助の動きが一瞬止まった。

 しかし、烏乃助はそのまま、右手片手で刀を持ち、柄頭で政至の顔面を殴り付けた。


「おお!『(すずめ)』!」


「ぬぅ!?」


 『雀』、これは『影隠(かげかくれ) 鎌鼬(かまいたち)』との戦闘の際にも使用した技である。

 この技は、刀を振るうのに困難な超接近戦でも使用できるものである。


 その為、烏乃助は柄頭で殴り付けるぐらいまでに接近しているため、政至は烏乃助に正面打ちを使うことが出来ず、左の肘で柄頭による攻撃を受け、そのまま後方に一回転した後に立ち上がった。

 

「ふぃ~、それが竹刀でなければ、肘がイカれておったわ」


「......本当にこれが竹刀で残念だな~」


 と、皮肉を込めた口調で烏乃助は余裕そうに、右手に持った竹刀を肩に担いで、そのまますり足で少しずつ間合いを詰め始めた。


「くは! 御主以外と慎重よな!」


「おうよ、何せさっきの正面打ちと同時にやった肘取りみたいな奇襲をされるのは厄介だからな、それに......」


「むぅ?」


 と、烏乃助はそこで立ち止まり「くくくっ」と、小さく笑った。


「お? お? なんじゃ?」


「いや、なんつーか......アンタ自分が『美しい』と思ってねーか?」


「......? 思っとるが、それがなんじゃ? ......はっはぁん、さては御主。余の美貌に見とれたなぁ? いやいや、みなまで言う必要はない。なんせ余は生まれながらにして至高にして芸術の......」


「うん、ガキだな」


「......ほ?」


 何を言われたのか分からず、政至は一瞬硬直した。


「ガキんちょだな」


「......余は美し...」


「ガキ。アンタ歳いくつだよ? 見た目は若そうだが、本当は俺より歳いってんじゃねーの? ま、俺本人は自分の実年齢は知らねーけどよぉ」


「た、確かにそうかも知れぬが......だ、だとしたら何故余が子供なのじゃ?」


「そういうとこだよ。自分が美しいという事は自分が見えてねぇんじゃねえの? アンタ、相当醜いぜ?」


「................................く、そうか、確かに余は醜いかもな、肝に免じておこう......伸杉、余は醜いか?」


「はい、やはり見た目と年齢が合ってないところが特に」


 やはり醜いと言われたのが気になったらしく。伸杉に確認したが即答であった。


「..........よし! 御主は余の仕置きを受けて貰うぞ」


「あいさー」


 と、伸杉と会話してると思いきや、政至は一瞬で烏乃助の眼前から消えた。


「!?」


 何が起こったか分からなかったが、すぐに烏乃助は政至が何処に行ったのか判った。


「くは! 余が醜いならば! 御主をもっと醜くしてやるわぁ! 『烏天狗』!」


 政至ほいつのまにか烏乃助の頭上にまで跳躍しており、そのまま体を逆さまにした状態から真下に居る烏乃助目掛けて高速の突きの雨を降らした。


「かぁぁぁぁぁ! 『(からす)』!」


 そう来ることは分かっていた烏乃助は突きの攻撃範囲から逃れ、そのまま空中にいる政至を畳が凹んでしまうほどの強力な踏み込みから繰り出される正面打ちで叩き落とした。


「ぐぬぅ!」


「続けて『川鷺(かわさぎ)』!」


 政至は烏乃助の剣を受け、そのまま床に叩き付けられるよりも早く政至に前蹴り、その蹴った足が床に付くと同時に再び畳が凹む程の踏み込みから強烈な突きを突いた。


「おぉう!?」


「「うわぁああああ!?」」


 烏乃助の突きを受け流している最中、烏乃助が踏み抜き裏返った畳や、畳の破片が二人の闘いを観ている城の者達に向かって飛んだ。


「うわー烏乃助メチャクチャ~」


「そ......うね......」


 烏乃助の闘うさまをうずめは呑気に見つめる中、その隣で御祓姫は浮かない顔をしていた。


 そして、ようやく床に着地した政至はすぐさま構え、烏乃助の次の攻撃に備えた。


 政至がとった構えは、竹刀を右手に持ち、段中(乳首)の高さで右手を心臓の前、竹刀を横笛のように水平にした奇妙な構えをとった。


「く、くかかかか! やはり御主は面白き男よな! 是非とも余の配下になって貰いたかったわ!」


「繋げて......」


「じゃが、次の一手で仕舞いじゃ! 四凶が一柱、悪神にみいられし奥義!」


「第八羽の奥義『夜烏(よがらす)』!」


「『檮木兀(とうこつ)』!」



「まぁたくもぉ、折角の宴が台無しじゃ」


 そう文句を垂れながら鴨居は城の者達と共に烏乃助と政至との闘いで荒れに荒れた宴会の間の後片付けをしていた。


「シャーシャシャ! しっかし残念やぁぁぁぁぁ、大事な部下の大半が政至の旦那に殺されてもうたしぃぃぃぃぃ、俺様越中に帰れへんわぁぁぁぁぁ」


  そう言いながら深鮫は、一人だけ酒を飲んでいた。


「ま、なんだ深鮫よ。暫く帰れないなら帰れる準備が整うまでワシの所に居るか?」


「かっ! そぉさせて貰うわぁぁぁぁぁ」


「......あーそうそう、深鮫よ。お主はあの試合の勝敗どう見る?」


「んあ? ......分からんのぉぉぉぉ、結果から見たら政至の旦那の勝ち、だと思うがぁぁぁぁ、本人は納得いっとらんだなぁぁぁぁぁ」


 一時間前。


「ぐっはぁ......あぁ.. ....!!」


「.......が......は......」


 結果は相討ち、互いの奥義が交錯し、二人はその場で方膝を付いた。


「ぐっ! ......御、主ぃ! 手を抜きおったなぁ!」


「は......が......」


 いくら竹刀とはいえ、互いの体に傷は負っていないとはいえ、やはり奥義による衝撃は凄まじかったようである。


「抜.......いて......ねぇよ......」


「嘘付け......余の事散々醜いと言ったくせに......御主が一番醜いわ!」


「......」


「なんぞそれは!? いくらこれが模擬試合とはいえ.....御主から『殺気』が感じぬ! 竹刀を手にする前もそうじゃ! 御主本当に剣士か!? 何故御主から殺気を感じぬ!」


 政至は両の膝を振るわせながら、政至は立ち上がり、怒号のような叫び声を上げた。


「......正直......言って......俺は昔に比べて......弱くなったと......思う.......だが......昔の俺が持っていた強さは......『道具』としての......強さだ......人としての強さじゃねぇ! ......ぐっ、げほ、げほ!」


「......御主......何を言っておる.......?」


「昔の俺なら......それで良かったと思ってる......でも、道具だった俺に......人としての強さを......見せ付けやがった......馬鹿がいる......その時......気付いたんだ......俺が欲しかった強さは......力は.................」


 最後まで言い切れず、烏乃助はその場で気を失った。


「烏乃助!」


 倒れた烏乃助に走り寄ったのはうずめであった。


「......く、は、ははははははは! あーははははははははは! まさか、御主のような男がまだこの泰平の世の日本に居ったか......はぁ、やはり来て良かった」


 政至は満足そうな笑みを浮かべながら、倒れる烏乃助に近付いていった。

 それを見てうずめは政至の前に両手を広げて立ち塞がった。


「もう......烏乃助をイジメないで」


「......いいや、イジメる」


 そのままうずめと烏乃助の元にゆっくり近付く政至。しかし、背後から鴨居が政至の肩を掴んで止めた。


「......伏真のとこの坊っちゃん。此度の凶宴は終いじゃ」


「......か、冗談じゃ。もう御主らに危害は加えぬし。今後、御祓姫にも手を出さぬ」


「何?」


「......鴨居殿よ。折角の宴を汚してすまなかった。今すぐ消えるわい......」


「そうか」


「......ところで、つかぬ事を聞くが、鴨居殿。そこの童女と神通力......まさか例の『真実』と関係あるのかや?」


「......なんのことだ?」


「とぼけるのぉ、本当は知っとるんじゃろ? 何故自分が影隠の者に命を狙われたのか、あやつらが何の目的で動いているのかも知っておる筈じゃ」


「ほぉ、面白い冗談を言うな。坊主」


「......ま、よいわい。何故そなたが神通力なるものを集めておるかは知らぬが......それ以外にも気を付けるべき事があるぞい?」


「......なんだよ? まったく、相変わらず何考えてるか分からん奴じゃ。はよぉしてくれ、お主の肩を握り潰してしまうやもしれん」


 まだ掴んだままの政至の肩にほんの少し力を込める鴨居。


「ふは、怖い怖い。......『逢魔の落日』」


「!?」


「ふは、血相を変えたな? ま、そういうことじゃ、では帰るぞ伸杉」


「.......え? もう帰るんですか......」


「帰るんじゃ......あ、そうじゃ」


 と、鴨居が肩を掴んでいたはずなのに、政至は瞬時に姿を消し、いつの間にかうずめの背後に立ち、気絶し倒れている烏乃助の鼻から垂れる鼻血を指で絡めとり、それを口に運んだ。


「ん.......ちゅぱ、ちゅぱ、くくく、くははははははは! やはり御主の血は美味よなぁ! ではまた会おう諸君!」


 そう言って、ようやく政至は立ち去った。


 そして、時は戻る。


「なぁ、兄ちゃんはどぉしたんや?」


「んー、あの後部屋に込もってしまったのぉ、負けたのが悔しかったのか......」



「はぁ、くそ」


 六畳くらいの部屋の中で、烏乃助は仰向けになりながら天井を眺めていた。


「......おい」


「......」


「......いるんだろ?」


 と、烏乃助は天井に向かって独り言を呟いた。

 すると、天井から聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「......これはこれは、落ち込んでるところを失礼したでござる」


「......やっぱお前か『鎌鼬』」


「ぬぅふっはぁ!? ち、違うでござる! 拙者は鎌鼬ではないでござる! あの男は半年前に死んだでござる!」


「......じゃあ、お前は鎌鼬ではない別の誰かってことにしといてやるよ」


「か、かたじけない」


 どう考えても、今天井裏にいる男は去年の葉月に闘った『影隠 鎌鼬』のような気がするが、本人が否定するならば、鎌鼬ではないのであろう。


「で? なんの用だ?」


「あ、いやその......もしかして、烏乃助殿が元気がないのは、先の試合に負けた事ではなく、先程の『伏真 政至』とかつての『自分』を重ねてしまった事でござろうか?」


「......なんだ、俺の事調べたのか?」


「いやはや、申し訳ない事をしたと思ってはいるでござるが、鴨居様の御命令だった為でござる。烏乃助殿がどのような生き方をし、そして、『黒爪 烏乃助』を名乗るようになった経緯まで......」


「そっか」


「あ、あれ? 怒らないでござるか?」


「怒る? 何でだよ? 別に自分の過去を調べられたぐらいで何とも思ってねぇよ。怒るどころか逆に感心してるぜ?」


「ござ?」


「対した情報収集能力だ。さすがは元影隠八鬼衆の忍者だな」


「ふぉう!? だから違うでござる!」


「ふっ......伏真 政至。アイツの剣は常に血に飢えていた。昔の俺だ」


「......」


「ま、俺はアイツ程変態じゃないがな」


「......烏乃助殿。実は━━」


「『烏乃助』。最初この名前を貰った時さぁ、すっげぇダサいと思った。だって烏乃助、『烏がさきに助ける』だぜ? 俺に全然似合わねぇよ......そう思うだろ? うずめ」


「......」


 烏乃助がうずめの名を口にすると、部屋の襖が静かに開き、そこからうずめが現れた。


「盗み聞きか?」


「そんなことしない。烏乃助が心配だったから様子見に来ただけ」


「あ、では拙者はこれで失礼するでござる」


 そう言い残し、天井裏にいた男はどこかに行ってしまったようである。


 と、うずめが急に仰向けとなる烏乃助に(また)がったのである。


「......んだよ」


「......『烏乃助』。私はこの名前、好きだよ?」


「好き? ......妙な事言うなお前、今のお前に『愛』なんてないだろ?」


「それでも好きなものは好きなの! ......こちょこちょこちょぉ」


「ぶあっははははははは! て、何しやがるお前! ぶっ!?」


 急に脇腹をこちょがされて顔を上げる烏乃助。その烏乃助の頬を、うずめは両手で挟み込むように掴んだ。


「烏乃助。私、もっと烏乃助の事を知りたい」


「......いいがぁらばなぜぇ(いいから離せ)」


「ねぇ、聞かせて? 烏乃助はどうして『烏乃助』になったの?」


「だがらぁばなぜぇ......(だから離せ)」


 今、うずめは烏乃助から、『黒爪 烏乃助』になるまでの経緯を聞こうとする場面に直面しているわけだが、当の烏乃助は今うずめによって変な顔になっていた。

 何とも今の雰囲気に似合わない変顔である。


「......あ、そうだ思い出した」


「ば?(は?)」


「烏乃助、今から一緒にお風呂入ろ?」


「んん!?」


 急に何を言い出すんだと思った烏乃助。それと同時に天井から激しい物音が聞こえたような気がしたが、気のせいだろう。


「ちょ、ちょっと待ってうずめ!」


 部屋の襖が開くと、そこから今度は御祓姫が入ってきた。


「も、もしあなた達が一緒に入るなら......私も入る!」


 なんだこれ? なんだこの状況? こいつら酔ってるのか? 最早訳が分からなくなった烏乃助は......



 数刻前。


 江戸、城下町。


「な......そんな......」


「くっくっくぅ、そういうこったなぁ、鈴鳴の(せがれ)


 人通りが全くない裏道。そこに鈴鳴と高見魂の二人が対峙していた。


「そ、そんな事、信じられるわけねーだろ!」


「......信じる信じないはお前の自由だ。だが、お前は重要な事を知っちまったわけだ。これで、もうお前を......生かしておく理由がなくなったなぁ」


「な!? て、てめぇ、まさか最初っからそのつもりで......」


「あったりめぇだろぉ? 元々その『矢』は俺達が所有するものだったのに......『鈴鳴 鉄国』の奴がそれを拒みやがったからなぁ......あの時の後始末もかねて、お前を殺すことにしよう、鈴鳴の倅」


 それと同時に高見魂は抜刀した。


「......悪いが、俺は死なねぇ! アンタが烏乃助の兄ちゃんの師匠だろうが知ったことかぁ!」


 何がどうなってこうなったのか、それは二刻前に遡る。



  第六話「こころきずつく」第四章『真実の代償』に続く。




 なんか、勉強ばっかりしてるせいか、なんか、今回はちゃんと書けたような気がまったくしない......。

 そもそも、イラストの画力上がらねー(泣)

 取り合えず、次回は鈴鳴編と混浴回です。


 それでは、次回をお楽しみに~......

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