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ダイエットして俺はジョニーデップになる!!

 目覚めて最初に俺の頭に浮かんだ言葉。


『彼女がほっすぃ!!』


 そうだ!!

 ほっすぃのだ!!

 俺の原始の精神が叫んでいるのだ、シャウトしているのだ。

 もうがまんできなぁ〜い、ケロッグコーンフロストなのだ。


 俺の心は走り出したら止まらない暴走特急だ。

 おっと、特急は言い過ぎかもしれん。

 せいぜい急行くらいにしておくべきが妥当か?


 かわいい女の子というデカイ駅にのみ停まるんだぜ。

 微妙フェイスという名の小さい駅になんてとまらねえぜ!!


 いやいや、それでも結構マニアックに俺の好みにはまった場合はオッケーだな・・・・・・

 

 俺は己のつくりだした理想の女の子像にニンマリと笑みを浮かべた。


 一人暮らしの部屋でニヤニヤする26歳男子というものは

 かくもまぁ変態チックに見えるものだ。

 今目の前に鏡などをおかれたら、軽く鬱にはいりそうな気がしないでもない。


 ともかく善は急げ。

 恋は急げ。

 愛は急げ。

 

 ともかく急げ。


 なのだ。


 俺はおもむろに一張羅に着替えると街に飛び出した――りなんかはしない。

 街でナンパ?

 そんな恥ずかしい真似ができるか!!

 こちとらこう見えてもシャイなんだよ。

 赤い彗星のシャイなんだよ。


 まぁ訳のわからん事はおいておいてだ。

 ナンパはしたくないが彼女はほっすいぃ。

 別段今好きな女の子もいないが彼女はほっすぃ。


 そうきたか・・・・・・

 そうきましたか、俺・・・・・・・

 われながらなんてワガママなんだ俺・・・・・・


 しかし俺の辞書に後退の文字はない。

 前に進むのみである。


 俺はおもむろにポッケから携帯電話を取り出した。

 ふふふふ、なんと頼もしいアイテムのことよ!!

 携帯電話のアドレス帳をひらくと

 俺はテキトーに女の子に電話をかける。


 えっ、その女の子を口説くのかって?

 

 バカこくでねぇだ!!


 そんな事ができる位なら、とっくの前にそうしている。


 出来ないからこそ、いま彼女がいないという現実が存在するのではないか!!


 電話のさきに求めるもの、すなわち・・・・・・


 紹介である。


 そう、女友達にかわいい女の子を紹介してもらうのだ。

 これならばまだ見ぬ相手な訳だから、可能性が0という訳ではない。

 むしろ、未知と言う名の可能性を無限大に秘めているといって過言ではない。


 ともかく、恋は急げだ。


 その言葉に俺は正直に従った。


「あのさぁ、彼女紹介してくれないかな」


 俺は単刀直入に用件を電話相手の女の子に告げた。


「死ね!!」


 単刀直入に女の子は俺に返事を返した。


 ・・・・・・

 おいおい、ちょっと待てよ。

 たしかにモシモシも言わずに

『彼女紹介してくれ』

 などとのたうった俺も悪いかもしれない。

 だが

『なあに?』

 の一言もなく

『死ね!!』

 はあまりにもあまりにもだろ・・・・・・


 いやいや、まてまて、考えろ、考えるんだ俺。

 

 そうか!!


 俺はパチンと大きく指を鳴らした。


 あの女は電話で2文字以上喋ると死んでしまう病にかかっているに違いない。

 だからだ、だから『死ね!!』の二文字しか言えなかったのだ。

 むしろ、俺が聞き間違えていて『死ぬ!!』だったのかもしれない。

『わたし電話で二文字以上喋ったら死んでしまうの、だから・・・・・・ほんとはあなたに抱かれたいけどごめんなさい・・・・・・』

 こういう意味だったに違いない、間違いない!!


 俺の得意技、ポジティブシンキングモードが炸裂した。

 これで女からの暴言を脳内変換する事に成功できるのだ。


「うむ、なら仕方がない」

 俺は納得した。

 納得して次の女の子に電話をした。


「もしもし、あのさぁ、女の子紹介してもらいたいんだけど」

 

 今度はちゃんと『モシモシ』も付け加えておいた。

 完璧だ、パーフェクトだ、デリシャスだ。


「はぁ? あんたに女の子を紹介? なんでそんな悪魔にイケニエを捧げるような真似をしなきゃいけないのよ。寝言は寝て言いなさいよね!!」


 ツーツーツーツー・・・・・・


 電話は切れた。


 なるほど。

 とりあえず、俺は布団の中に入った。

 そして寝言を寝て言ってみた。

 俺ってばなんて素直な男なんだろうと思った。


 とにかく寝言を寝て言ってみたので、もう一度さっきのやつに電話をしなおしてみた。


「あのさぁ、いま寝言を寝て言ってみたからさぁ、女の子紹介してくれないかな?」


「死ね!!」


 ツーツーツーツー・・・・・・


 なるほど。

 電話で二文字以上喋ると死んでしまう病はいま大流行中らしい。

 おもに俺の周りにいる女の子の間では特に流行っているようだ。


 何てことだ、これではどの女友達に電話をかけても『死ね!!』しか言われないではないか。

 誰かこの病気を治すワクチンを開発してくれ。

 

 いやいや、全ての女友達がこの病気に感染している訳ではない。

 きっとまだ感染してないやつもいるはずだ。


 俺はアドレス帳の中から感染してなさそうな女のアドレスを探した。

 

 えっ?

 アドレスに登録されている名前で、病気に感染してるかどうかがわかるのかって?

 それはあれだ、コツがあるのだ。

 そのコツは企業秘密なので教える事はできないのだ。

 少し秘密を言うとするならば

 

 バカは病気にかからない!!


 そう、おばかな女友達に電話をすればいいのだ。


 俺はアドレスの中からこれだとおもう女の子をみつけだし、おもむろに電話をかけた。


「おっす!! かわいい女の子を紹介してくれ!!」


「にょ――――」


 さすがだ、さすが俺の選んだバカだ。

 半端じゃない電話の受け答えだぜ。


「にょ―――はおいておいてだな、俺にかわいい女の子を紹介してくれよ」


「なるほど」


 どうやら電話を駆け出して3人目で始めて納得してくれる人物が現れたようだ。

  

「んで、あんたに女の子紹介すると、私になんかいいことあんの?」


 そうきたか・・・・・・

 取引ときたか・・・・・・

 ギブ&テイクということか。

 バカの癖になかなかやるじゃないか、あなどれないぜ。


「そうだなぁ、俺に女の子を紹介すると・・・・・・」

 俺はしばらく思案をめぐらせた、そして結論を出した。

「世界が平和になる」

 はっきり、きっぱり、自信満々に俺は答えた。


 永遠とも思える時間が流れた。


「なるほど、それは素敵だわ、魅力的な提案ね・・・・・」


 まさに愛すべきバカと言えよう

 しかし、俺はコイツと付き合う気はない。

 なぜなら、俺の溢れんばかりの知能と釣り合わないからだ!!


「紹介してあげてもいいんだけど、一つ条件があるわ」


 なんですとー!!

 まさか、世界平和だけでは飽き足らないと言うのか・・・・・・

 なんだ、宇宙の平和も確証しろと言うのか。


「あんたがダイエットして痩せたら紹介してあげる」


「えっ、今なんて言った? だ、ダイエイがどうしたって?」


「ダイエットよ、ダイエット。あんたもう少し痩せれば見栄え良くなるんだから、痩せたらちゃんと女の子紹介してあげるわよ」


「な、なんだと。それでは今の俺が太っていて見栄えが悪いようないいようじゃないか」


「その通りよ!!」


 なんてこった。

 知らなかった。

 気がつかなかった。

 たしかに、なんか腹の周りにお肉さんがちょっと付いてきたかなぁって思わなくはなかった。

 たしかに、なんか走るとすぐ息切れするようになったなぁって思わなくはなかった。


 ダイエットか・・・・・・

 しかしまぁたかだか体重を落とすだけで、かわいい女の子が紹介してもらえるのだ。

 うん、何ひとつ問題などないではないか。


「わかった。ダイエットしようじゃないか。そのかわりにちゃんとかわいい女の子を紹介してくれるんだろうな」


「じゃあ、2ヶ月後にダイエットが成功してたら女の子紹介してあげる」


「へっ、2ヶ月だって? 一ヶ月もあれば上等だぜ!!」


 見事に交渉は成立した。



 

 そして、俺のダイエットの日々が始まったのだった。


 

 ははは、あれだろダイエットなんて、メシ食わないで運動すればいいだけだろ?

 よゆうーよゆうー余裕のよっちゃんだよ。

 そう高をくくっていた。

 しかし、生活の中で唯一の楽しみと言える食事を制限するなど、まさに地獄。


 俺は気がついた。

 ああ、食事って俺の人生の中ですげぇ大事な部分を占めていたんだ

 と言う事に。


 なら食事を減らすのは無しだ。

 運動だ、運動だ。

 山ほど運動をすれば飯を食ったところで何の問題もない。

 俺は運動をする事にした。


 運動、ダイエット、なにをすればいい?

 あれだな、おなかの肉をへこませるならば腹筋辺りが基本か?


 俺は部屋で横になり腹筋を始めた。


 20回を越えた頃だろうか。

 なんて言えばいいんだろうかなぁ

 なんていうかさぁ

 だるいよ・・・・・・

 腹も痛いしさぁ・・・・・・

 めんどくさいしさぁ・・・・・・・

 

 思ったら即行動、それが俺のいいところだ。


 俺は腹筋をやめた。

 やっていられるかこんなこと!!

 寝そべって起き上がるだけなんていう、こんな単調極まりない事を延々と繰り返していられる、か!!

 

 あれだ、その行動に愛あり夢ありロマンありたまに美女のポロリありならば別だ。

 そんなものは腹筋のどこにも存在しない。

 ありはしないのだよ!!


 そうだ、家の中で単調な事を繰り返すからいかんのだ。

 外に出よう。

 外に出れば気持ちも切り替わるに違いない。


 俺は外に飛び出した。

 外の陽射しはインドア派の俺には眩しかった。

 その眩しさだけでもう帰って寝ちゃおうかなぁとすら思えるほどだ。


 いかんいかん、俺はダイエットをして可愛い彼女をゲットせねばならんのだ。

 それが、宿命とかいて『さだめ』なのだ。


 とりあえず大きめの公園に着てみた。

 周りを見ると、ベンチに座ってラブラブムード全開中のカップルがいた。


「見ていろよ、俺がダイエットに成功した暁には、そこにその姿でいるのは俺様だ!!」


 俺は想像した。

 俺が好みのかわいこちゃんと公園のベンチでいちゃつく姿を・・・・・・


「おいおい、そんなに近づいたらオッパイがあたっちゃうじゃないかぁ。おいおい、手作りのお弁当かい? たこさんウインナーかい? ウサギさんのリンゴかい? もぉ、かわいいなぁチュッチュッしちゃうぞぉ」

 

 木漏れ日が目にまぶしく、緑豊かなさわやかな公園。

 そこでブツブツ独り言を言いながら悶える男。

 汚物を見るような眼でこちらを見るカップル。

 いつ警察に通報されてもおかしくない状況を俺は作り上げてしまった。


 通報されてはかなわない。

 彼女ができるどころか、臭い飯を食う事になってしまう。

「ああ、天気もいいことだしランニングしようかなぁ」

 まるで棒読みの台詞をこれ見よがしに回りに聞かせ終えると、おれは走り出した。


 ふぅ、誤魔かすことが出来たかどうかはわからないが、とにかくその場を離れることには成功した。

 しかも、偶然とは言え、ランニングを始めることにも成功した。


 そうだ、ランニングだ。

 ダイエットといえばランニング。

 まさに定番中の定番。

 そうさ、俺のあの悶え変態台詞も、これを自然に始めるための布石であったに違いないのだ。

 俺のポジティブシンキングモードは今日も絶好調である。


 たしかに部屋で腹筋をしているよりも、公園の綺麗な風景を見ながら走るほうが気分がよい。

 身体が風を切る感覚も心地よいものだし。

 何より、たまにランニングをしているかわいい女の子が横を通り過ぎる!!

 

 素敵だ。

 流れる汗。

 しなやかに伸びる手足。

 そして揺れる胸!!

 おもに胸、おっぱい、おっぱいがいっぱい!!


 いけない。

 俺は走るスピードを落とした。

 いけない部分がいけない状態になってしまったからだ。

 軽く前傾姿勢をとりながら俺は早歩き程度のスピードに落とした。

 

 邪念を振り払うんだ俺。

 こんなことでは満足にランニングもできやしない。

 真面目にランニングをして、ダイエットに成功すれば、かわいい彼女のおっぱいに触れることも可能ではないか。

 目の前の小魚に目を取られ、大魚を取り逃がしてはいけないのだ。


 俺は大きく深呼吸を5回ほど繰り返すと、80をこえるおばあさんの全裸を想像した。

 うむ、いけない部分が正常に、いけなくない感じに戻す事に成功した。


「これでよし」


 俺はランニングに復帰した。

 

 しかし、正直ランニングも疲れる。

 まぁ疲れてカロリーを消費しないことにはダイエットにならないんだから、しょうがないといえばしょうがないのだか、ともかく疲れる。

 そうだ、身体が疲れ苦しんでしまうのならば、頭の中では楽しく、素敵なことでいっぱいにしてしまえば、少しは楽になるのではないか?

 病は気からと言うし

『ランニングの疲労も気から!!』

 うむ、そう言わなくもないだろう、いや言うに違いない。

 

 俺はダイエットが成功した自分の姿を想像してみた。

 そこにはジョニーデップがたっていた。

 そうさ、俺ほど素敵な男がさらに素敵になろうとダイエットをしている訳だ。

 俺がダイエットをすれば『ジョニーデップ』くらいにはなれる。

 間違いなくなれる!!

 そうだ、俺はハリウッドスターになれる。

 そうか、俺はハリウッドスターだったのだ!!


 うおお、なんだか燃えて来たぜ。

 心なしか、走るスピードも上がってきたぜ。

 心なしか、なんか海賊の船長の気分になってきたぜ。

 

 ダイエット王に俺はなる!!

 おっと、そっちの海賊じゃなかったぜ。


 ともかく俺の脳内にはパラダイスが描き出されていた。

 ビバリーヒルズの大豪邸のプールに金髪美女を大勢はべらしている。

 そんなシーンで満載だった。



 そんな妄想とは別に、走っていて気がついたことがある。

 すごい蒸れて汗をかくのだ。

 えっ? どこがそんなに蒸れて汗をかくのかって?

 

 金玉の裏だ!!


 とにもかくにもすごい蒸れて気持ちが悪い。

 なぜなんだ、なぜ金玉の奴はこんなに暑がりなんだ。

 金玉よ、お前そんなに汗をかいたら萎んで小さくなってしまうぞ。

 金玉をダイエットした所で、女の子は何ら喜びはしないぞ。


 へへ、俺ダイエットしたんだ

 どこダイエットしたの?

 金玉!!

 素敵!! 抱いて!!


 俺のポシティブシンキングモードでもさすがにこのシチュエーションはありえないと判断された・・・・・・・


 ともかく、ランニングをすると金玉の裏が凄い汗をかく。

 これは豆知識として覚えておいてもらいたい。

 


 まぁ金玉はさておき、30分も走っただろうか。

 程よく疲れたので、そろそろ帰る事にした。

 ふふふ、これだけ走ったのだ、かなり『ジョニー・デップ』に近づいたに違いない。

 もう、俺の戸籍の名前がジョニーに変わっていたとしてもおかしくない。

 来週辺りにはハリウッドの新作映画の主演を頼まれていてもおかしくない。


 しかし、そんな俺の夢は、部屋の鏡を見ることのよって木っ端微塵に粉砕された。


「どういうことだ、これは一体全体どういうことなのだ・・・・・・」


 落ち着け、落ち着くんだ俺。

 こんなときは素数を数えるんだ。

 1.3.7.11.13.17.19・・・・・・・

 よぉし、落ちついた。

 

 そして俺はもう一度鏡を覗き込んだ。


 そこにはジョニーデップは居なかった。

 なんて言うんだろうか、自分の姿をこんな風に表現したくなどないが・・・・・・・

 ぽっちゃりのさえない男がそこには映っていた。


「ノオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」


 俺は泣いた。

 全米も泣いた。

 オスギもきっと泣いただろう。


 

 俺のランニングは幕を閉じた・・・・・・



 そして時は流れ

 一ヶ月後・・・・・・

 

 俺は紹介してくれる女友達に会う事になった。


「よぉ、久しぶり」

 俺はなるべく視線を合わせないようにして挨拶をした。

「にょ――おひさしぶりーって。ちょ、ちょっと、あんた全然痩せてないじゃないの?

 一ヶ月あったら余裕なんじゃなかったの?」

 視線を合わせてはないが、きっと彼女は俺の卑下の目で見ているに違いない。

 この豚野郎!!

 そんな目で見ているに違いない。


 Mな俺はそんな想像に少しばかり興奮した。


「な、なにをいっているのかなぁ、ちゃんとダイエットには成功しているよ」

 俺は依然視線を合わせないで会話を続けた。

「一体どこら辺をダイエットしたって言うのよ?」

 ここでまさか金玉とは言えない、口が裂けてもいえない。

「いや、あれだ。体重減ったよ。うん、へった。へった」

「一体どれくらい体重減ったって言うのよ?」

 俺の身体を上からしたまでまじまじと見つめ、疑いの目つきだ。

 そ、そんなに見つめるなよ


 Mな俺は少しばかり興奮した。


「あれだ、200グラム・・・・・・くらい・・・・・・」

「はぁ? 200グラム? それだけ?」

「そう、それだけ・・・・・・ でも、減ったのは減ったんだからオッケーだろ!!」


 たしかに200グラムくらいは痩せているはずなのだ。

 なぜなら出かける前にデッカイうんこをしたからだ。

 きっとあれは200グラムはあったに違いない。


「はぁ・・・・・・もういいわ。そんなアンタに紹介する女なんているわけないわよ!!」


 彼女はそうはき捨てるように言うと、俺に背を向け、歩き出した。


「えええええ、そ、そんなあ。それはないでござるよ!!」

 俺の口調は忍者になっていた。

 別段何の意味もなかった。


「はぁ・・・・・・

 彼女は大きくため息をつくと、シブシブながらに振り向いた。


「あんまりも情けなくてかわいそうだから、今日だけは私がデートしてあげるわよ」


「にょ―――!!」

 俺は歓喜の声を上げた。

 やった、やったのだ。

 奇跡は、ミラクルはおきたのだ。

 てか、この女はもとから俺にぞっこんラブだったに違いないのだ。

 ふふふふ、照れやがってこの野郎!!

 最初から俺とデートしたかったくせに!!

 

「言っとくけど全部アンタのおごりなんだからね」


 ふふふ、このツンデレめ。

 とにかく、俺はデートをした。

 

 そして、まさか俺とこいつが数年後に結婚しようとは・・・・・・

 このとき誰も予想しえなかったのである。


 

 まぁそりゃそうだ。

 ほんとに結婚なんてしないんだから。

 それどころか、デートもこれっきりで、このあとなんもないのだから。



 俺は家に帰ると、すぐさま布団にもぐりこんだ。

 そして少し痩せた金玉を握りしめ

 布団の中で寝言を寝て言ってみた。


 

 このとき俺は気がついていなかった。

 金玉だけはジョニーデップの金玉とそっくりになっていた事を・・・・・・




 おしまい ☆

 


 


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― 新着の感想 ―
[一言] 読みやすくてすごく面白かったです! すこし卑猥な言葉とかダイレクトに使ってたのがすごいです。楽しく読ませていただきました。
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