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魔拳、狂ひて  作者: 武田道志郎
第六話『魔拳参上』
76/310

魔拳参上 二十五

【これまでのあらすじ】

 死の淵から甦り、凄まじい力を以て、遂に柳善を打ち倒した衛。

 しかし、その直後、衛は再び倒れてしまう───

20

 気が付くと衛は、光の中に佇んでいた。

 何度も夢で見た、あの虚無の闇ではない。

 暖かく、優しい光に満ちた空間であった。

 目の前には女性がたたずんでいた。

 相変わらず、胸元から上は光によってぼやけていたが―――彼女が最愛の女性であるということが衛には分かった。


(・・・あれから、何年経っただろうな)

 衛は、僅かに目を伏せながら語り掛ける。

 そうしながら、この数年間のことを振り返っていた。


(色んなことがあったよ。お前を助ける為に、その為の力を手に入れる為に、色んな仕事や闘いに身を投じて来た)

 そこで衛は言葉を区切り、右拳を思い切り握り締めた。

(・・・だけど・・・俺はまだ、弱い。力も心も、まるで弱い。お前を助ける為には、もっと強い力が必要だ。・・・俺はまだ、そこまで達していない)


 その時、衛の目が見開かれた。

 その瞳には決意が―――強い覚悟が宿っていた。

(でも、俺は諦めない。お前を助ける為に、もっと強くなってみせる。そしていつか・・・お前を助けてみせる。『あの時』のような、無様な姿は晒さない。必ずお前を救い出す)


 衛がそう言い終えると同時に、その女性を包む光が、更に強くなる。

 その光の中へと、彼女の姿が消えていく。

 それを見ても、衛が動揺することはなかった。

 女性が消えていく光景を、顔を背けることなく見つめていた。


(だから、待っていてくれ)

 衛が再び、言葉を紡ぐ。

 彼女を安心させるように。

 己の心に、一層刻み込むように。


(例え拳が砕けても、必ずお前を助け出す)


 衛のその言葉に―――女性が静かに、微笑んだ気がした。

 そして女性の姿は―――暖かな光の中へと融けていった。

 やがて、衛を包む光も輝きを増していく。

 光の柔らかい温もりを感じながら、衛の意識は、己が歩むべき世界へと戻っていった―――

 次回で、このエピソードは完結です。

 投稿する日程はまだ決まっておりませんが、目途が立ち次第、この後書きの欄に追記させていただきます。


【追記】

 大変お待たせ致しました。

 次は、金曜日の午前10時に投稿する予定です。

 遅くなりまして申し訳ございません。

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