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魔拳、狂ひて  作者: 武田道志郎
第六話『魔拳参上』
75/310

魔拳参上 二十四

【これまでのあらすじ】

 柳善の姑息な策の前に、遂に倒れてしまった衛。

 柳善は、そんな彼の息の根を止めようと歩み寄っていく。

 その時、衛は心の中で、己の理性の声を説き伏せた。

 そして───

19

「…………れ…………も…………」

「む……?」

 柳善の手が止まる。

 倒れ伏した衛の異変に気付いた。

 衛が、何かを呟いていた。

「…………われ…………く…………も…………」

「……ふむ。うわ言ですか……」

 柳善はそう呟くと、口の端を吊り上げた。

「これ以上無様な姿を晒していても辛いだけでしょう。安心なさい。すぐに楽にして差し上げますよ」

 そう言うと、柳善はナイフを握った右手を、再び衛の首元に近付け始めた。

 衛の首を斬り裂く為に。

 己の手で、魔拳の息の根を止める為に。


 ──その時であった。

「……われ……くとも……」

「……?」

 衛の体から、妙な気配が漂い始めた。

 同時に、柳善の身体を、冷たいものが走り抜ける。

 ──おかしい。

 ──何かがおかしい。

 柳善の中に在った勝利への確信が、徐々に薄れていく。

 代わりに、不安が込み上げてきた。

 戦闘不能となっているはずの衛に対する言い知れない不安が、柳善の体内を満たし始めた。


 次の瞬間。

「──!」

 突如、衛の手が動いた。

 素早く、柳善の右の手首を鷲掴んでいた。

「言われ……なくとも……!」

「……え?」

 柳善の表情から、笑みが消えた。

 目が丸くなっていた。

 あまりにも突然の出来事だった為、衛が何をしたのかが理解出来ていなかった。


 その時、衛の両目が勢いよく見開かれた。

 開いていたはずの瞳孔が元に戻り、強い意志が、鋭い光となって輝き始める。

 そして衛は、渾身の力を込め──


「言われなくとも、やってやらアアアアアアアアアッ!!」


 ──絶叫と共に、柳善の右手首を、思い切り握り潰した。


「──!? ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 柳善の悲鳴が辺りに響き渡った。

 彼は悲鳴が止まぬうちに、よろよろと衛から遠ざかる。


 同時に、他の信者達が動きを止める。

 マリーと舞依を捕えようとしていた信者も、その足を止め、呆然と立ち尽くしていた。

「ま、衛……!」

「あやつめ……! やはり生きておったんじゃな……!」

 涙に塗れた2人の顔が、ぱっと明るくなる。

 絶望に満たされた両者の心に、再び希望の光が差し込んだ。


「いっ、痛ッ、痛い……! ひいィィィィィィ!!」

 柳善はぼろぼろと涙を流しながら、手首を押さえ、必死に後退る。

 そうしながら、治癒術を使おうと、妖気を左手に込める。


 ──が、治らない。

 何度治癒術を施しても、右手首の痛みは消え去らない。

「なっ、治らない……!? 何で!? どうして!?」

 痛みと恐怖に顔を歪めながら、柳善が狼狽する。

 彼の右手首は、奇妙な形に拗け、潰れた皮膚の隙間から血を噴き出していた。

 その周囲に、溶岩のような赤い光がまとわり付いていた。

 禍々しいその輝きが、柳善の妖気を打ち消し、治癒を阻害していた。


 その時──

「……っ……グ……ゥ……!!」

 ──衛が、ゆらりと立ち上がった。

 満身創痍な身体でありながら、再び両足に力を込め、しっかりと地面を踏ん張った。


 その身体に───柳善の手にまとわり付いているものと同じ、禍々しい炎が燃え上がっていた。

 否、炎ではなかった。

 抗体の光であった。

 衛が死の危機に瀕していることを察知し、宿主を死なせるまいと、抗体が爆発的な勢いで増殖し、噴出していた。

 それだけではない。

 衛の信念が、凄まじい執念が、抗体の増殖活動を急激に高めていた。


「……グ……ぐ……ガ……!!」

 衛が呻く。

 それと同時に、脇腹に空いた穴が、塞がり始めた。

 穴の淵から、中央へ向かうように肉が作られ始める。

 脇腹だけではない。全身の裂傷が───打撲が───そしておそらく、両腕の骨に入ったヒビさえも、治癒しつつある。

 異常発生している抗体が、死に瀕している衛の肉体を、強制的に修復しているのである。


「ひっ───ひィィィィィ・・・!!」

 その光景を目にし、柳善の背筋に戦慄が走る。

 顔は涙と鼻水と脂汗に塗れ、グチャグチャになっていた。

 柳善には信じられなかった。

 魔拳はもう虫の息で、決して立ち上がることは出来ないだろうと思っていた。

 それなのに───何故この男は立ち上がることが出来るのか。

 何故この男の傷が再生しているのか。

 何故この男は、決して諦めないのか。

 そんな考えと恐怖で、頭の中が一杯になっていた。

「な、何をしてる、殺せ・・・!あの化け物を八つ裂きにしろ!!」

「は、ササヤキ様───」

「仰せの通りに───」

 柳善は動揺を堪えることもなく、義満と康治郎に命令を下す。

 その言葉に、両者は再び、柳善を庇うようにして立ちはだかった。


 そうしている間に──衛の傷の再生が完了していた。

 ジャケットはズタズタに裂け、血が染み込んでいるが、そこから除く皮膚の傷は塞がり、幾年も前に出来た古傷のような痕と化していた。

(柳善よ。俺には、貴様の洗脳術のような便利な妖術もなければ、それに代わる知能もない。俺にあるのは抗体と……鍛え上げたこの拳のみ……!)

 衛の全身から溢れる抗体の輝きが、更に強いものとなる。

(ならば俺は……この2つだけで、あらゆる苦難を乗り切ってやる……!何が立ち塞がろうと……俺は、絶対に諦めねえ……!!)

 抗体が体に染み込んでいく。

 全身から抜けていた活力が、再び漲っていく。

 それどころか、平常時以上のエネルギーが、衛の全身に満ちていく。

 抗体の暴走によって引き起こされる、肉体の強化作用によるものであった。

(雨が降るなら、全て飲み干す……!槍が降るなら、掴んで投げ返す……!救える可能性があるなら、必ず救う……!!俺の前に立ち塞がる敵は、全て叩き潰す!!)

 丹田に意識を込め、低い姿勢を取る。

 そして──

(思い知るがいい……囁鬼柳善……!俺に喧嘩を吹っ掛けた奴が、どうやってくたばることになるのかをな!!)

 柳善を──そして、彼を守るように立ちはだかる2体の妖怪を、殺意に満ちた眼で睨み付けた。


 義満と康治郎が、口を開く。

 再び咆哮を上げようと、血と涎に塗れた口を、大きく開ける。

「ゥアオオ───」

「ッガアア───」


 が、その雄叫びは───

「うおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 衛が放った、大地を揺るがすような凄まじい怒号によって、跡形もなく掻き消されてしまった。


「───オオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

 その怒号が鳴りやまぬうちに、衛が駆け出す。

 目指すは康治郎。

 一気に間合いを詰めながら、右の拳を固く握り込んだ。

「グオオオオオッ!!」

 応じるように、赤鬼が右拳を振りかざす。

 が、衛はそれよりも早く懐に潜り込み───

「っだアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 康治郎の顔面に、渾身の一撃を叩き込んだ。

「ッガアアア───!?」

 赤鬼の巨体が弾け飛び、草地に転がる。


「ヒッ、ひいい!?」

 その光景を見て、柳善は更に恐怖した。

 衛から逃げるように再び距離を離し───そして、衛に課したハンディのことを思い出した。

「つっ、使ったなァ・・・!腕を使ったな!私の言い付けを破っ───」

「でやァアアアアアアアアアア!!」

 衛はその言葉を無視し、今度は義満の顎を裏拳で薙ぎ払う。

「ぐ、アアアッ───!?」

 義満の身体はきりもみし、受け身を取ることもなく草地に叩き付けられていた。

 貴様の指図は受けない───そんな意思が体現されているかのような一撃であった。


 それを目にし、柳善が更に逆上する。

「き、貴様、ペナルティ!ペナルティだ!!」

 そして、康治郎と義満の傍に佇む信者を指差し、命令を下す。

「っ、は、腹を切れ!お前だ!早く死ね!!」

「は、ササヤキさ───」


 その時、衛がその信者に顔を向けた。

 直後、疾走。

 その信者がナイフを取り出すよりも早く、首筋に抗体をまとった手刀を叩き込む。

「ッ───!!」

「がッ───!?」

 信者が呻き、崩れるようにして倒れる。

 その脳内に巣食う柳善の妖気は、抗体によって完全に消滅していた。

「な───馬鹿な───!?」

 衛が取った行動に、そしてその反応と速度に、柳善が狼狽する。

 更に衛は、その周囲にいる信者達にも素早く近寄り、手刀を叩き込んでいく。

 2人。

 3人。

 4人。

 5人の信者の洗脳術が解け、草地に倒れ伏した。


 その間に、立ち上がった義満と、それに遅れて康治郎が衛へと再接近していた。

 そんな両者に、衛が向き直り、応じるようにこちらも一気に間合いを詰める。

「ギィァァァッ!!」

 牙を剥き出しながら、義満が斬り掛かる。

 衛はそれを受け流し、義満の両目に脱力した右手を打ち付ける。

「グッ!?」

 義満の視界で、白と黒の光が点滅する。

 その隙に、衛は左フック。

 続け様に右フックを、義満の顎に叩き込んだ。

「───ッ、ガ・・・!?」

 義満が膝をつく。

 脳震盪を起こしていた。

 足に力が入らない。

 立ち上がることが出来ない。

「うおりゃあああああああああああっ!!」

 そんな義満の顔面を目掛け、衛が左の飛び膝をぶち込む。

「ぶっ───!?」

 尖った口と鼻が立てるみしみしという音を聞きながら、義満が仰向けに倒れた。


「があああああっ!!」

 直後、凄まじい圧をまとった康治郎が押し寄せる。

 衛はそちらに突進し───突如、進行方向を変え、康治郎の右側面───即ち、潰れた右目の方に回り込んだ。

「───!?」

 その一瞬、康治郎には何が起こったのか分からなかった。

 衛の姿が消えた───そう思った。

 直後、右の脇腹に激痛が走る。

「ぐぅっ!?」

 衛の瓦稜拳による突きが、脇腹を抉っていた。

 更に衛は、康治郎の膝裏に左のローを打ち込む。

 康治郎が、がくん、と右膝をついた。

 そんな赤鬼の分厚い胸板を───衛は、渾身の右回し蹴りで一閃した。

「でりゃァァアアアアアアアアアアアッ!!」

「ぐああっ───!?」

 康治郎の巨体が、後転しながらサッカーボールのように転がっていく。

 8メートル程吹き飛ばされ───ようやく康治郎は、両足で草地を踏みしめ、ブレーキをかけた。

「ぐ───ぬぅぅ───!!」

 康治郎が顔を上げる。

 虚ろな瞳ではあるが、衛に対する怒りが、その表情には浮かんでいた。

 そして、今すぐに衛に向かって突進し、その怒りを叩き付けてやろうとした。


 が───

「っ!?」

「オオオオオオオオオオオオオッ!!」

 それよりも早く、衛が康治郎に向かって突進していた。

 既に両者の距離は3メートルもない。

 康治郎の反撃よりも、衛の一撃の方が速いであろう。


 その時───

「───!?」

 康治郎の巨体が震え始める。

 彼は見た。

 衛の顔を。

 憎悪を剥き出しにした、その表情を。

 本物の鬼を遙かに凌駕する、地獄の悪鬼の如き形相を。

「う・・・あ・・・・・あ・・・・・!」

 そして康治郎は───それを目にした赤鬼は───

「う───うわっ───うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 恐怖に顔を歪め、凄まじい悲鳴を上げていた。

 囁鬼の術によって捨て去ったはずの恐怖の感情が、その時、確かに甦っていた。


「死ねェェェェェェェェェェェッ!!」

 咆哮と共に、衛が素早く跳躍。

 康治郎の右側を通り過ぎるように跳び───すれ違いざま、渾身の右拳を顎に叩き込んだ。

「あガッ───!?」

 康治郎の恐怖の悲鳴が途切れる。

 首を軸に、頭部が270度回転。

 頸椎が拗け、その瞬間、康治郎は絶命した。


 康治郎の肉体が塵と化すのと、衛が着地するのは同時であった。

 着地の直後、衛は再び駆け出す。

 目指すは柳善───信者達よりも後方へと下がり、恐怖に体を震わせている首謀者である。

「うっ───ううっ・・・!き、貴様ら、私を守れ!楯になれ!!」

 柳善が、己の前で佇んでいる信者達に命じる。

 信者達は軽く頷き、衛の行く手を阻むように立ちはだかる。

 そして、全員同時にナイフを手にした。

「うおおおおおおおおっ!!」

 衛は臆することなく、彼らの中に突っ込んでいく。

 信者たちは、衛に向けて手にした凶器を振りかざす。

 それよりも早く、衛は打撃を放つ。

 ナイフを弾き、砕き、はね飛ばし、信者達の首筋に、抗体をまとった手刀を次々に叩き込んでいく。


「クッ───つっ、使えない奴らめ───!お、おい、お前!お前だ!腹───い、いや、喉だ!喉を切れ!!」

 柳善は苦し紛れに、遙か遠くにいる信者───マリーと舞依を捕えようとしている信者に向かって、叫び声を上げる。

「は、ササヤキ様───」

 その信者は疑問を抱くことなく、その指示に従う。

 刃物を取り出そうと、懐に手を入れ───


「駄目えええええええええっ!!」

 その手に、何者かが飛びついた。

 マリーであった。

 悲鳴に近い叫び声を上げながら、その信者の腕にしがみついていた。

「駄目っ、駄目っ!駄目えええええええええっ!!」

「くっ───離せ───!」

 信者は、生気を失った顔を醜く歪めながら、マリーを左手で引き剥がす。

 そして、力任せに彼女を草地に投げつけた。

「あぐっ!?」

 マリーが苦しげな表情を浮かべ悶絶する。

 その様子に一瞥すらくれず、信者はナイフを取り出した。

 そして、己の喉を真横に───


「させんぞッ!!」

 その時、短く叫びながら、舞依が念力を使用した。

 信者の手元からナイフが離れ、弾き飛ばされていた。

「───!」

 信者は、囁鬼の命令を遂行すべく、草地に転がったナイフを拾いに行こうとする。


 そこに───

「うっ───うわあああああああああああっ!!」

 再び、マリーが飛び付く。

 信者の足にしがみ付き、彼を一歩も歩ませまいと妨害する。

「ぬぅっ───!」

 そんなマリーを、信者は空いている方の足で無慈悲に踏み付ける。

 何度も。

 何度も。

 何度も、彼女の身体を踏みつける。

 しかし、マリーは一向に離れようとしなかった。

 恐怖と苦痛を堪え、泣き叫びながら彼の足にしがみ付いていた。

「離・・・すっ・・・もんかあああああああああっ!!」

「っ・・・!ササヤキ様の理想を阻む下賎な輩が・・・!!」

 信者は、憎々しげにそう呟くと、思いきり足を振り上げる。

 そして、マリーの顔面を踏み潰そうと、思いきり───


「っあああああああああああ!!」

 その時である。

 その足に、何者かが飛び付いた。

 舞依であった。

「ぐぅっ!?」

 その勢いに負け、信者は体勢を崩し、尻餅をつく。

「このっ───馬鹿者ッ!!目を、覚まっ・・・さんかっ!!」

「お───のれっ───!!」

 信者は目を剥きながら、己の邪魔をするマリーと舞依を殴り付ける。

 手加減などない。

 渾身の力を込めた暴力の雨が、マリーと舞依の体に降り注ぐ。

 しかし───彼女達は、腕の力を決して緩めたりはしなかった。

 泥だらけになりながらも、傷だらけになりながらも、顔を涙で濡らしながらも、その信者の足にしがみ付いて離れなかった。


 2人はそうしながら、主人のことを思い出していた。

 己の主人と───大切な人と死別したことを。

 その時に、自身の胸に押し寄せた悲しみのことを。

 この人にもきっと、大切に思ってくれている人がいる。

 この人が苦しんでいたら───この人が死んだら、その人もきっと悲しむ。

 そんなことだけは、絶対にさせない───そんな強い想いを、彼女達は抱いていた。

「離す・・・もんか・・・!死なせるもんかああああああああああっ!!」

「衛っ・・・!早・・・くっ・・・あやつをっ!囁鬼を討てぇええええええええっ!!」


 彼女達の叫びを、衛は信者達を気絶させながら耳にした。

 その胸に───かっと、熱いものが込み上げてくる。

(すまねえ・・・ちょっと待っててくれ・・・!!)

 全身を巡る抗体が、更に激しく暴れ回る。

(すぐにあの野郎の顔面に・・・!ドギツい一発をぶち込んでやる!!)

 そして遂に───衛は、己の周囲にいる信者を全て気絶させた。


 それを確認した次の瞬間、再び柳善を目掛けて突撃する。

 が、そんな彼の前に、またしても何者かが立ち塞がった。

 義満であった。

 口と鼻から血を垂れ流していたが、依然としてその心は柳善に囚われ、傀儡と化していた。

「邪魔だああああああああああああっ!!」

「グァオオオオオオオオオオオオオッ!!」

 衛が吼える。

 それに応じるように、義満も咆哮。

 両者は互いに向かって突進し───攻防が始まった。


「うぉおおおおっ!!」

「ガァアアアアッ!!」

 衛が打ち、義満が防ぐ。

 義満が斬り、衛が捌く。

 この闘いの序盤を彷彿とさせるような激しい攻防が、再び巻き起こる。

 しかし───今度は、衛に義満の斬撃が届くことはなかった。

 傀儡と化した人狼の攻撃を、衛は正確かつ素早くいなしていく。

 その身を抉られることも、掠ることもなかった。

 それどころか───衛の拳打が、徐々に速くなっていく。

「ぐっ───がぁ───!!」

 義満が呻く。

 その身体に、打撲痕が次々と生まれる。

 義満が斬り付けるよりも先に、衛の打撃が彼の身体を強襲していく。


「うぉ───らァっ!!」

 怒号と共に放たれた衛の前蹴り。

 その足が、義満の体を後方へと押しやる。

「ご───っ!?」

 義満が体勢を崩す。

 数歩分の距離が開いていた。

 追撃を加えようと、衛は突撃しながら、両拳を力強く握り締めた。

 その拳の周囲に、憎悪を象徴したかのような抗体の炎が燃え上がる。

 放つは必殺の六連打───迅六拳。


「うおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 第一打───水月陥没。

 第二打───丹田破壊。

 第三打───睾丸爆砕。

 第四打───鼻骨圧潰。

 第五打───顎骨粉砕。

 そして───とどめの第六打。

「でぃいいいやぁああああああああああああああああっ!!」

 胸に直撃し、皮膚を裂き、肉を抉り、骨を砕き、心臓を破り───義満の背中から、衛の拳が突き出ていた。

「───!!・・・っが・・・ぁ・・・が・・・」

 義満の口から───目から───耳から───鼻から───全身の穴から、おびただしい量の血が噴き出す。

 そんな彼の身体から、衛は拳を引き抜き、力任せに横に払い除けた。

 義満が草地に倒れる。

 直後、彼の身体は塵と化し、消滅した。


「っ・・・ハァッ・・・ハァッ・・・!!」

 俯いている衛の荒い息遣いが響く。

 その顔が───正面を向いた。

 柳善を睨み付けていた。

 その瞳からは、熱く燃えたぎるような怒りが───溶岩のような憎悪が溢れていた。

「ぁ・・・あ・・・ぁああああっ・・・!!」

 愕然とした表情で、柳善が後退る。

 同時に、衛は右足を踏み出していた。

 次に左足。

 右足。

 左足。

 右足。

 歩く速度が徐々に上昇し───遂に、全力疾走と化した。

「っ───ああああああああああああああああああああっ!!」

 咆哮、更に限界を超える加速。

 凄まじい勢いで特攻し、柳善へと距離を詰めていく。

 治癒術と身体強化によって、衛の体力は完全に底を尽いていた。

 これが最後のチャンス───そう考え、気力のみで疾走する。


「うわっ───あが、あああ!?」

 柳善は狼狽えながら、周囲を何度も見渡す。

 どうすれば己の身を守れるか───そう考え───ある一点に目が向いた。

 そこには、未だに洗脳が解けていない信者が佇んでいた。

「そ、そうだ、お前だお前!!」

 早口で柳善が言葉を放つ。

 あの信者に自害を命じよう。

 そうすれば、衛は間違いなく信者の方へと向かい、洗脳を解きに行くであろう。

 その間に、何とかして逃げ出せばいい───柳善はそう考え、信者に向かって左手をかざしていた。


 が───衛は、信者の下へと向かうことはなかった。

 それどころか、限界のさらに上を行く加速をかけ、柳善へと突撃する。

 衛にはもう、信者の洗脳を解く為に寄り道をする体力はない。

 ここで必ず、柳善を殺す。

 その信者が己を傷付けたとしても、必ず柳善を抹殺する。

 否───そんなことになる前に終わらせてみせる。

 信者が自刃するよりも先に、必ず柳善を仕留める───衛はそう決意していた。


「お前!今すぐ───」

 柳善が口を開く。

 喉を切るように指示しようと、素早く口を動かそうとする。

「喉を───」

 あと1秒もしないうちに、柳善の指示は完成された言葉となる。

 衛の位置は───まだ柳善から離れている。

 間に合わない。

 まだほんの少し───距離が足りない。

 その瞬間、衛は覚悟を決めた。

(間に合わない・・・すまねえ・・・!)

 その信者に対し、心の中で謝りながら走り続ける。

 そして遂に、柳善は最後の2文字を口から放とうとした。

「切───」


 その時、辺りに銃声が鳴り響いた。

 次の瞬間、柳善の左手から、真っ赤な花が咲いた。

 否───花ではない。

 鮮血であった。

 柳善の左手が爆ぜ、数本の指が弾け飛び、血が飛び散っていた。

「っ───!?ぎゃあああああああああああああああああっ!?」

 柳善の口から飛び出たのは、最後の1文字ではなかった。

 代わりに、悲鳴が飛び出していく。

 耳をつんざくような悲鳴であった。


「走りなさい、青木衛!!」

 衛の耳に、声が届く。

「そのまま走って!あいつに向かって!!」

 声は、衛に向けられたものであった。

 女性の声であった。

 その声を、衛は少し前に耳にしていた。

 シェリーであった。

 洗脳術の後遺症から回復し、衛達を追い掛けて来た、シェリー・タチバナの声であった。


「っおおおおおおおおおおおおお───!!」

 心の中でシェリーに礼を言いながら、衛は咆哮を上げる。

 足がもつれそうになりながらも、必死に体勢を立て直しながら、柳善を目掛けて駆け抜ける。

 柳善まで、あと8メートル。

「───おおおおおおおおおおおお───!!」

 5メートル。

「───おおおおおおおおおおおおおおおおお───!!」

 2メートル。

 そして遂に───

「───おおおおおおおおおおおおおりゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」

 衛の右拳が、柳善の鼻っ柱を捉えた。

「ぶっ───がああああああああああああっ!!」

 渾身の一拳を受け、柳善の体が吹き飛ぶ。

 同時に、衛の両足から力が抜け───前のめりに倒れ込んでいた。

 次の瞬間。

「は───がぁ───!!」

 その場に僅かに残っている信者達が呻き声を上げ、一斉に倒れ始める。

 マリーと舞依がしがみ付いていた信者の1人も、呻き声を上げ、動かなくなった。

「こ、これ・・・は・・・?」

「ま、衛が・・・やったんじゃな・・・!」

 マリーと舞依が、ぼろぼろになった顔を見合わせる。

 そして───静かに笑った。


「っ・・・・・ぜぇ・・・・・っぐ・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・」

 衛は倒れ伏したまま、酸素を求め、荒い呼吸を繰り返していた。

 肺が痛い。

 急激に全身を疲労が襲う。

 胃の中の液体が沸騰しているような感覚がある。

「っ・・・はぁ・・・う・・・っぐ・・・・ぅ・・・ぉげぇぇっ───」

 堪え切れず、衛は嘔吐した。

 胃液をその場にしこたまぶちまけ、そしてまた呼吸を繰り返した。


「衛!」

 しばらくして、マリーと舞依が近寄って来る。

「良くやったな、衛・・・!」

「衛・・・大丈夫・・・?」

 その声に、衛が顔を上げ、両者を見た。

 2人の全身は泥だらけで、顔中に殴られた跡があった。

 その姿を見て、衛は再び、胸の中に熱いものが込み上げるのを感じた。

「はぁ・・・っ・・・はぁ・・・大、丈夫・・・だ・・・。悪い・・・俺の・・・せい、で・・・お前らが・・・」

「だ、大丈夫よこれくらい!」

「そうじゃ。もう無理するな。しばらく休んでおれ・・・!」

 マリーと舞依が、衛の身を案じる。

 しかし衛は───ゆっくりと上体を起こした。

 まだ終わってはいない。

 柳善の息の根は、まだ止まっていない。

 腹を切った人たちの治癒も、まだ終わってはいない。

「悪いけど、よ・・・腹を切った人に・・・治癒術、を・・・。お前らの怪我、治すの・・・後回しに、なっちまうけど・・・」

「・・・!わ、分かった!」

「舞依、行こう!」

 衛の言葉に、両者は再び顔を引き締め、立ち上がった。

 そして、腹部から出血している信者達に向かって駆け出して行った。


 その後、衛もゆらりと立ち上がる。

 荒い息遣いを響かせながら、柳善へ向かって、一歩一歩歩いていく。

「・・・ぶ・・・ぁ・・・ぁが・・・」

 柳善は草地に倒れたまま昏倒していた。

 鼻がひしゃげ、歪な形になり、だらだらと血が流れていた。

 衛は、そんな柳善の胸ぐらを掴み、無理やり引き起こす。

 そして、右手で彼の両頬を張った。

「おい・・・起きろ・・・!」

「───っ!・・・あ・・・?あ!?ひっ!?ひぃいいいいい!!」

 意識を取り戻した柳善の視界一杯に、凄まじい形相を浮かべた衛の姿が映る。

 失禁しかねない程の恐怖が、柳善を襲った。

「言え・・・。どうして俺を殺そうとした・・・!どうして俺に喧嘩を吹っ掛けた・・・!」

「・・・っく!だ・・・誰が、教えるものか・・・!きっ、き、貴様のようなクズに・・・!私が屈すると───がぁっ!?」

 衛の問い掛けに、柳善は返答を拒否する。

 そんな彼の頬を、衛は拳で殴った。

「言え・・・!殺されてえのか・・・!」

「ばっ、馬鹿め・・・!言うものか・・・!貴様にだけは、絶対に・・・!」

 残された僅かなプライドを必死に守ろうと、柳善はせせ笑いながら呟く。

「上等だ・・・この───」

 衛はもう一度、拳を振り上げ───


「待って」

 その拳を、何者かが掴んだ。

 シェリーであった。

「・・・!あんた・・・」

「無理しないで。私に任せて頂戴。この妖怪の心に、直接聞き出すわ」

「・・・?どうやって・・・?」

「私、生まれ付いた時から超能力を持っててね。他者の心の中に入り込む力を持ってるの」

 シェリーは、微笑みながらそう語る。

 そして、柳善の額に触れようと、右手を掲げた。

「ひっ・・・!?や、止めろ女!私に触るな!!」

 柳善が、その手から必死に逃れようとする。

 しかし、胸ぐらを衛に掴まれており、逃れられない。


 そして遂に、シェリーの手が、柳善の額に触れた。

 その時───

「───!?っあ!あああっ!!」

 シェリーの右手から、光が零れ始めた。

 同時に、柳善が苦しげに悶える。

 両目を見開き、顔中に脂汗が浮かんでいた。

 10秒ほど経っただろうか。

 シェリーが手を離した。

 光は既に止み、元の手に戻っていた。

「っ───!はぁ・・・はぁ・・・」

 同じくして、柳善の苦しげな様子も治まった。

 荒い呼吸を繰り返しながら、目を見開き続けていた。


「潜入成功。仕返しの意味も込めて、ちょっと荒っぽくやらせてもらったわ」

「そうかい。・・・で、どうだった?」

 衛は頷き、シェリーに尋ねる。

 その言葉に、シェリーの顔が真剣なものになった。

「ばっちり分かったわ。どうやらこの妖怪は、あなたを倒すことで、自分の名を上げたかったみたいね」

「俺を・・・?」

「ええ。今あなたは、妖怪達の間で最も恐れられている退魔師の1人になっているの。『魔拳に睨まれたら最後、必ず死ぬことになる』ってね。そんな退魔師を倒すことで、他の妖怪達からの信頼や評判を上げたかったみたいね」

「チッ・・・下らねえ・・・。それが理由かよ」

「ええ。『1つ目のね』」

 シェリーのその返答に、衛が怪訝な表情を浮かべる。

「『1つ目』・・・?」

「ええ。もう一つの理由があるの」


 その時、呆然としていた柳善の顔が、弾かれたようにシェリーに向いた。

「・・・!やっ、止めろ女!!それは、それだけは言うな!!」

 柳善は必死に、シェリーの次の言葉を制しようとする。

 目が血走り、顔がほのかに青ざめていた。

「それはね───」

「やっ、止めろ!言うな女!!止めろおおおおおおおおおおおおっ!!」

 柳善が叫ぶ。

 しかし───シェリーは口を動かすのを止めなかった。

 そして───告げた。


「あなたが怖かったからよ」

「・・・何?」


「さっきも言った通り、あなたは妖怪達からとても恐れられている。その上、あなたは多くの闘いを経ていく中で、凄まじい速度で強くなっていく。しかも、あなたには妖術は通用しない。・・・『もし、そんな退魔師が、自分の前に立ち塞がったら?』この妖怪は、そう考えたみたいね」

「止めろっ!止めろぉぉぉっ!!」

「自分には、直接相手を攻撃する力はない。その上、魔拳には自分の洗脳術は通用しない。もし魔拳が自分の前に立ちはだかったら、自分は間違いなく殺される。そんな恐ろしい目には、絶対に遭いたくない。だから、これ以上力を手に入れる前に、芽を摘んでおかなければならない───そう考えたのよ」

「なるほどな・・・」

 ようやく合点がいった。

 衛はそう思いながら、柳善に蔑みの視線を送った。

「ああああああっ!止めろ!見るな・・・!そんな目で私を見るな!!」

 柳善は、激しく取り乱しながら叫ぶ。

 彼は、非常にプライドが高い性格であった。

 そのプライドも、シェリーが暴露した内容によって、完全に崩壊を迎えていた。

 もはや彼に、闘いの前に見せていた尊大な態度は、微塵も残ってはいなかった。


「そんな下らねえ理由で───」

 柳善の胸ぐらから、衛が手を離す。

 それによって、柳善は無様に尻餅をついた。

「そんなふざけた理由で、俺に喧嘩を売り・・・無関係な人達まで巻き込んだって訳だな?」

「ひぃっ!ひぃぃぃぃぃっ!!」

 衛の凄まじい気迫に気圧されながら、柳善が後退る。

 尻餅をついたまま、変形した右手と、指がいくつか欠けている左手を使って、じりじりと後ろへと下がる。


「やっ、止めて───」

「止めねえ」

「たたた、助け───」

「助けねえ」

「そっ、そんな・・・い、嫌だ、・・・あ・・・あっ、ぁ、ああ、そうだ、そうだ!!」

 突如、柳善の表情が変わった。

 恐怖におびえる表情から、引き攣った笑みへと転じていた。

「わ、私と手を組もう!そして、魔拳を現人神とした宗教を作ろう!!」

「ああ・・・?宗教だ・・・?」

 柳善が口にした突拍子もない言葉に、衛が顔を歪める。

「そっ、そうです、あなた様の御力と私の洗脳術さえあれば、愚かな人間や妖怪共を従えることなど造作もありません!!」

「・・・」

「さぁ、魔拳様!!共に理想郷を作り上げましょう!!あなたが望む、素晴らしい世界を!!」

「・・・・・」

 衛が目を伏せ、僅かに俯く。

 とことんくだらねえ───柳善の命乞いを聞きながら、衛はそう思った。


「『魔拳』・・・か・・・」

「えっ、ええ!魔拳様!あなたの力さえあれば───!」

 柳善が命乞いの言葉をなおも紡ぐ。

 それを耳にし、衛のはらわたが再び煮え繰り返る。

 全身を巡る抗体が、ふつふつと湧き上がって来る。

「妖怪からそう呼ばれてるって知った時・・・本当に下らねぇ名前だって思ったよ・・・」

「へ?」

「ダサくて大袈裟で痛々しくて・・・ハッキリ言って、馬鹿にされてるんじゃねえかって思ってた。そう呼ばれる度に、激しくムカついてた」

「え・・・?」

「けどな───」

「え・・・?え・・・・・・・・?」


 その時───

「・・・今は、違う」

「───!?」

 衛の顔が再び上がる。

 その瞳には、これまで以上の怒りが、憎悪が燃え滾っていた。

 目の前の妖怪への明確な殺意が、瞳の中で暴れ狂っていた。

「決めたぜ・・・。この『魔拳』って名前を聞いて・・・貴様のようなクズ共が、俺に対して心の底から震え上がるってんなら・・・俺はいくらでも魔拳と名乗ってやる・・・!」

「あぅっ・・・あ、あが・・・・・!!」

 柳善の顔が青ざめる。

 全身から冷汗が噴き出す。

 彼の瞳には、衛の右拳が映っていた。

 その拳から───抗体の光が噴き出す。

 衛の憎悪を象徴する抗体の炎が、グローブに覆われた拳を、更に包み込んでいく。


「これから俺が言うことを良く聞け・・・!そして、今まで俺が地獄に落としてやった連中に、冥土の土産としてたっぷりと聞かせてやれ・・・!!」

「う、あ、あああああっ・・・!」

 衛が右拳を振り上げる。

 憎悪が凝縮された禍々しい右拳を、大きく掲げる。


「今から俺の名は───!」

「うわあああああああああああああああっ!!」

 振り上げた拳を、衛は更に固く握り込む。

 骨が軋み、グローブがギリギリと張り詰める。

 そして柳善の顔を目掛けて、思いきり振り下ろし───

「『魔拳』───!青木、衛だああああああああっ!!」

「───!!」

 柳善の顔面を、粉々に叩き潰した。


 草地に横たわる柳善の遺体が、ぴくぴくと痙攣する。

 その痙攣が止まってから───その身体はゆっくりと塵になり、消え失せた。

 それを確認し、衛が大きく息を吐く。

 俯いたまま、柳善の遺体があった場所を、静かに見詰めていた。


「・・・終わったわね」

「・・・・・ああ」

 シェリーの言葉に、衛は短く返事をする。

 体が重い。

 倦怠感が酷い。

 先程まで満ち溢れていた生命力は、彼の身体には残っていなかった。

「さてと・・・それじゃあ、被害者達を何とかしないとね。切腹した被害者は、あなたの助手さんが治癒してくれてるけど───」

「・・・・・・・・・・・ああ」

「・・・?」

 その時、シェリーが衛の異変に気付いた。

 俯いたまま、その場に立ち竦んでいる。

「どうしたの・・・?」

 シェリーが、顔を覗き込む。

 衛の青ざめた顔を。

「・・・ちょっと、大丈夫・・・?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 衛は、返事をしなかった。

 呆然と立ち竦んだまま───ゆっくりと、崩れるように倒れた。


「・・・!しっかりして!目を覚ましなさい!」

 シェリーが衛に呼び掛ける。

 その声を、衛はまるで、遙か遠くから聞こえる声のように感じていた。

 瞼が重くなっていく。

 急激に、視界が暗くなっていく。

 衛はそんな中、この闘いで晒した、己の弱さを反省していた。

 己の甘さを。

 己の浅はかさを。

 

 そして同時に───衛は、祈りを捧げていた。

 腹を切らされた人達よ、全員助かってくれ。

 誰も死なないでくれ。

 そう願いながら、衛の意識は遠のいていった───


 次の投稿日は未定です。


【追記】

 次は、日曜日の午前10時に投稿する予定です。

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