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魔拳、狂ひて  作者: 武田道志郎
第六話『魔拳参上』
73/310

魔拳参上 二十二

【これまでのあらすじ】

 義満と康治郎を相手に、互角以上の闘いを繰り広げる衛。

 そんな彼に、柳善は信者達の命を使って、ハンディを強要する。

 ルールを破れば、信者達に腹を切らせる───柳善の卑怯な手段の前に、遂に衛が倒れてしまう───


※11/22追記

 このパートを投稿する際、この物語の根本にも関わる重要な文が抜けている状態で投稿していました。

 遅くなってしまいましたが、本文中に追記させていただきます。

 本当に申し訳ございません。

17

「――――ッハハハハハ、ハッハハハハハハ!!」

 辺りに、柳善の高笑いが木霊する。

「やった・・・やったぞ・・・!これで私は・・・理想へとまた一歩近付いた・・・!!」

 高笑いの後、柳善が呟く。

 その表情は、まさしく狂喜。

 妖怪としての残酷な本性が表れていた。


「う・・・嘘・・・嘘・・・でしょ・・・!?」

「そんな・・・そんな・・・馬鹿な・・・!」

 マリーと舞依が、愕然と呟く。

 その瞳には、ボロボロな姿で倒れ伏す衛が映っていた。

 衛が敗けた―――その事実が、信じられなかった。

「ま・・・衛っ!!」

「目を覚ませ、衛!!」

 2人は泣き叫びながら、衛に駆け寄ろうとする。

 ───まだ死んでいない。

 ───死ぬはずがない。

 ───死なせる訳にはいかない。

 そう、己に必死に言い聞かせながら。


 そんな両者の前に、人影が立ちはだかった。

 柳善によって洗脳された被害者であった。

「ど、どいて・・・!お願い、どいてよ!!」

「どくんじゃ!どいてくれ!早く行かんと、衛が死んでしまう!!」

 2人は立ち止まり、行く手を阻む信者に涙ながらに訴えた。

 しかし、無駄であった。

 虚ろな表情を浮かべる信者の心に、少女達の悲痛な叫びは届かなかった。


「その妖怪達を捕らえなさい。彼女達も、私の信者として迎え入れましょう」

 そんな信者に、柳善はいやらしい笑みを浮かべ続けながら指示を下した。

「は―――」

 信者は、短く返事をする。

 そして、ゆっくりと―――人形達へと歩み始めた

「ひっ・・・い、嫌・・・嫌・・・!」

「く、来るな・・・!わしらに近寄るな・・・!」

 それを見た2人は、後退りながら引きつった声を上げる。

 しかし、そんな怯えた様子の少女を目にしても、その信者は立ち止まることはなかった。


「ククク・・・素直に仲間になれば、恐ろしい目に遭わずに済むものを・・・。さて―――」

 柳善は、倒れ伏す衛に目を向ける。

 立ち上がる気配は―――ない。

「素晴らしい闘いを披露してくれた礼として・・・私自ら、引導を下してあげましょう」

 そう言うと、柳善は衛の傍らに歩み寄る。


「・・・それにしても、噂通りでしたね。『自殺という言葉や行為に直面すると、魔拳は正常な判断力を失う』。この弱点のおかげで、楽に倒すことが出来ましたよ・・・!」

 衛の傍らに立った柳善は、そう独り言ちる。

 そして懐から、他の信者達が持っているものと違う、華美な装飾が施されているナイフを取り出した。


「ククク・・・私の手に掛かることを誉れとし、安心して地獄に堕ちなさい・・・!」

 柳善は口の端を、一層大きく吊り上げた。

 そしてしゃがみ込み、衛の首を切り裂こうと、手にしたナイフを近付け―――

 次は、金曜日の午前10時に投稿する予定です。

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