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魔拳、狂ひて  作者: 武田道志郎
第十四話『夢幻指弾』
274/310

夢幻指弾 八

7

 パーカーの男は、寂れた道を歩きながら、コンビニで買ったホットドッグを頬張っていた。

 しっとりとしたパンと安っぽいソーセージの食感、刺激的なケチャップの味が口の中で混ざり合う。

 くちゃくちゃと咀嚼し、左手のコーラに口をつけ、一息に喉の奥へと流し込む。

 そのまま勢いに任せ、コーラを全て飲み干し、大きなゲップで炭酸を吐き出した。


 ──ひとまず、空腹は満たされた。

 超能力を使うには、まずエネルギーの補給が第一である。

 何より、腹が減っては戦は出来ぬということわざがある。戦は人を殺すもの。つまり、人を殺す前には、しっかりと腹ごしらえをしなければならない。男はそう考えていた。


 今日までに殺した数は12人。

 そろそろ、顔が割れてもいい頃だ。

 ここからは、慎重に行動しなければならない。

 ゴールに辿り着いたわけではない。まだ走り出した途中なのだ。

 男は己にそう言い聞かせながら、道を歩き続けた。


(……さて、次は誰にするか?)

 男は歩きながら、己が仕留めんとする新たな獲物について、想いを馳せ始めた。

(そういえばさっき、派手な格好をしたガキ共が歩いてやがったな)

 ふと立ち止まり、つい先ほど見かけた、二人の少女のことを思い出した。

 一人は金髪のドレス姿。もう一人は黒い髪の着物姿であった。

(次は、あいつらを狙ってみるかな)

 男はそう決心すると、少女たちが向かおうとしていた場所へ再び歩き始めた。


 ──先方からのオーダーは、『サンプルを使用して、一人でも多く殺す』こと。

 対象は誰でもいい。

 だが、強いて言うならば、『民衆が知ったら怒り狂うようなことをしてほしい』らしい。


 男は、そのオーダー通りに殺した。

 女子供であろうと、容赦なく殺した。

 結果、世間は犯人に対して激しい怒りを露にしている。


 最高の仕事だ。

 能力を思う様使うことが出来、しかもサンプルのおかげで強くしてもらえる。

 その上、人を殺すだけで金がたんまりと貰える。

 良いこと尽くしだ。これほどまでに楽な仕事はない。ストレス解消にももってこいだ。


 ──もっとだ。もっと狩らなければ。

 この素晴らしい仕事を、もっと遂行しなければ。

 男はそう思いながら、口の端を思い切り吊り上げて笑った。

「……せっかくだから、今回はダブルプレイにしてみるか」

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