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王様の付き人  作者: 水無月綾
第一章 少年、付き人になる
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突然の報告による混乱

「は、なに? 付き人?」

「そう、付き人。魔王様の側についてお世話をする人だよ。学校で習っただろ?」

騎士団に入るためには、4年間学校で学ぶ必要がある。

4年の間に、武器の使い方や、自分が向いている部隊を見つけたり、訓練をしたりする。

「そりゃ、習ったけどさ……。急過ぎてなにがなんだか……」

フィリックは、まだ混乱していた。

「まぁな、今朝決まったことだし」

「今朝!? 誰と決めたんだよ?」

「ん? 私とお偉いさんたち数人」

「……なんでその中に、俺が入っていないんだ!? 普通、その……選ばれたやつも一緒に加わって話をするんじゃ……」

「まあ、そこは私の息子だしね。推薦しておいた」

ロベルは現在司書として魔界城で働いているが、その昔はフィリックと同じように騎士団の一員だった。

足を怪我してしまったため、今は騎士として活躍してはいない。

ただ、過去の実績のおかげで、こうした重大な会議のときなどは、参加できる。

「推薦って……。俺に聞かないでなんで勝手に決めるんだろうなぁ、父さんは」

フィリックは、軽く頭をかかえた。

「ちなみに、お前に早く知らせなかったのは、怒ると思ったからだ」

「当たり前だろ、そんな重要な仕事、勝手に決めやがって! 」

「だって、フィリック怒ると怖いんだもん」

「男のくせに、「もん」とか言うな! ……はぁ、でも。決まっちまったもんは、仕方ねぇか……」

「お、意外にやる気なのか?」

「……親じゃなかったら、ぶん殴っているところだぞ」

「怖い怖い。でも、話がわかる息子で、父さん助かった」

「でもよ、言っておくが、ちゃんと出来るかわからねぇぞ? 大変なんだろ?」

「うん、大変だよ」

「はぁ……」

フィリックは溜め息をつくと、手首にはめていた輪ゴムをくわえて、髪を一つにまとめだした。

「じゃあ、朝ご飯食べて行ってらっしゃい、フィリック。あ、どうせだから、パパも朝ご飯食べて行ったら良いんじゃないかしら?」

アンナの言葉に、ロベルは改めてテーブルの上に乗っている毒々しい色をした料理を見つめた。

「そ、そうだな」

ロベルは苦笑いしながら椅子に腰掛けた。


朝食を終えたフィリックとロベルは、家をでた。

左足を怪我しているロベルは、少し引きずるような歩き方をしている。

フィリックは腰に、お気に入りの愛刀を差している。

「ママ、また一人にさせてしまうな……」

「うん。でも、俺も強くなりたいしさ。心配ではあるけど」

「……無理はするなよ」

「おう。わかってる」

フィリックとロベルは、掌をギュッと握ると、拳同士を軽くぶつけあった。

自然と笑いあった。


見慣れた家が、小さくなっていく。

デルケントの城下街を抜けて、中心街を目指す。





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