この国のこと
魔界『ダグレッド』
暗い紫色の空がどこまでも続く世界だ。
この世界では、たくさんの悪魔や魔物たちが暮らしている。
日常に満足し安定した暮らしをしている者もいるが、ずる賢くなにか悪さをしようと企む者もいる。
魔界を束ねる力を持っているのは、魔王のみ。
その力を求めて、多くの悪魔が魔王の座を狙っている。
大都市『デルケント』
魔界『ダグレッド』の中心に位置する大都市だ。
暮らしている者たちの貧富の差はあるが、気候も安定しており住みやすい。
『デルケント』の中心に、魔王城は建っている。
名前の通り、ここでは魔王が暮らしている。
長い歴史の中で、何代もの魔王が誕生し、魔界を支配してきた。
しかし、魔王一人の手でこの大きな国を治めるのは至難の業。
そこで誕生したのは、魔王を守るための騎士団。
魔王城では、魔王を守るため騎士たちが日々活動している。
魔王の座を狙おうと、多くの悪魔たちが狙っている。
常に命の危機にさらされているのだ。
それを阻止するために、騎士団は存在する。
世界の各地にも騎士団は存在する。
魔王の目が届かないところにも騎士団を置くことで、見落としがちな火種を潰すことができるのだ。
騎士団は、三つの大きな部隊に分かれている。
戦闘部隊、治癒部隊、開発部隊だ。
その中に、特別な部隊が存在する。
部隊と言っても、大人数ではなく、たった一人が所属する部隊だ。
それは、「付き人」と呼ばれている。
魔王の側にいつでも付き添い、まわりの世話をするのが仕事だ。
もちろん護衛も兼ねている。
この話は、その「付き人」になった少年が、日々奮闘する物語である。
しかし、少年はまだ、自分が「付き人」になったことを知らない。