洋楽きっちゃ組 4
どーも初めまして。
前作等から来てくれた方は、今後もどうかよろしくお願いいたします。
メタ発言と自家発電って、なんか響きが似てますよね。
ところで、日本語って難しいですよね。特に書き言葉ですが。
書きようによって、もしくは読み取りようによって、言葉の意味というものは多種多様に変化します。書いた本人が望む形にせよそうでないにせよ。
話し言葉というのはその点で楽ですね。アクセントやイントネーション、力の入れ方や凄みで、意味はあまり誤解されなくなりますし。
ですので書き言葉というものは、細心の注意を払って紡いでいかなければなりません。そうでなければ、間違いというものはすぐに起こるものなのですから。
前置きはこれくらいにして。
人にはっきりと悪意ある言葉を発するというのは、ある意味才能である気がします。
だって、その矛先にいる人から嫌われるのを承知の上でなお、その行動をとれるのですから。僕には恐くてできません。
いつもの流れですが、今回紹介するのはそんな人です。
ですが、そのお方は、僕が知り合った中でもかなりまれな出会い方をした人でして。
基本的に僕は積極的に見知らぬ人に声をかける部類ではないので、知り合いの大多数は僕に話しかけてくれたお方ばかりです。
ですが、この人は、ついつい僕が声をかけてしまったうちの一人だったり。
『四巳返 夜又夜』
というわけで、よもやさんです。こんにちわ。
「はいこんにちわ。とっとと帰ってdeathれ」
とっぱじめからそんなに突っぱねないでくださいよ。興奮したじゃないですか。
「万年発情期は家に帰る途中でトラックに吹っ飛ばされてdeadしてな。で、何の用」
まあ興奮してはいないのでそこは冗談としてスルーしておいてください。
よもやさんはそこそこ裕福な家庭で生まれた、箱入り娘さんなのです。
両親ともにご健在。お二人とも、ご病気をなされたことは一度もないとか。
そんなご両親は、生まれたばかりのよもやさんを溺愛。その父性ないし母性愛は留まることなく、よもやさんが高校生になった今でも、目に入れても痛くないと思っているらしい。
「何でそんなプライバシーの欠片もない情報知ってんだよkillるぞ」
そんな二人に甘やかしに甘やかされて育った結果、このような言葉遣いのよもやさんがいるのでした。
「うるせーなあたしが何喋ろうと勝手だろ轢かれてdeathれ」
こんな日本語に混じる英語に殺意しか見え隠れしていないよもやさんですが、成績はトップクラスだったり。
実際、この不良チックなよもやさんを、補習室で見たことは一度もなかったりするのです。
クイズ番組を一緒に見てても、圧倒的に答えられる問題数が違ったり。この前は2ケタ以上も差をつけられたこともありましたし。
「誰に向かってそんなカミングアウトしてんだ遂にお花畑でも見えるようになったなら妖精さんに導かれてdeadしてな」
そろそろ目が本気になってきたので、外見のコーナー。
非常に美麗なお顔立ちをしているよもやさんは、前髪を上げてオールバック。肩より長いくらいの後ろ髪は三つ編みに。それに伊達眼鏡をかけて、口元にはいつもアイスの棒をくわえています。
「口元が寂しーんだよそんで誰が褒めろっつったkillるぞ」
そしてハーフではないのですが地毛だという、少し淡いくらいの赤い髪。ああ、さっき言えばよかったですかね。
突然変異的に赤毛になったらしいのですが、そこら辺の真相はブラックだったり。
いや、とても綺麗なんですけれど、その色とこの人となりのせいで、色々な噂が立っているのです。
「何の噂だよ早く言えよ言わなかったらdeadりな」
ありきたりな話で言えば、よもやさんは元ヤンで、レディースの総番。髪は元々色素が薄くて白髪ぽかったが、それを馬鹿にした方をボコボコにして、その血で赤く染め上げたという、話でして。
「それ言ったヤツ誰だよ根も葉もない噂だからそいつ呼べよdeathらすから」
そんなぶっそうなこと言わないでくださいよ。伝説が実話になるじゃないですか。
ところでこんな相手に殺意むき出しのよもやさんでも、優しいときがあったりするのです。
以前僕が大量の買い出しを要求されてそれに向かった帰り道でのこと。
重い荷物を腕に抱えて歩いていた僕の前に、よもやさんが見えまして。
すごいありきたりなシチュエーションですけど、よもやさんが僕の荷物を一つ持ってくれて。
まあでも、あまりいい話ではないんですけどね。
「良心の呵責に負けた他のメンツがもう一度ジャンケンするから負けたヤツ手伝ってこいっていう話で負けたんだよジャンケン弱かったんだよ馬鹿にすんなよdeadれ」
という話です。それでもまあ、僕としては本当に荷物を持ってくれただけでも、なぜか無性に嬉しくなりまして。まあ、帰る間に、色々と辛らつな言葉をぶつけられましたが。
「普通は男が無理してでも全部持つもんなんだよか弱い女性に持たせんじゃねーよkillるぞ」
そういえば一つ質問なのですが。
「何だよ手短に言えよじゃなきゃdeadれ」
よもやさん、僕に対してだけですよね。殺意をむき出しにするの。
「別にてめーが言わせるような態度とるからだろこっちに責任はねーよdeathりな」
まあ、他の方と会話してるの自体あまり見たことありませんから、断定はしませんけど。それでも、いつもの方々と会話するときは、少なくとも普通に話してますよね。
「あいつらはいつもネジ飛んでるからこっちは逆にネジ巻かねーと何かが狂うんだよkillるぞ」
まあ、否定はしませんが。
というか、じゃあ僕と話すときだけは逆にネジを巻き忘れてるんですか。
「ちげーよこれが素なんだよdeadりてーのか」
うーん。ややこしくなってきたので考えるのをやめにしましょう。
それより、常にそう言われ続けてると、いつか本当によもやさんの呪詛が原因で死ぬんじゃないかとときどき思いますよ。どうするんですか本当にそうなったら。
「死なねーよ馬鹿か本気でそう思ってんなら逆にkillるぞ」
じゃあどうすればいいんですか。僕に生存の道が残されてないじゃないですか。
「てめーは老いてdieするかあたしがkillるかの2択しか残されてねーんだよ不慮の事故とか病気こじらせて死んだらただじゃおかねーぞdeathれ」
いやどうすればいいんですか。
というわけで、最近悩みとかないですか。
「何がというわけなんだよ全く文がつながらねーよdeathれ」
いや、以前はUFOキャッチャーでぬいぐるみがとれないから頼むとか、あったじゃないですか。
「ねーよそれあいつらに言ってねーだろうな言ってたらdeadっちまえ」
言ってませんよ。というか口止めしてきたじゃないですか。言ったら殺すって。
そういう関係のことですよ。女の子らしい望みを、僕が叶えてあげようというのです。
「いらねーよこっちはれっきとした女だバカヤローkillるぞ」
まあいいですけど。
とりあえず、今日はこのくらいにしておいてあげましょう。
「師匠テメー次会ったときまでにdieしてなきゃkillるからな」
いやなんですかその約束。そろそろ僕が生き残れるような語尾をつけてくださいよ。
そんなこんなで、四巳返夜又夜さんでしたー。
今日は早めに切り上げました。何でかといいますと、あれ以上話していたら、僕の命がなかったからです。
冗談抜きにして、長々と会話していたときにおもむろに席を立って、出刃包丁を突きつけられたこともありましたからね。その次の日にはけろりとした顔でまた会いましたけど。
なにか琴線に触れることでも言ったのかもしれませんが、今となってはわかりません。
でもまあ、今までの人たちと同じく、根はいい人なんですよ。
今だってほら、メールが返ってきましたし。
……お前似の不細工なぬいぐるみな次会ったときに持ってこなかったら火葬場送りにしてその骨をkillる
本当に、嫌われているのか好かれているのか、わかりづらい人です。
そんな照れ隠し?が素敵な、四巳返夜又夜さんでしたー。
次回はまた出会い編をやりたいと思っています。
読んでいただけたなら、幸いです。