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洋楽きっちゃ組 1

少々くどめのテイストです。

地の文がだらだら続いたり、要領のえない会話の応酬が嫌いな人は読むのを避けてください。

加えて、登場人物のメタ的な発言を嫌う人も、読むのを避けてください。

それでもいい方は、読んでいただけると幸いです。

僕は学校のチャイムが好きだ。

でも別に、あのメロディやゆったりしたテンポが、というわけではない。

あれが時間の節目節目に流れることで、自分の中でスイッチを切り変えられる。

普段の生活では、自堕落になりすぎてスイッチと壁が同化してしまっているから、もはや押すことすらできなくなっている僕にとって、この強制感は少し楽でいい。

自らではなく、言われるがまま。これもある意味堕落の道なのかもしれないけれど、他人の流れに乗るのは本当に楽だ。我の介入無しに手取り足取りなすがまま。僕はそこまで神経質でないから、命令されることに抵抗はない。何も考えずに動けることは、僕にとって喜びだ。

だからこのスイッチは、思考停止のスイッチだ。

みずからではなく、おのずから。その場の秩序に応じた行動を自然にとらされる。そういうプログラムをアクティブにするスイッチ。

そう考えると、僕は色々なものが好きになりうる。

目覚ましのタイマーだったり、携帯のアラーム、ラジオの時報だったり、建物の警報装置でも可能性はある。

でも最近は、学校のチャイムなのだ。

なんでかっていうと、学校に好きなものがあるから、だね。

いや、最近できた、っていうのが正しいかな。

別に購買部ができたとか、学食が新設されたとかそういうことでなく。

ちょっとした方々とお知り合いになりまして。

そのおかげで、僕のスクールライフがよりよいものになってきているという状況なのです。

そういう流れで、その方々を少しずつ紹介していきます。

メタとか言われても、僕にはさっぱり。


『睦月院 一子むつきいんかずね


どうもこんにちわ、かずねさん。

「ええ、こんにちわ。急に改まった態度で、どうしたの」

かずねさんは名字の雰囲気からも見て取れる、いいところのご令嬢だ。

詳しい職業は教えてもらえないけど、昔でいう財閥クラスの資産はあるらしい。

ご両親は多忙で、家にはなかなか帰らないけど、日曜日は必ず返ってきて、家族で過ごすことを決めているらしい。

「なに、その紹介文じみた発言は。今までのおさらい?」

かずねさんは成績トップの座を譲らせず、スポーツでも運動部の追随を許さない、エリート中のエリートである。

全国模試でも順位の欄に1以外の数字を見たことはいまだにない。いわゆるアドバイスの欄が白紙だったのを見たときは、フェルマーの最終定理でも解けるんじゃないかと思った。

人をまとめるのもうまく、この人がいるクラスの団結力は1枚岩どころの騒ぎじゃなかった。エアーズロックを彷彿とさせる、って言ってもわかりにくいか。

「そんなに褒めても何も出ないわよ。というか、照れるからやめなさい」

そして中身だけでなく、外見も素晴らしいのがかずねさんである。

スラッとのびた四肢に加え、大人びた顔つき。大和撫子のような艶やかな黒に染まった長い髪。

出るところは出て、締まるところは締まったメリハリボディ。この豊満な肉体に誘惑されない男はいないとまで言われるほど。えーと、たしかえーびーしーでぃーえふじ

「数えないの。目の前で品評されてるみたいだからいい加減おやめ」

さらに身長は182cmと、男子顔負けのルックスである。スーツを着ればキャリアウーマン。ユニフォームを着ればエース。着物を着れば大和撫子。女性でもこの人に告白するのは数知れずという。

「……今日は褒め殺しの日なの? もう秋口だっていうのに、暑くてしょうがないわ」

でもこんなかずねさんにも一つだけ欠点が。

この女子高生離れした美貌と統率能力のせいで、街を歩いていても大学生以上に見られてしまうというのが悩みなのである。大学生というのもいい方で、中には奥さんなんていわれることもぐはっ。


「げんこつ一発で足りたかしら。お望みとあらばみぞおちにサービスするわよ」

頭に大きなたんこぶをこさえたところで、少し落ち着きましょう。

かずねさんはというと、僕の根も葉もない発言によって沸点に到達、その後全ボクサーが泣くほどの速さでお仕置きをしたのでした。

口調は少し辛辣だけど、そっぽを向きながら頬の赤みがとれない。さっきまで照れていた名残が残っている、こんな女の子らしい側面もあるのです。ふふん、可愛いでしょう。

「人を見透かしたような発言をしない。あと、いつまで続けるの」

まだまだ語り尽くせないかずねさんの魅力ですが、今日はこの辺にしておいてあげましょう。

「明日もやるなんて言わないでくださいね師匠。いい加減元に戻りなさい」

そう言われちゃ戻らざるを得ませんね。あなたの命令は本当に心地いい。

「まったく、そろそろ変なフェチを直してもらいたいわね。あと、今日はいったい何だったの」

フェチではありません。これは僕の嗜好の一つです。

それと今日の思惑はというと、さっき言いましたよ。皆さんに、かずねさんの素晴らしさを理解してもらいたくてですね。

「はいはい、両方わかったわよ。言っても無駄だってことが」

そんなあからさまに肩をすくめなくてもいいじゃないですか。ああそうそう。ちょっと目上に見られるのが気になるんですよね。

「急に話題を変えたわね……別に、あまり気にしてないわよ」

もみあげをいじりながらそっぽ向いて小声で言われても、説得力皆無ですよ。

「うるさい。気にしないで」

頬が赤くなってますよ。ああぶたないでくださいぶたないでください。

話を戻しますが、メガネを外せば少し印象が変わるのでは。あと、前髪をおろすとか。典型的なデキる上司、みたいなイメージが定着しやすい見た目だと思うんですよ。いや、僕は好きなんですけど。

伊達じゃないのは知ってますから、コンタクトに変えてみてはいかがですか。

「それも考えた時期はあったけど、目に異物が入り込む感触に慣れなくて。1日で断念したわ」

知り合い始めは頼れるおねえさんだなと思ってましたけど、そう言う少女的なかわいさが垣間見えるとき、ありますよね。

「話が逸れてるわよ」

じゃあこれは置いといて、と。

じゃあメガネは外せない、ということなので、次は髪型ですね。

やっぱり前髪おろしてピンで留めるとか、あとは後ろをまとめるとか。ポニーテールみたいにして。

「私にそういう髪型は似合わないの。鏡で自分の姿を見て実感してるわ」

そう言いながらも少し憧れてるのが見て取れますよ。

「脱線中よ」

髪型も駄目、ですか。じゃああとは服装ですね。かずねさん、男っぽいシャツにパンツ合わせたりとか、そういう組み合わせが多いですよね。

「そう言われればそうね。着やすいものを選んでいるから」

ですので、少しひらひらしたものを着てみてはいかがですか。

ワンピースだったり、フリルのついたものとか。スカートなんかもはいてるのを見たことないですね。

「あのね、私の身長でワンピースとか似合うわけないでしょ。ましてスカートなんか」

似合うと思うんですけど、残念ですね。

「そんながっかりしないの。相変わらずあなたの嗜好はわからないわ」

クラスメートによく言われます。

「今度集まりがあったときに着てあげるから、しょげない」

という発言の裏に、実は着てみたいからこういう口実を作っておけば大丈夫、という策が見えるのは黙っておいたほうがよかったですか。

「気付かなかったことにしておいて」

わかりました。では今度の集まりに着てくれるんですね。楽しみにしています。

「そんなに期待しないで頂戴」

じゃあそこそこわくわくしています。

ではまたの機会に。


という、睦月院一子さんでした。

本人の前では言いませんでしたが、いちこ、いっこ、かずことか、名前を読み違えられるのも悩みの一つなのです。

あだ名でそう呼んでる人もいますけど、初対面の人はまず読み間違うそうで。その度に内心しょんぼりしているとか。

なので、将来は会社を立ち上げて、大きくルビを振った名刺を作るのが夢だとか。大きいのやら小さいのやら。

そういうところも可愛い、睦月院一子さんでした。

次も似たような形式で登場人物の紹介です。

見ていただければ幸いです。

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