第19話 不穏な空気だった
―――「つまりこの人は、バドルさんともう一人のS級の生き残りだ......」
四人が驚きの表情を浮かべている中、ミリアは何かに気づいたようだった。
「ちょっと待って、アーデットってギルマスに言われてた人じゃない?」
「ほんとだ!今回のバドルさんからの依頼内容にあった名前だ」
ヴァールが鞄から、紐で巻かれた手紙を取り出し、アーデットに渡す。
「バドルから俺に手紙か?」
アーデットはヴァールから手紙を受け取った。
「では、依頼は完了しましたので僕たちはこれで」
「お腹減った〜」
―――「ちょっと待ちなよ」
すると―――
アーデットは警備兵を探しに行こうとする五人を止めた。
「どうかしましたか?」
「お前らにはしばらくここに滞在してもらうぜ」
――― 一方その頃、騎士団庁舎にて
コン...コン、ガチャ…
扉が開くと、騎士が立っていた。
「騎士団長!報告いたします!」
騎士団長室の机には、ハミルが腰掛け書類に目を通していた。
ハミルが顔を上げる。
「スレイブ王国内の住民から、見覚えのないダーツが家の壁に刺さっていたとの報告が3件ほどありました」
「なにっ.........!」
ハミルは立ち上がり、怒りが表情に浮かんでいた。
「回収した物はどこに?」
「開発部隊が解析に当たっています」
「案内しろ」
騎士はハミルを連れ、騎士団庁舎内にある開発部隊の元へ向かった。
ガチャ…
ハミルは技術開発室へと入った。
室内は白を基調としており、団員が淡々と作業をしている。
すると、ハミルに気づいた団員が挨拶をする。
「お疲れ様です、騎士団長」
「解析は進んでいるか?」
「.......はい」
曇った表情をする団員に、ハミルが尋ねる。
「どうした?」
「解析を行ったのですが、......この物からは何も痕跡が見当たりませんでした」
「っ......!」
ガチャ…
ハミルは技術開発室を後にし、廊下に立ち尽くしていた。
終始冷静を貫いていたハミルだが、フェルドナードの狡猾さに改めて怒りを覚える。
―――ドクンッ。
魔力の漏れに気付かぬ程に心拍が上がっていた。
「ヒィッ.....!」
通りかかった騎士が、ハミルの魔力に腰を抜かしていた。
「も...申し訳ありませんでした!」
騎士は鬼気迫る表情でその場から走り去った。
ダンッ…
壁に拳を叩きつける音が廊下に響いた。
「..........」
――― その頃
「何を仰っているのか分からないのですが...」
「バドルに頼まれてな、今日から一ヶ月お前らを指導することになった」
アーデットは笑みを浮かべている。
「〝えぇぇーーーー!!〟」
「ってことで今日からよろしくな雷龍ちゃん」
五人は理解が追いつかない状況だったが、各々ミストウォーカーの件が脳裏によぎり、反対する者はいなかった。
「......分かりました。よろしくお願いします」
「よしっ、ラグザくんもういいよー」
アーデットが門の中に声を掛けると、奥から警備兵がでてきた。
「まったく、勘弁してくださいよ。これバレたらドヤされるの俺なんですからね」
「めんごめんご」
五人は身構えた。
隠れていたラグザに気付くことが出来なかったのだ。
そんな五人を見て、アーデットが話す。
「レベル高いだろ、警備兵なのに」
「あんまり褒めないでくださいよ、ただ向こうにいただけですから」
「ここはな、魔物や賊がやって来ることが多い。それを撃退するのも警備兵の役目なんだ。ラグザくんと今のお前らじゃ多分全力出して五分ってとこだぜ?」
黙って話を聞いていたミリアが、不服そうな表情で口を開けた。
「あんまり私達を舐めないでくれる?少しはやるみたいだけど全力の私達に敵うわけないでしょ」
「やめろミリア。ラグザさん申し訳ありませんでした」
ヴァールがラグザに向かい頭を下げる。
「いやいや、別になんとも思ってないので頭を上げてください」
「そんじゃ、挨拶もできた事だし飯でも行くか」
五人はラグザに冒険者証を見せ、都市メイビスに入っていった。
住民の楽しげな会話に、昼間からお酒を飲む人達で賑わっている。
「随分と活気に溢れている都市ですね」
「そうだろ、俺はメイビスが好きでな。数年前からここを拠点にしてるんだ」
アーデットと五人はしばらく歩き、大衆料理屋へ入り椅子に腰を下ろした。
すると店員が近付いてくる。
「あら、今日は大勢連れてどうしたんだい?」
「よっ店長、今日から一ヶ月間面倒見ることになった奴らだ」
「なるほどねぇ、あんたら腹減ったらいつでもおいで!サービスしてやっからね」
「おっ、太っ腹じゃねぇか」
「あんたは別だよアーデット」
「ありがとうございます」
ヴァール達が店長に一礼した。
店長に向かい、アーデットが注文を始める。
「とりあえず、いつもの人数分頼むよ」
「あいよっ」
注文を終えると、店長は厨房に向かい歩いていった。
その間にアーデットは、胸ポケットからバドルからの手紙を取り出し読み始める。
「やっぱりな......んなこったろうと思ったぜ」
「どういうことですか?」
五人がアーデットに視線を向ける。
するとアーデットが手紙を五人に見えるよう机に置いた。
「......スレイブが危ねぇ」
(つづく)
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《ステータス》
・三田 孝典 (みた たかのり)
・レベル3
・E級冒険者
・【固有職業:きのこマスター】
・【良質級:霧吹き】
【良質級:ゴム手袋(厚手・ピンク)】
・【ウィンドウ】【マップ:レベル2】
【会話:レベル2】【ガチャシステム】
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〝ダーツから痕跡が見当たらず激怒するハミル。そしてスレイブ王国の危機を知ったアーデット!
これからどうなるのか!?〟
次回お楽しみに!
(*・ω・)*_ _)ペコリ




