ゲーム前日譚の気持ち
小鳥のさえずりが聞こえるなか、メイドの「朝でございます」という声でアカリは目を覚ました。
「おはようございます、アカリ様。朝の準備を整えて、朝食にいたしましょう」
「は、はい……っ!」
メイドに起こされるという非現実な朝の始まりに、アカリのわくわくが加速していく。本当に自分が主人公になったのだと、実感して幸せいっぱいな気持ちだ。
***
――と、思っていたのに。
幸せ気分は割と一瞬で消えてしまった。
「アカリ、ドレスを着たまま走らない」
「はぁい」
「アカリ、言葉遣いに気を付けて」
「もちろんです」
「アカリ、貴族名鑑の暗記を……」
「…………っ」
――貴族の令嬢生活って、めちゃくちゃ大変!!
雇われた教師と、ときおりモーグリスが勉強を見てくれる。が、それでもアカリの淑女教育は思うように進まない。
「ある程度のマナーならわかるけど、淑女教育って何……」
元々日本人ということもあり、一般教養はアカリだって身についている。食事だって綺麗に食べれるし、ある程度の言葉遣いはできるつもりだ。
しかし、歩く際の姿勢や、普段使ったことのないお嬢様言葉など、新たに習得しなければならないものが多すぎた。
それでも頑張ってこれたのは、ヒロインとしてゲームを楽しみハルトナイツと結婚するためだ。
「それに、今はいうなればゲームの前日譚! 楽しくないわけがないっ!
大変ではあるけれど。
しかし、楽しい時間もある。それは、ダンスレッスンの時間だ。
「モーグリスお兄様、私ずっとダンスの練習がいいです!」
「また調子のいいことを言うんだから」
アカリの言葉に、モーグリスがくすくす笑う。
ダンスは練習相手が必要だろうということで、モーグリスが相手をしてくれるのだ。アカリはその時間が一番好きで、ハルトナイツと踊る日も夢見ている。
「アカリは楽しそうに踊るね」
「とっても楽しいですから! どうですか? 夜会で踊っても大丈夫ですか?」
「そうだね――足を踏まなくなったら、かな」
そう言って苦笑するモーグリスに、アカリは顔を青くする。たった今、足を踏んでしまったからだ。
「わああああぁぁ、ごめんなさいお兄様!!」
「大丈夫だよ。アカリが練習を頑張ってることは知っているからね」
「お兄様……」
優しいモーグリスにときめきがとまらない。モーグリスでこれなのだから、ハルトナイツに出会ったらどうなってしまうのだろうとアカリはドキドキが止まらなかった。
本日23時、アニメ放送です~!
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