楽しみすぎる
アカリ・ティトレイット。
これが、新しいあかりの名前だ。
モーグリスに出会ったアカリ――あかりは、ティトレイット家へ案内された。
怖い思いをしただろうからと、侍女をつけられお風呂に入り、今日は部屋で休んで明日以降に話をしよう……と。
アカリは姿見の前に立って、くるりと回ってみる。
「ネグリジェ可愛すぎるし、着心地も最高なんだけど……」
衣裳部屋にはドレスも揃っていて、まるでお姫様にでもなった気分だ。いや、乙女ゲームのヒロインになったのだから、似たようなものだろう。
「なんといっても、将来はハルトナイツ様と結婚して王妃になるんだから!」
まるで夢のようだ。
「ここは私が大好きなゲーム、『ラピスラズリの指輪』の世界! 続編じゃないからアクア様はいないけど……ハルトナイツ様のことだって、大好きなんだから! はああ、はやく実物のハルトナイツ様に会いたいよぅ」
アカリはベッドの上でごろんごろんと転がって、叫んでしまいたい欲をどうにか発散する。
「ハルトナイツ様にはもちろん会いたいけど、ほかの攻略キャラも生きてるんだよね? やばぁ」
結婚するのはハルトナイツに決まっているが、大好きなゲームキャラなのだから全員と仲良くなりたいなとアカリの頬が緩む。
しかし、ハッとした。
「ハルトナイツ様ってば、今はティアラローズの婚約者だ……!」
ゲーム終盤で婚約破棄イベントがあり、ハルトナイツはヒロインを選ぶ。しかしそれまで一年という期間があるので、自分の大好きな人がほかの女の婚約者でいるのを見ていなければいけないのだ。
――ゲームのときは気にしなかったけど、現実となると気が重くない?
「せっかくならゲームの終盤で召喚してくれたらよかったのに」
なんて思ってしまったが……アカリはぶんぶん首を振る。
「駄目、駄目よ! せっかくゲーム世界に来たんだから、楽しまなくちゃ!! ティアラローズに意地悪されるのは嫌だけど、どんなことをされるかは知ってるし……きっと大丈夫!」
今はそれよりも、どうやってハルトナイツとゲーム以上に親密になろうかなとか、ゲームで見た街を楽しく歩き回ってみたいなとか、そんなことで頭がいっぱいになる。
「私が今いるのはティトレイット家の領地でしょ? まず王都に行かなきゃよね」
ゲーム通りならば、学園の三年生で転入することになっている。そこから一年間は勉学を学び、攻略対象者たちと恋愛をし――一年後にエンディングを迎える。
「全キャラから告白とかされちゃったらどうしよう!」
アカリは「楽しみすぎて眠れないよ~!」と声をあげたが、疲れていたようでそれからすぐに寝落ちてしまった。
日付変わって本日、日曜23時~アニメ3話が順次公開です!
よろしくお願いします!




