【38話】狼の頭領
おひさし....
森の中を進む俺は、ウルフとの戦いで得た【嗅覚強化】を活かし、周囲の気配を敏感に感じ取っていた。このスキルは探索に役立ちそうだ。しかし、この階層にはまだまだ未知の敵が潜んでいる。油断は禁物だ。
「この先には何が待っているんだろう…」
俺は慎重に足を進めながら、森の奥へと向かう。すると、前方から低い唸り声が聞こえてきた。その声は一つではなく、複数のウルフが近づいていることを示していた。
「これは…群れか?」
俺は身を潜め、音のする方向に視線を向けた。すると、茂みの奥から次々とウルフが現れた。その数は10体。そして、その中心には一際大きく、威厳のあるウルフがいた。その毛並みは他のウルフよりも濃い灰色で、鋭い目が光っている。どうやら、これがアルファ・ウルフだ。
「やべえな…10体もいる上に、リーダー格までいるのか」
アルファ・ウルフは俺に気づくと、低く唸り声を上げ、群れを指揮するように頭を振った。一瞬の静寂の後、ウルフたちが一斉に襲いかかってきた。
「来るか…!」
俺は【身体強化】で反射神経を高め、最初の一撃をかわす。しかし、10体のウルフが四方八方から迫ってくる。俺は【影】を使って足元を絡め取り、数体の動きを封じるが、アルファ・ウルフが影を振りほどくように咆哮を上げた。
「くそっ、リーダーがいるから効かないのか…!」
俺は短剣を手に取り、【短剣術】を発動。近づいてきたウルフの一匹を素早く切り裂く。しかし、その隙をついて別のウルフが背後から襲いかかってきた。
「背後か…!」
俺は咄嗟に身をひるがえし、影を使ってそのウルフの動きを止める。しかし、アルファ・ウルフがその瞬間に猛然と突進してくる。その速さは他のウルフとは比べ物にならない。
「こいつ、やばい…!」
俺はアルファ・ウルフの攻撃をギリギリでかわし、その横腹に短剣を突き立てた。しかし、アルファ・ウルフは痛みに耐えながらも、鋭い牙で俺の腕を狙ってきた。
「ぐっ…!」
俺はアルファ・ウルフの牙から腕を引き抜き、血を拭いながら距離を取った。アルファ・ウルフも傷を負いながらも、まだ戦意は衰えていない。その目は俺を鋭く睨みつけ、次の攻撃の機会を伺っている。
「こいつ…まだやる気か!」
俺は【身体強化】をさらに高め、全身の感覚を研ぎ澄ませた。アルファ・ウルフの動きは速く、力も強い。しかし、俺にはまだ手札が残っている。
「影を使うだけじゃ足りないなら…これでどうだ!」
俺は【影】を最大限に発動し、地面から無数の影の触手を伸ばした。アルファ・ウルフはその触手を振りほどこうとするが、俺はそれを予測し、触手をアルファ・ウルフの四肢に絡めつけた。
「動けなくなったか…!」
アルファ・ウルフは咆哮を上げ、必死に抵抗するが、影の触手は緩まない。その隙に、俺は短剣を構え、アルファ・ウルフの急所を狙った。
「これで終わりだ!」
しかし、その瞬間、アルファ・ウルフの体から強烈な光が放たれた。影の触手が一瞬で崩れ、俺はその光に目を眩ませながらも、咄嗟に後ろに飛び退いた。
「なんだこりゃ…!?」
アルファ・ウルフの体が光に包まれ、その姿が変化し始めた。毛並みはさらに輝きを増し、体躯はさらに巨大化した。どうやら、アルファ・ウルフは危機に陥ると真の力を解放するようだ。
「まさか…二段階変身するのか!?」
アルファ・ウルフは咆哮を上げ、その声は森全体に響き渡った。その瞬間、周囲のウルフたちも再び立ち上がり、俺を取り囲むように迫ってきた。
「くそっ…これじゃあ数の上でも不利だ!」
俺は焦りながらも、冷静に状況を分析した。アルファ・ウルフの真の力は未知数だが、まずは周りのウルフたちを片付けなければならない。
「よし、まずは雑魚からだ!」
俺は【短剣術】を発動し、最も近くにいるウルフに襲いかかった。短剣がウルフの喉元を貫き、一撃で倒す。しかし、その隙に他のウルフが背後から襲いかかってくる。
「背後か…!」
俺は影を使ってそのウルフの動きを封じ、短剣でとどめを刺す。しかし、アルファ・ウルフがその瞬間に猛然と突進してきた。その速さは以前よりもさらに速く、俺はかわすことができずに肩に鋭い痛みを感じた。
「ぐっ…!」
俺は肩に深い傷を負いながらも、そのままアルファ・ウルフの横腹に短剣を突き立てた。アルファ・ウルフは痛みに唸り声を上げ、その場に倒れ込んだ。
「これで…どうだ!」
俺は息を整え、残りのウルフたちに目を向けた。アルファ・ウルフを倒したことで、群れの統制が乱れているようだ。俺はその隙をついて、一匹ずつ確実に倒していく。
「これで…終わりだ!」
最後の一匹を倒し、俺は深く息を吐いた。周囲にはウルフたちの体が横たわり、静寂が戻ってきた。アルファ・ウルフの体からは、光る牙とともに特別な魔石が落ちていた。
「これは…アルファ・ウルフの魔石か。かなり貴重なものだな」
俺はそれを拾い上げ、ポーチに収納した。この魔石は、後で大きな役に立ちそうだ。
戦いが終わると、俺は少し休憩を取ることにした。森の中にはまだまだ敵が潜んでいるが、無理をしてはならない。俺は木陰に座り、水筒を取り出して水分補給をした。
「この階層は予想以上に手ごわいな…でも、これも冒険の醍醐味だ」
休憩を終え、俺は再び森の奥へと進む準備を整えた。次の目的地は、この階層のボスが待つ場所だ。事前の情報では、4階層のボスはさらに強力なモンスターらしい。
「さて、どうなることやら…」
俺はそう呟きながら、森の奥深くへと足を進めた。新たな挑戦が待っている。俺はその瞬間を楽しみながら、前に進むことを決意した。
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