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【第3話】深まる謎――『闇の制約』

新キャラです

 俺たちがコンビニでの強盗事件を何とか乗り越えた翌日、心の中にはまだ昨日の恐怖が残っていた。しかし、今日も普通の日常が始まる。学校に行く準備をしながら、俺はあの影の力について考えていた。


「風雅、早く朝ごはんを食べなさい!」


 母の声が台所から響く。


「はーい」


 俺は返事をして、朝の準備を急いだ。


 学校に着くと、まだ時間があったので、図書室へと向かった。「流石にいないか…」と孤独に打ちひしがれようとしていたのだが、涼介と奈々が図書室にいた。二人とも昨日の事件のことで何か話したい様子だ。


「おはよう、風雅。昨日はサンキューな。だけどよ、あれは一体何だったんだ?」


 涼介が開口一番に聞いてきた。


「正直、俺もよく分からないんだ。影が勝手に動いて、強盗を止めたみたいだけど...」


「新しいスキルが発現したんじゃない?」


 奈々が興奮気味に言った。


「そんなことが...でも、確かにそれしかないよな」


 スキルの発現は基本的に15歳で完了する。流石にもう17歳になって、諦めていた自分がいた。


 そんな俺にスキルが目覚めた。落ち着いてられない。


「帰りにメックで話そうぜ」


「わ、わかった!」


「図書室では静かにしろよ」


「あ、ごめん」


 声を荒げてしまった。でも、おまいう。


 チャイムがなりそうだったので、とりあえず解散した。


 授業中も、俺の頭の中は昨日の出来事と自分の影の力についての考えでいっぱいだった。どんな力なのか、どうやって使うのか、どうしてあのタイミングで発現したのか、どうして()()()()()なのか...考えれば考えるほど、不安と興奮が入り混じった感情が湧いてきた。


 放課後、俺たちは学校の近くのメックに集まった。注文を済ませてから、店の隅のテーブルに座った。


「じゃあ話そうぜ」


 涼介が提案する


「アレはホントすごかったよ!」


 奈々が話し始める。


「おれにもよくわか—」


「え?どんな感じだったん?」


「ちょっと待て」


 一人多いんだが?


「わりぃな風雅。こいつがどうしても来たいって言うからよ」


「隣のクラスの如月 颯人(きさらぎはやと)でーす。いえーいってかんじやね」


「いえーい!」


 細目の強キャラ感の強い男だ、君みたいなやつは関西弁って相場が決まってるんだ。


 それにしても奈々のノリが良いな。眩しい。


「昨日実はボクもあのコンビニにおったんよ」


 関西弁なんかいな(がんばった)。


「君もいたんだね」


「もしかしたら気づかんかっただけでスキルが元々あったんちゃうか?」


「検診は毎月言ってるから、出てても最近だと思うけど、、、」


 本当は毎年でいいけど毎月確認しに行ってるスキルコンプです。こんにちは。


「ほな本当に奇跡やねぇ」


「ちょっとぉー、二人だけで盛り上がってるぅー」


「仲間はずれはだめだぜー」


 笑顔で二人がこちらに話しかける。


「すまんな、やっぱおもろそうな話やとおもてな?」


 そんな感じでいつの間にか馴染んでいる颯人も入れて話していた。


「スキルを使う直前の感覚とかおぼえてるか?」


「なんか強盗の腕を掴んだ——」


 その瞬間まるで胃の中から無数の黒く薄い腕が口まで上がってきているような、そんな感覚がした。


 なんだ…?口が…動かない…


「強盗の腕がどうしたん?」


 颯人が問いかけてくる


「あっ…あっ」


 影の力とは比べ物にものならない、そんな力で押さえつけられている。俺はその力に抵抗せず、口を閉ざした。


「風雅!大丈夫か?」


「大丈夫大丈夫、くしゃみが出そうででなくて」


「あの感じやめてほしーよねー」


 なにやら颯人がこちらを向いているが心配しているのだろうか…


 ~~雑談~~


「明日から部活やね~」


「うわーそうじゃん!」


「まーいいんじゃん」


「がんば」


 えー上から、サッカー部、サッカー部、サッカー部マネ、帰宅部でございます。


 そんなこんなで解散した。


 家に帰ったあと、俺は影の力を検証していた。


 どうやらこの影は特に身体の力で強さが変わるというよりも、集中力とか、感情、そういった心の力、いわば、精神力で性能が変わるみたいだ。あとはスキル自体の練度などにもよるだろう。


 今は机やコップ程度なら持ち上げられる。もう少し集中力を高めれば、もっと重いものを動かせるかもしれない。そんなことを考えながら、影の力を使って部屋の中のさまざまな物を動かしてみた。


 机の上にあったペンの影をつまみ上げ、宙に浮かせる。その動きに合わせて集中力を高めると、ペンは徐々に上下左右に自由に動くようになった。


「よし、いい感じだ。」


 次に影を少しずつ広げ、部屋全体に広がるようにしてみた。影が部屋の隅々まで行き渡ると、その範囲内の物すべてを感知できるような感覚が生まれた。


「これで視覚に頼らずに物を動かせるかもしれない。」


 影の力を使い、部屋の中にある本を手元に引き寄せる。徐々に影の操作に慣れてきたものの、まだ完全には制御しきれていない部分もある。


「これからもっと強くなれるのか」


 そんなことを考えながら影の力を試していると、ふと昨日の強盗事件のことが頭に浮かんだ。強盗の腕を掴んだ瞬間に感じた異質な感覚…。もしかして、あの時に何かが起きたのかもしれない。


「まさか、俺が強盗のスキルを奪ったのか…?」


 疑念が心に広がる。そんなことが本当に可能なのか。自分の力がただの影の操作だけではないのではないかという不安と興奮が入り混じった感情が湧いてきた。


 その時、玄関のベルが鳴った。


「風雅、宅配便が届いたわよ!」


 母親の声が響く。急いで玄関に向かうと、母親が小さな包みを持ってきた。


「風雅、これ、あんた宛てよ。」


「ありがとう、母さん。」


 包みを受け取り、部屋に戻り、中身を見てみると前に注文した本だった。


「なんだ、『制約』か…」


 一瞬の拍子抜けしたが、すぐに本を読み始めた。だが、集中できない。頭の中は影の力のことでいっぱいだった。


「他者のスキルを奪う…そんなことが…」


 影の力を試し始めるが、集中が別の方に向いている


 その時、影が一瞬だけ大きく動き、机の上にあった本を落としてしまった。


「やべ…」


 影の力を使うたびに感じる異質な存在感…。まるで、まったく別のなにかが自分の中にあるような感覚があった。


「これって…」


 自分の力に対する疑念がますます深まる。もしかしたら、影だけではないかもしれない。


 とりあえず今日は寝ようかな。

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