表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/43

【31話】お久しぶりです、黒川さん

黒川おひさ~


皆さんもお久しぶりです。

 この時代にこんな物が残ってるのが意味わからんな。


 ビルの内部は薄暗く、古びた雰囲気が漂っていた。エレベーターは使えそうにないので、俺は階段を使うことにした。階段の鉄製の手すりは冷たく、少し錆びている。軽い足音が静寂の中に響き渡るたび、心臓の鼓動が少し早くなる。


 名刺に書かれていたフロアにたどり着くと、薄暗い廊下の先に、一つの扉が見えた。その扉には何の表示もなく、まるで周りから隠れるように存在していた。俺は一瞬、ここが本当に正しい場所なのか疑ったが、他に選択肢はない。


 深呼吸を一つしてから、ゆっくりと扉をノックする。数秒の間、何も反応がなく、ただ静寂だけが返ってくる。もう一度ノックしようかと考えたとき、扉がゆっくりと開いた。


 扉の向こうには、薄暗い照明が灯る狭い部屋が広がっていた。中にいるのは、スーツを着た中年の男、黒川さんだった。彼は落ち着いた表情で俺を見つめ、柔らかな声で言った。


「お待ちしておりました。どうぞ、お入りください。」


 黒川さんは礼儀正しく、丁寧に扉を広げ、俺を部屋の中に招き入れた。


 俺は緊張しつつも、リュックを背負い直して部屋に足を踏み入れた。部屋の中央には、古びた木製の机があり、その上には整然と並べられた書類が見える。黒川さんは机の裏に座り、俺に向かって座るように手で示した。


「どうぞ、おかけください。」


 黒川さんは微笑みを浮かべながら椅子を勧め、その口調には誠意が感じられた。


「今日は例の件で?」


 俺は少し緊張しながらも、用意していた言葉を思い出し、意を決して口を開いた。


「ああ、取引に来た。現物はこの中にある」


 黒川さんは軽く頷きながら、真剣な眼差しで俺の話に耳を傾けた。


「かしこまりました。確認いたします」


 俺はリュックから魔石と牙を取り出し、テーブルの上に広げた。黒川さんは丁寧に一つ一つを手に取り、じっくりと観察しながら評価していく。その動作には無駄がなく、長年の経験が感じられる。


 しばらくして、黒川さんは魔石と牙をテーブルに戻し、俺の方を見ながら言った。


「こちらのアイテムで、合計80万ほどになりますね。情報一人分の50万と、もう一人分の30万分として、これでお取引させていただいてもよろしいでしょうか?」


 俺はその言葉を聞いて、しばらく考えるそぶりを見せた後、静かに頷いた。


「頼む」


 黒川さんはその答えを受けて、満足そうに微笑み、再び丁寧に頷いた。


「ありがとうございます。では、一人目から話させていただきます」


 彼は少し姿勢を正し、真剣な表情に変わった。大変都合の良い情報が聞けた。


「一人目は【収納】のスキルを持つ男で、血晶石という強化剤を売りさばくことで生計を立てています。彼は『ブラッドドッグ』というグループの一員で、このグループは血晶石の売買を取り仕切っているんです。彼らはダンジョンから得た血晶石を、違法に市場へ流す実行犯の一部なんですが、その活動はかなり広範囲に及んでいます」


 この前の事件みたく、結晶石による被害は日々拡大している。


「彼のスキル【収納】を使えば、通常は持ち運びが困難な血晶石を簡単に隠し持つことができます。そして、もう一人の実行犯である【変身】のスキル持ちと協力し、さらにその行動をカモフラージュしているのです」


 俺は黒川さんの説明を聞きながら、心の中で計画を練り始めた。この二人のスキルは、俺にとって非常に価値がある。特に【収納】は、どんな場所でも無限に物を持ち運べる力であり、取引や戦闘で大きなアドバンテージとなるだろう。さらに【変身】は、どんな姿にも変わることができるため、潜入や逃走に最適だ。


 黒川さんは続けた。


「実は、明日その2人を含めた5人がギャング相手に大きな取引を行う予定です。場所は新宿の地下で、かなりの規模になると聞いています。この取引は『ブラッドドラッグ』の今後に大きな影響を与えるもので、彼らも慎重に準備を進めているようです。」


 この取引の場で、二人の能力者が集結する。彼らが一堂に会する絶好の機会を逃すわけにはいかない。もし、このタイミングで二人からスキルを奪うことができれば、()()()()()()()()()()()()()()()()


 つまり、明日がチャンスということか


「分かった。ありがとう」


 明日は、決戦の日になるだろう。

いかがでしたでしょうか、気に入っていただければいいねとポイントをお願いします。


あとTwitterもやっています。エピソード更新を報告しています。


ぜひフォローをお願いします→@owen_monokaki

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ