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【26話】スキル掻っ攫い計画:2

 新たなスキル、【咆哮】を試した俺は、自分の喉に破壊の限りを尽くした。あの恐ろしい声を発した瞬間、喉がひどく痛み、しばらくはまともに声が出せなかった。何とか【再生】で喉を回復させたが、あの力を使うたびに同じことが起こるのだろうかと考えると、少し気が重い。


 それでも、手に入れた力を無駄にするわけにはいかない。ゴブリンたちを倒して手に入れた魔石やアイテムを確認し、すぐにギルドへと向かうことにした。


 ギルドに到着すると、すぐにアイテムを買い取りに出した。受付で手続きを済ませ、カウンターの後ろで作業をしているギルド職員を眺めながら、ふとこれからのことを考えた。


 次のスキルを奪うまであと、今日を入れて5日しかないのだ。例の情報屋の名刺はまだ持ってるし、コンタクトを取ってみてもいいかもしれない。


 しばらくして、ギルド職員が俺に声をかけてきた。


「こちらのアイテム、全て問題なく買い取らせていただきました。合計金額はこちらです。」


 189,135¥


 わお。軽く寄っただけなのに稼ぎ方やばいなこれ。事実、俺は「【再生】✕ 20!」とかを自分で戦闘中に使えたりするから出来るわけで、普通の人がソロで同じようなことをやったら死ぬ。


 俺は提示された金額を確認し、満足そうに頷いた。これで当面の資金には困らないだろう。次の準備が整ったら、また動き出す必要がある。


「これでいい。次は何をすべきか…」


 俺はギルドを後にした。


 帰りの電車に揺られながら、次のターゲットの選び方を考える。正直、目立たないのが一番いい。歌舞伎町で暗躍する謎の存在というのもロマンがあるが、身バレして母親を人質にされたりしたら溜まったもんじゃない。


 ただやはり、歌舞伎町で誰かが消えたところで、誰も騒いだりはしない。組織に属していたハルトってやつはもしかしたら復讐に来る可能性もある。強くならねば。


 どうせ奪わないといけないなら、俺が必要なスキルを奪ったほうがいいだろう。家に帰ったら書き出してみよう。


 駅の出口から地上に出た時、グリムが話しかけてきた。


『奪うスキルなんて【限界超越】一択だろ?お前があれを持てばとんでもないことになる』


「アホか、友達だぞ」


『一応言ってみただけだよ。ケッ』


 まったく、困ったものだ。


 そして帰宅した俺は、ノートを取り出し、次に欲しいスキルを考えてみた。


【瞬間移動】 - かっこいい


【電撃】 -影と組み合わせるとかっこいい


【重力操作】 - 持ってるやついたとしても奪える気しない。


【異次元収納】 - シンプル便利だし、剣を虚空から出したい。


【耐性系スキル】-ありがたい


【鑑定】-グリムに嘘を言われる心配がなくなる。


【予知】 - 危機回避は欲しい。


【念動力】 - 影で同じようなこと出来るかこれは。


【影分身】 - 影を操れる俺のスキルと影分身は都合がいい。思考力さえあれば、無限に分身を作れる


【変身】-顔は影で隠せるけど、骨格は変えられないため、できるだけ暗躍するときは姿形を変えたい。


 俺はノートにスキルの候補をざっと書き出し、その中でも特に欲しいものをピックアップした。まずは【収納】、【鑑定】、そして【変身】だ。ダンジョン攻略や暗躍するために欠かせないものだ。


 ただ、奪いたいスキルを決めたところで、次はその持ち主を探さなければならない。これが一番厄介だ。欲しいスキルを自分で探すとなると大変だ。やっぱり情報屋に頼るのが手っ取り早そうだな。


 俺はポケットから例の情報屋の名刺を取り出し、そこに書かれた番号に電話をかけた。コール音が数回鳴った後、低く落ち着いた声が受話器から響いた。


「どうやら再びお会いできるようで光栄です。どのようなご用件でしょうか?」


 俺は簡潔に、自分が欲しいスキルとその持ち主の情報を求めていることを伝えた。情報屋は少しの間沈黙し、考えているようだったが、やがて口を開いた。


「ご希望のスキルを持つ人物が何名か心当たりがあります。ただし、情報の提供には相応の対価が必要です。どうでしょうか、取引をお考えでしょうか?」


「もちろんだ。で、いくらだ?」


 俺は無理した口調で答える。


「そうですね…。まず一人目の情報は50万¥。二人目以降は一律30万¥で提供させていただきます。」


 結構な額だが、今の俺には払えない金額ではない。これからの戦いに備えるためにも、情報は必須だ。


「わかった。50万¥で一人目の情報を頼む。」


「かしこまりました。では、詳細をお送りいたします。準備ができ次第、連絡いたしますのでお待ちください。」


 俺は情報屋との取引を進めるため、追加の条件を伝えることにした。彼が指定する金額は確かに高いが、俺にとっては払う価値がある。だが、現金ではなくアイテムでの支払いが可能かどうか確認する必要があった。


 再度、情報屋に提案を持ちかけた。


「現金の代わりに、アイテムで支払うのは可能か?現物で構わないなら、それで取引を進めたい。」


 電話の向こうで、少しの間沈黙が続いた後、情報屋が静かに応えた。


「アイテムでの支払いも問題ありません。ただし、こちらで価値を評価させていただくことになります。持参していただければ、その場で査定し、取引を進めましょう。」


 俺はその答えに満足し、さらなる条件を追加した。


「明後日の夜、アイテムを持っていく。その際、情報を渡してもらえるよう準備しておいてくれ。」


「かしこまりました。名刺に記してある住所に来てください」


 取引の準備が整った。次の一歩が成功を収めることを祈るばかりだ。

いかがでしたでしょうか、よろしければ、ブクマ、あと、ちょーっと下にスクロールしていいね、☆☆☆☆☆に評価をつけてくれると嬉しくて、トビます(迫真)。


《次回》第三階層、ボス


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