【22話】感謝と疑念
颯人に呼び出しくらいます、もしかして告白?
翌日、スマホが鳴った。颯人からの呼び出しだ。「屋上に来い」というメッセージが画面に表示される。昨夜のことを思い返しながら、少し緊張しつつも屋上に向かった。
ドアを開けると、冷たい風が肌に触れる。颯人はフェンスの近くに立って、俺が来るのを待っていたようだ。彼の表情は、昨日とは違って落ち着いている。
「昨日は、ありがとな」
颯人が俺に目を向け、感謝の言葉を口にした。
「いや、俺はただ…」
と返そうとしたが、颯人が軽く手を上げて遮った。
「いや、ほんまに助かったんや。でも、オマエ…一体なにもんや?俺のスピードに追いついてたで?」
【身体強化】を使っている身としては、こっちのセリフだ。颯人も強化系なのだろうか?
「俺のスピードに追いつくやつ、今までおらんかったんや。そんでな、俺のスキルを教えとくわ」
颯人は一瞬言葉を切り、真剣な表情で続けた。
「俺のスキルは【限界超越】や。成長の限界がなくなるっていうスキルやねん。普通、人間には限界があるやろ?でも俺にはそれがない」
彼の言葉には、特別な自信が感じられる。成長の限界がないスキル…それを聞いた瞬間、颯人のポテンシャルがどれだけ異常か理解した。彼のスピードや力は、これからどこまで上がるのか計り知れない。
「てことは俺が昨日の圭吾先輩みたいに顔面殴ったら効くの?」
「なんちゅうこと聞くねん、怖いわ。まぁ、多分昨日よりは強度上がっとるから、気絶はせんと思うけどな」
ほー
『しいってか? コイツのスキルが』
グリムの声が脳内に響く。
言ってないです、グリムさん。ほしいとは言ってませんよ。
『どうだかな…ケッ』
グリムの煽りに俺は思わず内心で溜息をついた。
「風雅は【影】やろ?どうやったらあんなスピード出るんや」
颯人が疑問をぶつけてくる。どう答えるべきか…咄嗟に頭を回転させる。
「いや、ほら、その…」
適当な理由を考えようとするが、なかなか良いアイデアが浮かばない。とっさに俺は苦し紛れの説明を試みた。
「影でさ、自分をちょっと持ち上げるんだよね。そうすると、力が変わらずに軽くなるからさ。だから速くなるんだよ」
どうにか、それっぽく言えた気がする。颯人はしばらく俺を見つめた後、軽く頷いた。
「そんな使い方できんねや。すごいな、影のスキルっちゅうのも奥が深いんやな」
そう言って笑う颯人に、俺も少しだけ肩の力を抜いた。
しかし、ここで一つ確信した。颯人はこれからどんどん強くなる。限界がない、というのはまさに底知れない力を持っていることを意味する。俺もそう簡単に安心はできないし、気を抜いてはいけない。
「ま、これからもよろしく頼むわ。お互い、もっと強くなろうや」
颯人はそう言って、俺に手を差し出した。その手を見つめ、俺は深呼吸を一つしてから握り返した。
「お。おう、こっちこそ」
「今度一緒にダンジョンでも行こうや」
一応予測はしていた誘いだった。
「冒険者だったんだ、颯人」
「まぁな。でも、部活あるからあんまいい行っとらんな、登録だけ」
忙しそうだしな。
「そうなんだ、時間が合えば行こ」
俺も颯人のスキルに興味があったし、自分自身の力も試してみたかった。お互いのスキルがどう活かせるのか、確かめてみたいという思いが湧いてくる。
ちょうどその時、昼のチャイムが鳴り響いた。俺たちは自然と会話を切り上げ、屋上を後にすることにした。
「じゃ、またな」
「おう、また」
短い言葉を交わし、颯人と別れて教室へ戻る。心の中ではダンジョンへ行く計画、そして、次の【スキル】を奪うターゲットのことを考えていた。
《死へのタイムリミット、残り5日》
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《次回》黒髪の女の子。
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