【20話】暴力と選択
圭吾に颯人の頭ぶん殴らせたけど、普通の人間なら死ぬ威力です。
###先輩の暴走を止めるため、グリムはスキルを奪うことを提案する。しかし、風雅の正義はそれを許さず。彼はそれを拒否した。###
俺は、別の道を選ぶ。圭吾を暴力で止めるのではなく、彼の苦しみを終わらせるために…。
「…圭吾先輩、もういいんだ…」
俺は静かに呟きながら、ダンジョンでスライムから奪った、【再生】使う決意をした。これを使えば、圭吾の苦しみの源となっているスキルと副作用、そのすべてを消し去ることができる。何個かストックが消えることになりそうだが、背に腹は代えられないし、なくなったらまた、足せばいいだけだ。
「…これで終わりにしよう」
俺は圭吾の方に向かって一歩、また一歩と確実に歩みを進めた。重くのしかかるプレッシャーの中で、【再生】を放つ準備をする。
「俺が…貴方を助けます…!」
その瞬間、俺の体から柔らかい光が溢れ出した。【再生】の力だ。ゆっくりとその光が広がり、圭吾に触れた瞬間、彼の狂気とプレッシャーが次第に薄れていくのを感じた。圭吾の体が震え、まるで重い鎖が解かれていくかのように、彼の目の狂気が少しずつ消えていった。
「…俺は…どうして…」
圭吾は、自分の体から何かが抜けていくのを感じ取っていた。彼を支配していた覇圧の力、そしてそれに伴う副作用が、次第に消え去っていく。
そして、力が完全に消えた瞬間、圭吾はその場に崩れ落ちた。
「圭吾先輩!」
俺はすぐに駆け寄った。圭吾の顔は苦しそうだったが、その表情には狂気の影が消えていた。呼吸は乱れていたが、安らかな顔つきに戻っていた。
俺は肩で息をしながら、圭吾の無事を確認し、ホッと胸をなでおろす。しかし、同時に俺自身にも力を使った反動が襲ってきた。体中に疲労が走り、視界がぼやけていく。
「…やった…これで…終わった…」
圭吾は倒れ、部屋には静寂が訪れた。俺はその場にへたり込む。体の力が抜け、意識が遠のきそうになる。それでも、圭吾が救われたことに、俺は安堵の笑みを浮かべた。
「…これで…良かったんだよな…」
グリムの囁きは消え、俺はただ静かに、圭吾の無事を確認しながら、その場に倒れ込んだ。
『ケッ』
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《次回》『圭吾の場合』
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