【第9話】闇に潜む者―『アサシンゴブリンの挑戦』
新たなスキルを求めて。
教室でぼんやりと窓の外を眺めていると、先生の声がどんどん遠く感じてきた。黒板に書かれた文字も頭に入らない。授業中に考えていたのは、次に行くダンジョンのことばかりだ。俺は突然、授業を抜け出して一人で計画を立てたい気持ちに駆られた。
教室の後ろにあるドアの近くに静かに立ち、周りを確認する。先生の目を盗んで静かに廊下に出ると、誰もいないことを確認して屋上へ向かう階段を上がった。扉を開けると、屋上には俺しかいなかった。風が心地よく吹き抜け、俺は深呼吸して新鮮な空気を味わった。
フェンスに寄りかかって、遠くの景色を眺めながら考えを巡らせる。次のダンジョンで狙うべきモンスターは何だろう?ゴブリンか、それともスケルトンか…。それぞれのモンスターが持つ可能性のあるスキルを思い浮かべる。ゴブリンなら【短剣術】や【迅速】、スケルトンなら【骨強化】や【暗闇の視力】。どちらも冒険に役立つスキルだ。
「次は…ゴブリンかな。」
俺は呟きながら、心の中で決断を下す。次に狙うモンスターを決めるために、屋上での時間を使って計画を立てるのは有意義だ。ダンジョンは常に危険がつきまとうが、その危険を乗り越えるために準備をするは楽しい。
「よし、決めた。次はゴブリンを狙おう。」
自分に言い聞かせるようにそう呟いた。そして、屋上での時間が終わったことを悟り、再び学校生活に戻る準備をするため、俺は階段を下りた。
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「さて、ゴブリンを倒しに行く準備をしよう。」
放課後になると、僕はダンジョンへの出発に備えて荷物を整えた。装備や必要なアイテムを確認し、身支度を整えた後、外の世界へと向かった。外の空気は冷たく、これからの冒険を予感させる。
ダンジョンの入り口に到着すると、さっそく中に足を踏み入れた。ダンジョンの内部は相変わらず薄暗く、狭い通路が続いている。壁には苔が生え、湿気を帯びた空気が漂っていた。足音が静かに響く中、俺は目を凝らして周囲の状況を確認しながら進む。
「ゴブリンがいるはずだ…どこにいる?」
歩きながら慎重に探索していると、前方からかすかに話し声や物音が聞こえてきた。急いでその方向に向かうと、小さな部屋の中にゴブリンの群れがいるのを発見した。彼らは武器を手に持ち、何やら会話をしているようだった。
「ここだ、ゴブリンたちだ!」
心の中で一人、周囲の状況を確認しながら作戦を立てる。まずは一体ずつ仕留めていこうと決め、隠れながら一番近くにいるゴブリンに狙いを定めた。
こっそりと近づき、突如として出現した俺に気づく前に、静かに後ろから近づいていく。目標のゴブリンに静かに近づき、一瞬の隙を突いて素早く攻撃を仕掛けた。
「これで…!」
短剣を使ってゴブリンの背後から襲い掛かると、目標のゴブリンはあっという間に倒れた。他のゴブリンたちは突然の出来事に驚き、動揺しながら周囲を見渡していた。
「これで…残りも片付けるしかない!」
そのまま一気に周囲のゴブリンたちに攻撃を仕掛ける。俺の攻撃が的確にゴブリンたちを捉え、次々に倒れていく。
そのうち一体は、【影】で拘束する。
「ゴギャッ」
さてさてさて、どんなスキルを持っているかな。
手でゴブリンの体に触れ。暗いエネルギーが集まるのを感じる。
『これは【短剣術】だな。短剣を使った攻撃の技術が向上する【スキル】だ。』
「よし、これで攻撃力が上がるぞ。」
短剣術のスキルを取得したことに満足しつつも、周囲を確認していると、突然、グリムの警告が響いた。
『待て』
「どうした?」
『あそこに隠れているやつがいる』
「何?」
指示された方向を見やると、壁の影に潜んでいるゴブリンの姿がわずかに見えた。そのゴブリンは、まるで影に溶け込むように隠れており、周囲の動きに全く気づかれないようにしていた。
「なるほど、隠密系、アサシンゴブリンか」
少しずつ近づこうとしたが、そのゴブリンはすばしこく動き、僕が近づく前に周囲の影に溶け込んでしまう。影からの突然の攻撃に備え、警戒を強める。
その時、ゴブリンが影から短剣を取り出し、高速で攻撃を仕掛けてきた。反射的に回避しながら、ゴブリンの動きに合わせて攻撃を仕掛けるが、そのスピードには追いつけない。
「くそ、こうなったら!」
アサシンゴブリンの攻撃をかわしながら、【影】を駆使して反撃を試みる。しかし、そのゴブリンは一瞬の隙をついてさらに俊敏に動き、捕らえるのが難しい。
「もう一回!」
瞬時に状況を判断し、【影】でゴブリンを捕らえたと思ったが、アサシンゴブリンはそのスキルを巧みに避け、影の中からさらに攻撃を仕掛けてきた。
「逃がすか!」
僕はそのゴブリンの動きを封じるため、【石化の拳】を使って一撃を加えた。ゴブリンは一瞬で石化し、その動きを止める。さらに、ゴブリンが死なないように【再生】のスキルで石化状態を維持しつつ、ゴブリンを捕らえたままの状態で、手早く拘束する。
「これで…」
ゴブリンが完全に動けなくなったところで、ようやく能力を奪うチャンスが来た。【グリム】の力で、アサシンゴブリンからスキルを抽出し、その能力を手に入れる。
「よし、お前は良い能力を持ってそうだな」
ゴブリンが完全に動けなくなったところで、僕は冷静にとどめを刺す決意をした。アサシンゴブリンの石化状態を維持しつつ、慎重にその位置を確認する。
「これで終わりだ。」
短剣を抜き、ゴブリンの動かない体に向かって冷酷に一突きする。短剣がゴブリンの胸に深く刺さり、ゴブリンは一瞬で息を引き取った。その顔には恐怖と驚きが浮かび、もう動くことはない。
「これで…」
短剣を引き抜くと、ゴブリンの体から少量の血が流れ落ちる。
ゴブリンは粉微塵になって死んだ。
「お疲れさん。」
俺がね。
「こいつの能力は何だ? グリム」
『【速攻】だな。攻撃速度が大幅に上昇し、連続で素早い攻撃を行える【スキル】だ。』
へぇ、早速試してみたいが、その前にだ。
どんなアイテムが出るのかな! コイツ!
『元気そうだな、オマエ』
楽しみで仕方ないさ。
次回はアイテム精算かな。
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