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23話 俺もお人好しすぎる


 東京は渇水に見舞われており、8月の下旬近くなってもまだ続いている。

 文学全集の仕事をするなど、俺の力量を越えた事態になっていたのだが、ヒカルコの才能のおかげでなんとかなった。

 のちのノーベル文学賞受賞者である大先生から直筆の手紙をもらったりしてな。

 こいつはお宝になるだろう。

 ――と言っても、あいつが売ったりすることはないと思うが。

 八重樫君が漫画を連載している雑誌も発売されて、宇宙戦艦ムサシの第2話も好調。

 3話も巻頭カラーでみたいな話がもうきている。

 彼は大変そうだが、これも人気マンガ家になった証なのだから、嬉しい苦労だろう。

 すべて順調のようだが、少し手を抜いたり天狗になったりするとすぐに落っこちる世界だし、油断はできない。

 まぁ、彼はクソ真面目なので大丈夫なはず。


 予想外の仕事が入って慌てたが、なんとかなった。

 これで俺の本来の仕事にまた戻れる。

 予想外といえば――ヒカルコが俺の部屋にいついてしまったことだ。

 彼女の部屋から少しずつ荷物を持ち込んで、ほとんど持ってきてしまったらしい。

 やられた。


 荷物を運び込むときに解りそうなものだが――どうやら大家さんを巻き込んだようだ。

 彼女はヒカルコが俺の女房だと思っているからなぁ。

 大家さんも女だから、ヒカルコの味方だし……。


 まぁ、いいけどな。

 役立たずなら追い出すところだが、役に立つし。

 彼女に聞くと、自分の部屋に残っているのは布団と、小さなタンスの外側だけらしい。

 引き出しは――と思ったら、いつの間にか持ち込んで押入れの中にあった。

 タンスは重いので、引き出しだけ持ってきて大家さんの所に隠していたようだ。


「しょうがねぇ! 荷物を取りにいくか」

 俺は立ちあがった。


「コクコク」

 うなずく彼女の頭に、軽くチョップを入れた。


「ったく……」

 路地を歩いて、4ヶ月ほど前までいた場所にやって来た。

 それなりに懐かしい。

 中に入ると2階に上がり、ヒカルコの部屋から荷物を運び出す。

 中にはほとんどのものがなくなっており、あるのは布団と引き出しがなくなった小さなタンスだけ。


「まずは布団だな」

「コクコク」

 彼女がうなずく。


「お前は、大家さんの所に挨拶にいってこい」

「もうした……」

 なんてこったい。

 こいつは初めから8月一杯で、ここから出ると大家さんに言っていたらしい。


「まったく確信犯じゃねぇか(誤用)」

「……」

 彼女は明後日の方向を見て、知らんぷりをしている。


「毛布を持て」

「うん」

 俺は敷布団と掛け布団を一緒に持って頭に乗せた。

 大丈夫だ。このぐらいならなんとかなる。


 八重樫君と俺がいた部屋にも、もう誰かが入っているらしい。

 それだけ行き場所をなくすやつが多いってことだし、こういう場所も必要か。

 ここなら保証人も敷金礼金もいらねぇしな。


 そのあと、タンスのドンガラも運び出して、ヒカルコはここを脱出することになった。

 結局は俺の所に転がり込まれてしまったのだが。

 のんびりしていると思ったが、意外とやり手らしい。

 あんな文章を書くぐらいだし、大学にだって入ってんだから、頭はいいはずだ。


 タンスを設置すると中身を入れる。

 持ってきたヒカルコの布団は、押入れに入れた。

 ものが増えたので、なんだか生活感が出てきたな。


 文学全集の仕事が終わったので、俺も本来の仕事に戻ることにした。

 つまり発明家だ。

 全集の仕事をしながら考えていた特許ネタを、特許事務所に持ち込んだ。


 今回持ち込んだのは、爪切りのカバーなど。

 俺が紙で作った試作品を、特許事務所の所長が見ている。

 俺のことが気に入ったのか、毎回しっかりと相手にしてくれるので、ありがたい。

 俺も事前に公衆電話から電話をかけて、所長がいるのを確認してから訪れるようにしている。


 話してみると、この爺さんも発明好きで、自分でも発明をしたりしているらしい。

 俺と同じ穴のムジナだ。


「う~ん……」

「どうですかね? それは結構便利だと思うのですが……」

「あ~、そうかぁ、そうきたかぁ――僕はなんでこれに気づかなかったのかなぁ……」

 カバーつきの爪切りを目の前に置いて、腕を組んで唸っている。

 どうやら、面白い発明をされて悔しいらしい。


「どうでしょ?」

「うん、これは特許というよりは、実用新案にしたほうがいいと思うよ」

「既存の製品の改良という感じになりますかね?」

「そうだねぇ、う~ん」

 まだ所長が唸っている。

 自分でも爪切りを使って不便に思っていたのに、これを思いつかなかった。

 自称発明家の自尊心にキズがついたのかもしれない。


 次に俺が見せたのは灯油ポンプの図だが、それを見た所長がすぐに答えた。


「これはねぇ、昭和の初期にはほとんど同じものが作られてるよ」

 マジか。


「あ~、3歩ぐらい遅かったか……」

「まぁ、誰でも考える発明ってことだね」

 ドクターナントカという発明家が醤油を移し替えるために作ったものが、灯油ポンプになったとかいう都市伝説があったが、違った――ということになるな。


「それじゃ、こいつは?」

「ん~?」

 俺が見せた図は、十数年後に作られる記憶媒体のものだ。


「オープンリールのテープをケースに入れたカセットテープってのがあるだろ?」

「ああ」

 まだ、一般的には発売されていないが、すでに作られていると電子工作系の雑誌に載っていた。


「カセットにしてもオープンリールにしても、3曲目や4曲目を聞きたいと思ってもすぐに聞けない」

「まぁ、テープは一本に繋がっているからねぇ」

「そこで、細いテープを円形にして、磁気ヘッドを水平に動かし、どこからでも音楽を聞けるようにする特許だ。磁気テープのレコードだと思えばいい」

「なるほどねぇ。こいつは面白いかもねぇ」

 この発明には、所長はピンと来ないようだ。

 未来の発明だからな仕方ない。


 俺はこの発明に関連するものを、もう一つ出した。

 これは試作品がある。


「こいつは?」

「これは、レコードジャケットに穴を開けて、レコードをジャケットから出さなくても、音楽が聞けるようにする特許だ」

「ははは、こいつはどうかなぁ?」

 爺さんがジャケットを掲げて笑っている。


「まぁ、こんなの誰も取ってないと思うから、取ってくれ」

「本気かね? まぁ、わかったけど、はは」

 所長が笑っているが、これも大事な発明なのだ。

 こいつは、フロッピーディスクを作るときに必要になる。


 一番初期のフロッピーは、確か1970年代の初頭だったはず。

 もたもたしていると人に取られてしまう。


 俺は2つの特許と、1つの実用新案を申請してもらうことにして特許事務所を出た。

 特許は1年以上かかるようだが、実用新案は数ヶ月で登録できることもあるようだ。

 所長の話では、実用新案登録は半年ぐらいは見てほしいと言われた。

 さてさて、どのぐらいの特許が実際に使われるものだろうか。


 ――国鉄に揺られて駅で降りると、クラシック喫茶に向かう。

 コーヒーが飲みたい。

 まだ水不足なのだが、今日はやっているだろうか?

 休業なら黙ってアパートに帰るしかない。


 茶店の前に行くと、店はやっていた。

 薄暗い店内でコーヒーの食券を買い、小さい階段を上ったところの席に着いた。

 コーヒーが来たので飲む。


「はぁ~」

 さて、思いついた特許もあらかた片付けてしまったし、なにをするか……。

 金があるからといって家の中でひたすらゴロゴロするのも、結構きついものがある。

 競馬は菊花賞まで時間があるし、シンシンザンはそのあと休養に入る。

 また俺の知っている馬が出てくれば勝負してもいいが――。

 読書をするといっても、ずっとそればかりするのも……。


 小説でも書くか。

 金にならなくてもいいから暇つぶしで。

 ミステリープラスエロとか、冴えない男が活躍するハードボイルドプラスエロみたいな話なら、いくらでも需要があるだろう。

 もともと、そういう話が得意だし。

 それとも、平成令和で書けなかったSF冒険ものでも書いてみるか?

 この時代は、まだSFはいけるみたいだし。


 小説の思案していると俺の前に黒い影が座った。

 暗い中で目を凝らすと、以前俺を美人局つつもたせでハメようとした女じゃねぇか。


「……」

 女が俺を見て黙っている。


「なんだ? また凝りずに美人局か?」

「捨てられた……」

「なにが捨てられたんだ? もしかして、あの男か?」

「……」

 女が黙ってうなずいた。


「あはは! ご愁傷様です」

 相手にする気などまったくない。


「責任取ってくれよぉ」

「なんの責任だ。犯罪者のことなど知らん。お前を警察に連れていけばいいのか?」

「……」

 彼女が黙って俺のことを見ている。


「あの男はなんだ? 学生運動崩れか?」

「……」

 女がプイと横を向く――どうやら的中のようだ。

 ヒカルコと似たような境遇だが、あいつは慣れない仕事でもやって、なんとか暮らしていたのに、こいつは犯罪者の片棒担ぎだ。


「親の脛齧って革命ごっこのあとは、女を使って美人局か。とんだ革命戦士様だな、ははは」

「ううう」

 泣いているのだが、泣かれても俺は知らん。

 コーヒーを飲み終わったあと、茶店を出ると女がついてくる。

 勘弁してくれ。


「ウチには女がいるんだよ。泣かれてもどうしようもねぇ」

「……住む所もないし、行く所もない……」

 ぐずっているのだが、ガキかよ。

 いい歳こいて、そうなる前になんとかしやがれ。


「親は?」

「……」

 黙って首を振る彼女。

 大学に行っていたらしいから、死んでいるはずはねぇし。

 こいつも勘当組か。


「お父さんとお母さんが頑張ってくれてたから、お前みたいな甘ちゃんでも暮らせていたって解ったろう」

「……コク」

 彼女がうなずく。

 とりあえず連絡は取ろうとしたが、相手にしてもらえなかったらしい。

 そりゃ、こんな娘だったら俺だって嫌だよ。


「……お前、とりあえず頑張って働くつもりはあるのか?」

「……うん」

「それじゃ、ついてこい」

 俺が歩くと女がついてきた。

 俺みたいなオッサンを頼るなんて、マジで切羽詰まってるんだろう。


「お前、飯は?」

「パンを食べた……」

「いくら持ってる?」

「500円ぐらい……」

「それじゃ数日しかもたねぇな。つ~か、金ねぇのになんで茶店とか入ってるんだ」

「知り合いが来ないか探してた……」

「ほんで来たのが俺ってわけか。別に知り合いでもなんでもねぇし。俺は被害者だぞ? いったいぜんたいどういう神経しているのやら」

 親の顔が見たいぜ。


 それよりも、なんで俺もこんな女を警察に突き出さないで面倒みているんだか。

 我ながらアホだと思う。

 俺の仕事を手伝わせる手もあるが――真面目に働いているやつならともかく、簡単に犯罪に手を染めるやつなんて危なくて仕方ねぇ。


 途中の商店街で和菓子の詰め合わせを買い、封筒も買って5000円ほど入れた。

 それを持って一緒にうねうねした細い路地を歩き、やってきたのは俺が最初に入ったアパート。

 行き場がないプーをとりあえず預かってくれるとか、ここしか思いつかん。

 いきなり押しかけて保護してくれるのか解らんが、とりあえず頼んでみるか。


 俺はアパートに入ると、階段の手前にある管理人室のドアを叩いた。


「は~い」

「こんにちは。俺のこと覚えてます?」

 俺は菓子折りと封筒を差し出した。


「ああ、もちろん。篠原さんですよね」

「あの~突然で申し訳ないんですが、私の知り合いで行く場所がなくて困っているやつがいまして――おい、コッチに来い!」

 女を呼ぶと、渋々だが入ってきた。


「……」

 女がふてくされたように突っ立っている。


「こいつなんですけど、女でもできる仕事ってありますかね? そっちの活動とかやってたら、行く場所がなくなっちゃったみたいで……」

「ああ、なるほど~」

「一応大学行ってたみたいなんで、並の頭は持ってるはずです」

「あ~、はいはい。ちょっと待っててね」

 大家さんは、部屋の中からノートを持ってくると、どこかに電話をかけ始めた。

 その間、立って待つ。


「はいはい、ありがとうございます」

 なん件か電話をかけていたが、終わったようだ。


「印刷工場の仕事なんだけど、できる?」

「できなくてもやるしかねぇよな?」

 女の肩を叩いた。


「……はい」

「荷物は、なにもないの?」

「ありません……」

「それじゃ布団もないよね?」

「はい」

 彼が部屋の中から持ってきたのは、懐かしい俺が使っていた布団。


「寺島さんが出た所が空いているから、そのまま入ってもらうからね」

「私と、八重樫君が入っていた部屋は、もう埋まっているみたいですね」

「そうねぇ。今は身寄りのないお年寄りが入っているわ」

「そういう方って、仕事はどうしているんですか?」

「部屋でできる内職をやっていただいているけど」

「なるほど」

 年寄りだろうが、ただでは住まわせないんだな。

 考えてみれば当たり前だ。


「おら、布団を寄越せ。運んでやる」

「うん」

「真面目に働けば日銭で金をくれるから、それでなんとかしろ」

「……」

 彼女が黙ってついてくる。


「ここから逃げたりすれば、本当に落ちる所まで落ちるしかねぇぞ? それとも赤線に行くか?」

「……フルフル」

 彼女が首を振る。

 もう赤線はなくなっているはずだが、言葉としては通じるようだ。


 大家さんと一緒にヒカルコがいた部屋を開けると、当然なにもない。

 布団を置くと、俺はアパートの外に出た。


 送ってくれた女に声をかける。


「どうしても金がいるなら、俺に声をかけろ」

 ゴニョゴニョしたら小遣いをやればいい。

 とりあえず、当面の生活費で1000円だけやる。

 あとは知らん。


「それじゃな」

 行こうとすると、シャツを掴まれた。


「……」

「なんだ?」

 なにをするのかと思い、そのまま彼女に引っ張られて通りまでやって来た。

 通りを渡ると、たどり着いたのは1軒の木造アパート。

 中に入る――階段と廊下が中にあるタイプだ。

 女が1階の右端のドアを開けると、出てきたハゲのオッサンとなにか話している。

 金を払うと鍵をもらったようだ。


「こっち」

 靴を脱いで階段を上がると、2階の角部屋に入った。

 1階のオッサンがいた部屋の上だ。

 ドアを開けると、なにもなくペラい布団だけが置いてある。


「なんだここは?」

 俺が部屋を見回していると、彼女が抱きついてきた。

 唇を求めてくるのだが――俺は女の鼻を摘んだ。


「ふげ!」

「ここは?」

「やり部屋だよ」

「あ~なるほど。それはいいが――お前、ヤニくせぇ!」

 下にいたオッサンが大家だ。

 若いやつに1回いくらかで、空き部屋をラブホ代わりにさせているのだろう。

 下はオッサンだし隣は階段なので、多少の声は平気ってわけだな。

 まぁ、防音やらはゼロなので、廊下に声は漏れると思うが。

 別にここに住んでいるわけじゃないので、それはどうでもいいってことか。


 彼女の話では、1回200円らしい。

 20人捌けば、普通に部屋を貸すより儲かるわけだ。

 なかなかいいかもしれない。


 とりあえず、ゴニョゴニョして金を渡したが――そのうち、男でも引っ掛けるんだろう。


 ------◇◇◇------


 ――8月も終了して、9月に突入する。

 新聞には、ホテルニューオオヤがオープンのニュース。

 ここって、社長がヤベーやつで大火事――って、違うか。

 あれは、ニュージャパンか。


 今月に入ると、渇水はなんとかなってきた。

 さすがに水不足も終わるだろう。

 給水車がやってきたときに知り合った婆さんの所にも、顔を出しているのだがあまり元気がない。

 まぁ、歳みたいだしなぁ……。

 まったくの他人ならどこでどうなろうと知ったこっちゃないのだが、知り合ってしまうと、これが心配で気になる。

 婆さんの家から出ると、隣のデカい家から出てきた奥さんらしい女性と鉢合わせしたので、ペコリと挨拶をした。

 前にも思ったが、ロングのワンピースを着た上品そうな女性だ。

 身なりを整えるってのは金と時間がかかるものだから、やっぱり金持ちなんだろう。

 俺はアパートに戻った。


 八重樫君の所には、またあの矢沢という漫画家志望の女の子が手伝いにやってきているようだ。

 俺とヒカルコがやった子ども向けの文学全集の原稿は、多少手直しされてそのまま載るらしい。

 よかったよかった。

 やっと肩の荷が下りた感じだ。

 三流小説家に純文学とか、荷が重すぎる。

 もっと軽い仕事をやりたいものだぜ。


 思いついた特許もあらかた申請してしまった。

 探せばいくらでもあると思うが、申請料に必要な経費が1件3万円だ。

 10件やったら30万円。

 当面の生活費もあるので、ここらへんで打ち止めにしておく。

 どこかが特許を買ってくれて、金が入ってきたらまたやればいいし。


 原油の先物で儲けようと思っているのだが、それまでまだ年月があるしなぁ。

 オイルショックは確か1973年だろ? 今年が1964年だから、まだ9年もある。

 それまでにいくら儲けられるかが勝負だな。


 暇になった俺は時間を持て余し、また三文小説を書き始めた。

 すっかりとPCに慣れてしまった指も、昔の感触をとり戻しスラスラと筆が進む。

 ほとんど盗作みたいなものなのだから、悩む必要もない。

 もちろん、まるっきりトレスじゃつまらないので、自分のオリジナルも入れている。

 とりあえず、原稿用紙で300枚ほど書いて、出版社に持ち込むことにした。

 大きなカバンを買って、原稿を突っ込む。


 古本屋で小説を漁り、あまりメジャーじゃない出版社を選ぶ。

 総武線に乗って水道橋で降りると、いきなり出版社にアポ無し突撃をする。

 出版社は神保町辺りに固まっているので、ここら辺から攻めることにしたわけだ。

 別に趣味みたいなものなので、採用されようが門前払いされようが、どうでもいいし。

 生活がかかってないってのは楽でいいよな、はは。

 とりあえずの生活に必要な金は揃っているし。


 大きなカバンを持って神保町でウロウロしていると、沢山の看板が並ぶ通りを路面電車が走っていく。

 水道橋から神保町まで路面電車が走っているのだが、それに乗る距離でもない。

 電車のことを考えていると、道路の向こうから俺を呼ぶ声が聞こえる。


「篠原さん!」

 見れば――相原さんだ。

 そりゃ、ここは彼女のホームグラウンド。

 いてもおかしくない。



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