154話 まさに熟女
なんと、お姉さんに連れられて、八重樫君のお母さんがやって来た。
兵どもが夢の跡、八重樫君のお父さんの会社が戦いに敗れて倒産――。
地元にいられなくなってしまった彼女たちが、俺を頼ってやって来た――というわけだ。
たいした面識もない俺になぜ? と、いう疑問もあるのだが――。
金を持っているし、周りに女がたくさんいるみたいだし、1人ぐらい増えても面倒を見てくれそう。
おそらく、そんな理由ではなかろうか。
俺の周りにいる女たちも、最初は反対だったのだが、行く場所がない女を放り出すほど鬼ではない。
すぐに受け入れてくれたようだ。
実の息子である、八重樫君とのわだかまりは解消されていない。
それでも、お母さんの生活費は出してくれるらしい。
まぁ、お母さんのためよりも、自分の母親の面倒を俺に押し付けてしまったという、彼の自責の念から出た金のような気がする。
俺も親との仲が悪かったので、彼を責めるつもりもないし、気持ちも解る。
実の親が、今眼の前に現れて、「助けてくれ!」と言われても、助けない気がするし。
そうだなぁ――当面の金ぐらいは渡すかもしれないが。
親と仲がいい家族には理解されないかもしれないが、そういうものなのだ。
秘密基地のベッドの上――裸の女が転がっている。
八重樫君のお母さんだ。
「ショウイチさ~ん」
起き上がった彼女が俺に抱きついてきた。
彼女が俺のことをそう呼ぶので、俺も彼女のことをフミと呼んでいる。
可哀想なのは抜けないと日頃から言っている俺だが、彼女のエロさに負けたね。
矢沢さんもこのぐらいエロかったら負けていたかもしれないが、ア◯レちゃんでよかったな。
お母さんに話を戻すと、彼女はなんでもすると言っていたし、面倒を見てもらっているという弱みもある。
試しに誘ってみたら、すんなりとOKだった。
もちろんタダというわけではない。
やった分は、金額に換算して、お姉さんに貸した金の返済に当てている。
もっとも、貸した金がデカいので、このぐらいじゃ焼け石に水だけどな。
それでも、先生から母親の生活費は入れてもらっているので、お姉さんから送られてくるお金は、全部返済に回してもらっている。
もちろん、表に出せない金なので、向こうにもその旨を伝えてある。
政治家の正妻なら、そういう金が存在しているというのは百も承知だろう。
普通に会社をやっていても、表に出せない金というのを用意しないといけなくなる場合がある。
そのために、どこの会社でもそういう金がプールしてあるのだ。
「あ~ん♡」
性に目覚めてしまった女が、唇を求めて吸い付いてくる。
まるで、咥えたら離さないスッポンだ。
俺はとんでもないモンスターを目覚めさせてしまったかもしれん。
「こら! ちょっと待てっちゅーのに!」
俺はフミの頭にチョップを入れた。
「ぎゃ! ふみゅ~ん……」
「変な声を出すなっての」
「ゴロゴロ……」
キスしてくるのは止めたのだが、俺の身体から離れない。
こいつはヒカルコよりヤベーやつだな。
こんな甘えたがりなのに、亭主関白な旦那じゃストレス溜まりまくりだっただろう。
――そんなわけで、たまにフミとゴニョゴニョするようになったのだが、彼女の身体に変化が現れ始めた。
定期的にそういうことをやっていれば、女性ホルモンがドバドバ出る。
そうなると、お肌の張りも戻り、エロさに益々磨きがかかってくる。
お姉さんも美人だが、フミも負けず劣らずの美人。
まさに、歩く精吸い取りマシーン。
いくらエロくなったといっても、彼女を優先するわけにはいかない。
ウチにはヒカルコもいるし、A子もいるしな。
休みの日には、相原さんの相手もしたほうがいいだろうが、今のところはお誘いはない。
仕事が忙しいようだ。
そう、キャリアウーマンの彼女にはいくらでも仕事がある。
家でやることがない、フミとは違うのだ。
小桜やモモも、仕事で忙しそうだ。
それでも、フミもあちこちで家事を手伝い始めた。
大家さんに仲介してもらい、町内会の仕事をしてみたり。
まぁ、そうなると、外に出ることが多くなるので、人目につくことが多くなる。
フェロモン出しまくりの女が街の中を出歩いたらどうなるか?
「あの超美人は誰だ?」「あんな美人は見たことがないぞ?」「どうやら、片桐さんの所に居候しているらしい」
――ってことになるわけだ。
特に、爺からの人気は絶大。
彼女の歳は俺と同じぐらいだが、爺から見たらピチピチの年下だ。
用もないのに鼻の下を伸ばして金を払い、フミを呼んで話し相手になってもらう爺共が続出。
同じ仕事をしているA子もいるはずなのだが、どうやらフミがジャストミート! ファイヤー! らしいのだ。
「もう、本当に男どもにも困ったものねぇ。フミコさんも、嫌なら断ってもいいのよぉ?」
スケベ爺どもの行動が、大家さんを呆れさせている。
俺はフミと一緒に大家さんの所で、お茶と羊羹をご馳走になっていた。
「いいえ、皆さんよい方ばかりですし……」
「ははは、金持ちの爺を捕まえるって手もあるぞ? そのうち爺なんてくたばるだろ? そうすりゃ、遺産ががっぽり……」
「もう! 篠原さんったら!」
羊羹を食いながら言った俺の言葉に、大家さんが呆れているのだが、いい手だと思うんだがなぁ。
まぁ、爺の遺族とは揉めるとは思うが、本妻なら遺産をもらう法的根拠もあるし。
「妻には渡さん!」みたいな遺言があれば別だが。
「はは――そういえば、爺どもの憧れの的ってのは、大家さんだったのに、すっかりとお株を奪われてしまいましたねぇ」
「もう! 篠原さんってば!」
「ははは」
「でもねぇ、あの人たちも若い子がいいんでしょうし?」
やっぱり、ちょっとは気にしているようで、簡単に心変わりしている爺どもに少々不満そうだ。
「私も若くないですけど……」
そういうなにげない、仕草や言葉も十分にエロいのだ。
お姉さんも美人だが、このエロさは出せない。
まさに熟しまくった果実。
「いやいや、爺たちから見たら十分に若いからさ」
――ということは、八重樫さんちの地元の狒々爺も、お姉さんじゃなくてフミのほうがよかったのではあるまいか。
そう思わないでもないが、男とヤりまくったら生気を吸って若返るとか思ってもみなかっただろうし。
地元を追われた彼女だが、このまま地元に帰っても、引手数多になりそうではある。
――そんな日の夜、相原さんが家にやって来た。
彼女も忙しかったのか、久々に顔を見たという感じだ――隣に引っ越してきたのに。
朝に出勤する彼女と挨拶をすることもあるのだが、朝は朝で相原さんも忙しい。
なにか言いたそうな顔をしているのは解る――とはいえ、話し込んでいる暇もない。
もちろん夜遅くには家に帰って来てはいるが、そんな時間に女性の部屋に行くわけにもいかない。
彼女も仕事以外で、夜遅くにウチに遊びにやってくるのも気が引けるようだ。
普通はそうだよな。
まぁ、仕事だからといって夜半にやってくる編集の仕事ってのも、一般に比べて少々異常なのだが。
隣に相原さんが引っ越してきたからといって、仲が深くなるかといえば、そうでもない。
彼女も同じことを思っているかもしれないが。
「篠原さん! なんで八重樫先生のお母さんがここに来たんですか!?」
居間にやって来た途端に相原さんが、コノミへのお土産も渡さずに、俺に迫ってきた。
「まぁまぁ、それは矢沢さんから聞いているのでは?」
「聞いていますけど! だからといってですねぇ!」
「行く所がないって言うんじゃしょうがないじゃないですか」
「先生のお母さんなんですから、先生の所に行くのが筋では?」
「それも、理由を聞いたんじゃないですか?」
「聞きましたけど……」
親子の仲がいい家庭には、家族でいがみ合うというのは想像もできないのかもしれない。
――とはいえ、小説やら物語でも、こういうのは定番だ。
物語が好きだと公言していた女史も、読んだことがあるのでは?
「仲がすごく悪い家族ってのも、存在するんですよ」
「それは解りますけど……」
「それじゃ――」
相原さんが、ヒカルコのほうを向いた。
「ヒカルコさんはいいんですか?!」
「……嫌といえば、嫌だけど――困った人を助けるのがショウイチだし……」
「そ、それはそうですけど」
「助けなくてもいいというなら、私もコノミも助けてもらってなかったわけだし……」
「……」
ヒカルコはそう言っているが、本当は小説の書き方を教えたら追い出すつもりだった。
押しかけられてしまい、なぁなぁになってしまったがな。
コノミを拾ったのはヒカルコだし、俺は施設に預けるつもりだったし。
結果的には、預けなくてよかったけどな。
「解りましたけど……もう、増えないですよね?」
「いやぁ、増えないと思うけど……ははは」
こればかりは断言できない。
突然、サントクが倒産して、岩山君夫妻を預かったり?
いや、あそこは、ご両家とも仲がよさそうだし、心配いらないか。
まぁ、普通はそうなんだよな。
親か親戚頼りで、なんとかなるもんなんだ。
俺の周りがちょっと特殊すぎる。
納得した相原さんが、コノミに本を渡し、抱きついてクンカクンカしている。
いつもより長い。
最近はかなりのハードワークだったようだ。
「相原さん、身体には気をつけてくださいよ」
「大丈夫です! コノミちゃんから、馬力を分けてもらってますから、100万馬力です!」
本当にタフだよなぁ。
いつも言っているが、なにかやる人ってのはバイタリティが超絶すごい。
こればっかりは努力がどうのというレベルじゃない。
精神と身体の作りが、根本的に違うんじゃないかと思えるぐらい。
これも生まれ持っての才能ってやつか。
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――八重樫君の結婚やら、子どもができたり、彼のお母さんまでやって来たり、俺の周辺は大騒ぎである。
それでも、ずっと望んでいた八重樫君のお母さんと出会って、ゴニョゴニョもできたり。
先生にとっては、嬉しいことと悲しいことの、ダブルパンチだろうが、ここが踏ん張りどころだ。
せっかく、生き馬の目を抜くような世界でプロの漫画家になって、しかも売れっ子になった。
このチャンスを逃さないように、ヤワコさんと二人三脚で歩んでほしい。
暦は3月末になり、コノミの5年生が終わった。
春休みが終わればいよいよ6年生の新学期。
彼女もますます背が伸びてきて、体重も増えている。
もう、重くて持ち上がらない。
下手に、野村さんなどと一緒にタックルを食らうとひっくり返るからな。
コノミや野村さんが6年生になったということは、今まで6年生だった鈴木さんが小学校を卒業したということだ。
初めてコノミのお友だちになってくれた彼女も、来年からは中学1年生。
彼女は私立中学に行くみたいな話もあったみたいだが、結局は近所の中学に通うようだ。
一緒に遊べなくなってしまう。
まぁ、遊びに来ても別に構わないのだが、さすがに中学と小学とじゃ学校生活が違いすぎる。
これから、部活なども始まるだろうし、受験に向けて本格的に勉強も始まることになるし。
さすがのコノミと野村さんも、鈴木さんがいなくなるということでしょんぼりしていた。
まぁ、同じ中学生になれば、また交流が始まるかもしれないが、中学になるとやっぱりクラスや部活などでの付き合いが主になるからなぁ。
面白いのは――中学に入ったばかりの新入生は、ほぼ小学校6年生なのだが、数ヶ月で中学生の顔になることだ。
そのぐらい、小学と中学とでは、違いがあるということなのだろう。
トンテンカンと、部屋の増築の音が庭に響く中――その鈴木さんが、セーラー服を着て、俺に見せに来てくれた。
平成令和の変形セーラーとかじゃなくて、藍色のベーシックなクラシカルタイプ。
この時代はこれが当たり前なのだが、未来じゃこれは貴重になっているタイプだ。
だぶだぶの制服が、いかにも新入生っぽいくていい。
「おお~、可愛いじゃないか」
「そ、そうですか? 大きくて恥ずかしいんですけど……」
鈴木さんは、制服が大きいのを気にしているようだ。
「すぐに背が伸びてちょうどよくなるから、少し大きいぐらいでいいんだよ」
「ウチの父と母もそう言ってました」
「はは、そういうもんだよ」
「いいなぁ」「うん」
鈴木さんのセーラー服を、コノミと野村さんが羨ましがっている。
「あはは、コノミたちも、来年になれば着るんだぞ?」
「うん」
「あ、そうだ! 鈴木さんの写真を撮ってもいいかな?」
「はい」
家に戻ると、俺の書斎からカメラと三脚を持ち出した。
俺の作業部屋は、フミに貸してしまったので、カメラ機材は書斎に置いてある。
現像もできないので、写真屋に頼む。
別にエロい写真を撮ったりは――ああ、フミのハメ撮りを撮ったりしているか。
慌てなくても、増築が完了すればフミはそちらに移るから、また作業部屋が復活する。
それからゆっくりと現像すればいい。
三脚とカメラをセットすると、鈴木さんを立たせた。
こういう写真は、学校の正門前で撮ったりするんだけどな。
まぁ、それはご両親が撮るのだろうし。
シャッターを切る。
「それじゃ、次は、みんな一緒に撮るか」
「「「うん!」」」
3人並んで写真を撮った。
やっぱり、制服姿の鈴木さんがちょっと大人びて見える。
子どもってのは、マジであっという間にデカくなるなぁ。
オッサンが35歳から40歳になってもほとんど変わらんが、
5歳と10歳じゃ全然違うし、10歳と15歳じゃまったく違う。
「あら、可愛い!」
子どもたちのキャッキャウフフを聞きつけて、大家さんが出てきた。
「鈴木さんは、4月から中学生なんですよ」
「もう本当に、子どもってのはあっという間に大きくなるわねぇ」
俺と同じ感想だ。
「はは、そうですねぇ」
「ウチにお菓子があるから、食べていかない?」
「「わぁ~い!」」「ありがとうございます」
やっぱり、鈴木さんはちょっと大人だ。
みんなでキャッキャしていると、フミがこちらを見ている。
俺と2人のときにはベタベタだが、人前ではそういうことはしない。
居候ということをわきまえているのだ。
それはA子も同じ。
すみっこでもいいから――という話だったわけだし。
それはさておき、コノミが中学に行っても、鈴木さんと仲良くできればいいのだけどなぁ。
その頃には疎遠になってしまっているのかな……。
――そのまま4月になった。
コノミの学校も始まり、6年生の新学期が始まった。
クラスも変わったが、知り合いが多いみたいで、特に問題はない。
彼女も元気に学校に通っている。
新聞には、ヨトタの新型ラ○クル新発売の広告が載っていた。
欲しい――スポーツカーもいいけど、ラ○クルもいい。
まぁ、こんな車を買ってどこに行くんだって話なんだが。
それとTVのニュースでは、公害病であるイタイイタイ病と水俣病のニュースが連日流れている。
これらの原因が工場からの排水だと判明したのだ。
未来では当たり前の事実だが、この時代では因果関係が判明していなかったか。
いや、知っていて知らないフリをしていたのか、利益追求のためにすべてを犠牲にしてしまったのか。
そりゃ、この時代はどこに行っても、全部垂れ流しだ。
生活排水や工場排水を、そのまま河川にドボドボなんだから、そりゃ病気になるのは当然。
コノミにも、川やドブの近くには近づかないように、外から帰ったら手を洗うようにと言ってある。
この年から、公害に対する日本人の意識が変わったということになるだろう。
学校が始まってから、鈴木さんが我が家に遊びにやってくることがなくなった。
まぁ、コノミにも6年生になって新しい友だちもできたみたいで、こうやって巡っていくわけだし。
仕方ない。
――そのまま4月が進み、そろそろゴールデンウィークに入る頃、別宅の増築が終わった。
このまま人がどんどん増えて、九龍城砦みたいになったらどうしようか。
それはそれで面白そうではある。
部屋ができたので、フミの引っ越しをした――と、いっても荷物はほとんどない。
引っ越しするまで、セーブをしていたからだ。
でき上がった部屋は、4畳半の広さと押し入れ。
天井の部分は大きくえぐれていて、出窓が見える。
はしごをかければ、天井部分にある小さな収納スペースにアクセス可能。
変わった作りだ。
「狭いけど、我慢してくれ。嫌なら、自分で仕事を見つけて、稼いで自分で部屋でも家でも借りてくれ」
「いいえ、今の私にはこれで十分です」
1人だしな。
――別宅の増築も終わったある日、お姉さんから電話があった。
東京にやってくるという。
いつものタクシー運転手を呼ぶと、上野駅まで迎えに行く。
今日は着物ではなくて、2ピースの白い服と白い帽子。
これまた上等そうで、いかにも金持ってます~みたいな感じなのだが、道中大丈夫なのだろうか?
一等車なので、そういう連中は乗ってないのかもしれない。
この時代、まだグリーン車はなく、一等車ってのがのちのそれになるものと思われる。
そのまま彼女をタクシーに乗せて、帰ってきた。
「ここは……」
タクシーが到着したのは、俺の自宅ではなくて、第2秘密基地。
「知ってるだろ?」
「私は母に会いに来たのですけど?」
「お母さんは、ここにいるぞ」
俺は、秘密基地のドアを開けた。
「ショウイチさ~ん!」
俺が部屋のドアを開けると、裸のフミが俺に突進してきた。
もう暖かいとはいえ、裸で待ってるか?
それとも、車の音が聞こえたから、慌てて脱いだのだろうか?
そう思ったのだが、部屋の中がちょっと暑い。
よくみれば、春なのにストーブが焚かれていた。
そりゃ暑いわ。
ストーブ焚いてやる気満々で裸で待っていたのか。
「お前、いきなり素っ裸とか」
「だってぇ!」
公衆の面前では、まったくそんな素振りはまったく見せないのだが、俺と2人キリになったときのギャップがすごい。
「お母さん!」
「キョウコ、元気そうですね――あ~ん!」
彼女はまったく娘のほうを見ていないで、俺に抱きついて甘えてくる。
普通の母親なら、娘の前で裸にはならないだろう。
これが本来の彼女なのかもしれないが、抑え込まれていたものが爆発したって感じだ。
「この! ケダモノ! お母さんにまで手を出して!」
お姉さんが殴りかかってきたので、彼女の両手を受け止めた。
ケダモノなんて心外な。
まぁ、そういえば小桜にもそんなこと言われた気がするが。
男はみんな狼なんだから、ケダモノには間違いない。
桃色婦人の歌でそういうのがあったじゃないか。
ダメダメだよな。
「別に無理やりしたわけじゃないぞ?」
「そうよ~」
裸のフミが、後ろから娘の両手を掴んだ。
素晴らしい連携プレイ――最初からフミもやる気満々だ。
お姉さんがジタバタしているが、これで動けまい。
「お母さん! 離して!」
「お父さんは、こんなことを教えてくれなかったのよ。本当に嫌だったのに!」
これは、彼女が俺にも話してくれたことだ。
歳を食ってから、こういうのにハマるととんでもないことになるという実例だ。
それゆえ、若い頃から多少は遊んでいたほうがいい。
俺は、2人の会話を聞きながら、お姉さんの服を脱がせて――。
それから、たっぷりと3人で楽しんだのだが――とりあえず絞り尽くされた。
まさに、精吸い取りマシーン。
それが2台。
よくオッサンの身体が持ったものだぜ。
フラフラになりながら、タクシーを呼ぶために電話を探しに行く。
こういうときに携帯電話があればいいのになぁ――とは思うのだが、そんなものができるのは遥か未来の話だ。
「ここから一番電話近いといえば――秘密基地を紹介してくれた婆さんがやっている不動産屋か」
やっているかな?
脚をもつらせながら、線路脇にあるバラックのような建物にたどり着いた。
「……ちわ、いる?」
「あん? ああ、いつぞやの兄さんかい。どうしたんだい? 死相が見えるけど?」
「マジで?」
「戦争中にそんな顔色のやつをたくさんみたんだけどねぇ……」
縁起でもねぇこと言うなよ。
「悪いが、ちょっと電話を貸してくれねぇか?」
「20円」
「たけぇなぁ……」
「だったら、他を探しな?」
仕方ないので、ポケットから20円を出して机の上に置いた。
「あんたの甥っ子だかの若い大工を使ってやっているのに」
「ああ、それは聞いてるよ、ありがとうね」
それと電話は別らしい。
まぁ、いいけどな。
「もしもし」
タクシー会社に電話が繋がったので、いつもの運転手の居場所を聞く。
近くにいるようだ。
まぁ、また帰りに呼ぶから、近くで流していてくれ――と言ってはあった。
いつも頼むときには多めに金を渡しているので、運転手も無理を聞いてくれる。
「電話、ありがとうねぇ」
「大丈夫かい? フラフラだけど」
「はは、大丈夫大丈夫」
そのままふらつきながら、秘密基地に戻った。
中では、女たちが着替えている。
俺はどこぞから拾ってきた木の椅子を倉庫から持ち出し、それに座って外で待つことにした。
中にいると、また吸いつかれそうだ。
「ふ~」
まったりとしていると、黒塗りのタクシーが倉庫の前に止まる。
「おまたせいたしました」
「いつも悪いねぇ」
「いいえ、いつも過分にいただいてますし」
俺は部屋の中を覗いた。
中はムンムンと女のにおいが充満している。
このにおいを嗅いだだけで、思春期の男ならギンギンになりそうだ。
俺はすでにスーパー賢者タイムなので、悟りの境地――ピクリともしない。
いや、ここでさらにしたら、マジで命の危機だ。
伝説の赤い玉が出るかもしれん。





