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第七話

 そうしてまた戦闘が始まる…

今度の敵は、どうやらホブゴブリンにゴブリンシャーマンが1体づつとゴブリンが8体か…

ゴブリンシャーマンは見た目はゴブリンと同程度の身長で所持している杖と装身具が特徴的なゴブリンであり、杖魔法と精霊魔法と奇跡を同時に使いこなせる汎用魔術師に近い性質を持ち非常に厄介な存在である。


 もちろんこちらもさらなるレベルアップを遂げている。4日間毎食朝夕の自分とグラグの食事を捧げて供物ポイントを稼ぎ13ポイントも得たし、その内の4ポイントも使いレベル3の光の奇跡の強力な回復を使える様になった。これは内臓に受けた傷すらも治療出来る強力な奇跡である。

それ以外にもレベル1の光の奇跡でアンデッドや悪魔に大ダメージを与えられる退魔に精神力を与えるに魔法抵抗強化に神の助言を覚えてコンプリートしたし、それ以外にもレベル1の闇の奇跡の狂気と撹乱と弱い呪言も覚えたし使用回数も2回増やした。


 それだけじゃない、仲間達もまたレベルアップを遂げている。ダンダとリオンは戦士スキルのステップにパリィにシールドバッシュに二連突きを覚えたし。

グラグはステップパリィシールドバッシュにシールドアタックとシャープスイングという重量武器を使用する際に振り回し後に隙がなくなる技を覚えているし。

ツバキはステップパリィ二連突きに足払いに叩きつけも使えるし、投擲術も覚えている。

マーガレットは…ステップしか使えないんだよな…どうしよう…今回は敵も多い上に強いから死ぬかもしれんね…何か秘策が有ると言っていたけど立ち位置は同じだしなぁ…

まあ武装は違うし大丈夫かもな!右手の手槍は70cm位に短くなったけど左腕に盾を通して、さらに左手には持ち手に革を巻いた長さ50cm位の棍棒を持っているし、ツバキとグラグと特にインプと何回も話しをしていた事を覚えているから多分棍棒が秘策、魔法の杖なんだろう!だから心配する必要はないよな!最悪死んだとしても見捨てて死んだわけではないし!


 戦闘がいよいよ始まる…

先ず最初に祝福を自身に使おうと考えていたのだが、ゴブリンシャーマンが杖を構えて精神集中をしている姿を見て考えを変えて「撹乱!」を発動させると、ゴブリンシャーマンの足元から黒いモヤが発生しゴブリンシャーマンは黒いモヤに全身が包まれる。


 「グォゴフ!?グォゴフ!?」とゴブリンシャーマンは咳き込みながら苦しみもだえ精神集中を中断している。これが撹乱の効果かと思いつつも、次の行動に移る前に全体の様子を伺うと…

インプは俺の撹乱と同時に闇の飛礫を放ってゴブリンを1体しとめ、ツバキも投石で1体しとめていた。グラグ達?彼らは動かないよ、前線の維持が主任務だからね。


 そうして2体をしとめゴブリンが混乱し始めたところでホブゴブリンが「グオオオオォ!」と叫び混乱を鎮めたのだが。

「狂気」ゴブリンシャーマンの全身を覆った黒いモヤと見た目は瓜二つのモヤが発生しホブゴブリンの全身を覆う。

狂気は撹乱と違い、混乱恐怖狂戦士化と多分にランダム性があるのだが果たして結果は!


 ブンブンと、その場でロングソードを振り回し始めたところを見るに、推測ではあるが混乱だろう。

さて、ここからどうするべきか?ゴブリンシャーマンはまだ撹乱の術中にいる、ホブゴブリンは混乱の最中、ゴブリン達はオロオロするばかり。つまりは一方的に攻撃を出来る状態だ!


 とはいえまだまだ油断は出来ない、何故なら敵は数的優位を保ったままだからだ。そこで有力な敵を今のうちにしとめる事にする。

「闇の飛礫よ!」力ある言葉を発すると、神官杖の先端に野球ボール程度の大きさの闇の飛礫が現出し多少はレベルアップしたのか時速130kmから時速140km程度に速くなった闇の飛礫がゴブリンシャーマンの額の右上の辺りに命中する!

ゴブリンシャーマンは仰向けに倒れ手足をピクピクと痙攣させている…

しとめたな、トドメは必要かもしれんが死に体であるのは間違いないだろう。

さて次の標的は…と獲物を探しているとゴブリンシャーマンの頭が発光する!?馬鹿な!?確かにゴブリンシャーマンは禿げているとはいえそんな馬鹿な!?禿げが光るのは漫画の世界だけだろう!?

などと思わずギャグ漫画のツッコミ役のような馬鹿みたいな思考をしながらも実際には回復の奇跡あたりを行使しているのだろうなと取り敢えず判断しておき、今度こそ殺すべく闇の奇跡の強化を使い威力を上げていると…

むくりとゴブリンシャーマンは起き上がり、俺の威力が上がった闇の飛礫を額にくらい、白い脳みそらしき物体を撒き散らしながら仰向けに倒れた…

よし!回復の奇跡は使えるのだろうが脳の損傷は強力な回復以上の奇跡でなければ治せない!100%ではないが多分殺せた!さて次は…


 だが、ここでリーダー達が何時までも有効な手立てを打たない上に片割れが死んだ事に業を煮やしたのか、ゴブリン達がしゃにむに突撃を開始してきた。

だが数的不利はあれども今さらゴブリン達の突撃に怯む彼らではないし、マーガレットにいたっては左手の棍棒から鈍く輝く矢の形をしたエネルギー塊を発射して1体をしとめている。さらには他のメンバー達も冷静に盾を使い攻撃を防ぎつつ一体づつ深手を負わせてゆき。俺はその間にホブゴブリンをしとめてから、重傷を負わせて動けなくしているゴブリン2体に止めをさしたのだった。


 そうして戦闘後…

俺はゴブリン達の生首をマーガレット達に預けて、数人の護衛を伴っている闘技場の支配人に会っていた…

「やあ夕凪朝日君だったね、そこに座ってくれたまえ」と何もない空間を指差す、神経質でストレスを抱え込んで胃痛を持っていそうな支配人らしき人物。

「何も有りませんが?」と当然の返答を返すと…

「そこに絨毯が有るだろうが!それとも奴隷風情が椅子かソファーを要求するつもりか!」

ああうんそういう差別意識を隠さない人物なのね、まあ現代日本でも派遣を露骨に見下すバイトや、バイトや派遣を見下す正社員とかも珍しくなかったしな。やれやれ異世界でも人々の意識の根底にある差別意識は大して変わらないのだなと思いつつ絨毯に胡座で座り込むと…

「貴様のクソ塗れの汚いケツを絨毯に乗せるな!」と怒声が飛んでくる…

浄化でキレイにしてんだけどなと思いつつも、どうすりゃ良いんだよ?と思っていると護衛の1人が丸めたゴザを投げ渡してきたので、うんざりしながらも尻の下に敷いて胡坐になると…

ツカツカと早歩きで支配人らしき人物が近づいてきて、これまでの態度からぶん殴られるか、足でも踏まれるか、ツバでも吐きかけられるのかと、警戒していたのだが目の前で立ち止まり。

「喜べ、貴様達の自由が決まったぞ」と話しかけてきたのだが、妙な話しである。

当然の事ながら喜ばしい話しではあるが、それならば全員に聞かせれば良いだけである。わざわざ1人だけ呼びつける理由はないはずなのだが?それにたかが3回ほど戦っただけで解放されるとは到底思えない。

てゆうか本当に自由民になれたのであれば態度も明らかにおかしい、少なくとも露骨に見下したりはしないだろう。

遺恨の1つや2つも生まれる事もあるだろうし、それを考えれないほど頭が悪い可能性は存在しないとは言い切れんが、まあ神経質な外見からは想像はできんな。

まあどちらにせよ話しを聞いて見なければ分からんな。

「それで本題に入るのは何時ですかね?」


 「なるほど、やはり馬鹿ではないようだな。

では本題に入ってやろう。

貴様達、正確には貴様達以外のパーティーもだが解放されるのは事実だ。

ただし、ただ解放されるのではない我が主君ローズウッド男爵様が、隣りの領地を治める悪逆非道なアーガイル男爵を討つために軍を起こしたのだ。

そして貴様達はそれに参加するのだ、その後に解放してやろう」

うーん、いきなり軍隊に入るのか?普通は冒険者になった後とかじゃないかね?ゴブリンもいる世界なんだし。

だけど、まあしゃあないか社会身分は奴隷なんだし自由が無い事くらいは理解している。

「それはまあ了解しましたし奴隷である以上は断る自由も無いので我慢もしますし仲間達も言い聞かせておきますが、戦争後に支度金の類は得られるんですかね?それが無いと路頭に迷うか、食うに困って罪を犯すか、戦の前に脱走するかだと思うんですかね」

ちなみに奴隷に戻るという言葉はあえて伏せた、わざわざこいつらにとって都合のいい言葉を言う必要もあるまい。

「安心したまえ、きちんとローズウッド男爵様が支度金を用意して下さっている。

それだけではない、闘技場で使われている武器も必要分は持っていって良いし服や靴も用意してやろう。

最後に何か質問はあるかね?」

服や靴も?コイツの自腹ではないよな?そんな義理もないだろうし。つまりは。

「いくら、ちょろまかしました?」

こうゆう事だろうな。

「それなりの額ではあるが、全てではないから安心するがいい」

ふざけやがって当然の権利だと言わんばかりの顔だ…支度金を掠め盗った分際でよくも…自由になったら必ず殺してやるからな…

そう思いつつも、何とか怒りを飲み下し別の要求をしてみる事にする。

「1つだけ要求があるんですが、飯運びの痩せぎすのババアをヴェスペラ様への生贄の儀式に使いたいんですが、よろしいですかね?」

「飯運び?ああ貴様達剣闘奴隷に嫌われているベスの事か?夫が早死したせいで幼い子供を2人、女手だけで育てているベスのことか?まあお前達と同じ奴隷ではあるから構わんぞ」

嫌な情報をぶっ込んできやがる…と言いたいところだが、45才非正規雇用未婚の身としては子供がいるだけで勝ち組だろ?という価値観があるし賄賂を取ったうえで虚偽情報を与えられたので心は痛まない。

ちなみに生贄と言えば乙女、有り体に言えば処女が必須事項だと思うかもしれんが、少なくともこの世界では違う、これはレベル1の光の奇跡の供物を使ったさいにヴェスペラ様自身に確認をとったから間違いない。







 「と言うわけで我々は戦争に参加する事に相成った!」

当然の事ながら皆の反応は芳しいものではなかった…

ツバキは恐怖を感じているのか耳を後ろに倒しているし、ダンダとリオンは不満を隠さない表情をしている。

グラグの表情は…まったく変わってない様に見えるが、不満があるのか尻尾がビタンビタンと左右に激しく振っている。

そしてマーガレットは…

「戦闘前に逃亡するってのはあり?」と聞いてきた。

まっ当然の考えではあるし、早い段階で考えれるのは優秀だとさえ言えるのだが。

「俺自身も考えてはみたが…

失敗すれば敵前逃亡になる、そしてその罪は貴族ですら死刑になる事もあるレベルだし、逃げる先も伝も無い。

それに勝てば自由になれるし支度金も手に入る、さらに明日手に入る生贄を用いて、闇の奇跡の生贄を使えば俺自身のパワーアップが出来るから、勝つ可能性も俺達が助かる可能性も十二分に高まる上に、ローズウッド領での最高権力者のローズウッド男爵とのコネも出来る、以上の理由から逃亡はなしだ」と正論を口にすると。

「でも勝てなかったら?それに勝っても私達が死んだら意味ないよ!」とマーガレットは間髪入れずに反論をしてきた。

まあ言いたい事は分かるし日本に居た時だったら同じ様に考えてただろうな。それに俺は後方に居るから助かりやすいけどマーガレットは基本前線に居るのだから、見ている物がまるで違うと言える。って違うな!マーガレットは魔力の矢だったか?それを使えるし会戦までにもう1つくらいは使える様になるだろうから前線で戦い続ける必要もないし、最低でもツバキの様に遊撃役になれるだろう。

なのにどうしてこんなに強固に反対するんだ?いくら考えても理解できない…


 「なあマーガレット何でそんなに反対するんだ?確かにゴブリン達とは違って敵は人であり、しかも地力ですら勝られてるかもしれんが、助かる道は戦うしかないんだぞ?

それとも逃げる伝が君にはあるのか?それならば俺だって利用したいくらいなんだが?」

まあお互いただのしがない奴隷でしかないので期待薄だろう、個人的な予想をいえば多分女性特有の無駄に長いだけの愚痴だ。

「無いけど…でも…だって…」

やはりそうか勘弁してくれ…そんな意味の無い事をしている場合じゃないだろう。俺だってヴェスペラ様に供物を捧げて明日に備えて寝たいんだよ…

そのため俺はインプに契約者間で使用可能な念話を用いて、眠りの雲を使うように指示を出したのであった。


 「「「「おいおいおい!(ヲイヲイヲイ!)」」」」マーガレットをインプが眠らせた直後に周囲の皆は騒ぎ立てるのであった。

「何故そこまで騒ぐんだ?正直皆も眠れなくて迷惑してただろ?」

「いやいやいや!何言ってんの!あれハイハイ言ってたら落とせてたでしょ!?朝日リーダーみたいなオジサン、マーガレットを逃がしたら次は無いよ!?」

とダンダが必死に忠告をしてくるのだが。

…45才だし若くない事は自覚してる実際身体も段々と動かなくなってきてるしな、だがここまでハッキリ言われるとイラッとするものだ。

それに落としてどうするのだ?衆人環視のもとセックスでもするのだろうか?俺自身シたいとは思わんしマーガレットもお断りだろう。

それにヴェスペラ様を妻にする事を、まだ諦めてはおらん。


 色々とぎゃいのぎゃいのと言われたが、ほぼほぼ無視してヴェスペラ様に供物を捧げて7ポイントを得て、闇の奇跡の精神力を奪うに魔法抵抗弱化に掠り傷を与えるに何故か闇にも有る神の助言を覚えて、使用回数を3回増やした。

なお闇にも神の助言が有った事をヴェスペラ様に聞くと、闇の神官が神の声を聞こうとして何が悪いとの事だった。

てか光と闇で効力内容名称が被ってるのも、それなりに多いぞとも伝えられてしまった。


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