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第二話

 「ぐおおお、本気で痛え!」

アスファルトでヘッドスライディングをかましたんだから当然といえば当然なんだが、ひぎぃと転げ回りたくなるほどの痛みだ…

ひぃ~ひぃ~とうずくまりながら痛みに耐え続けて、痛みが徐々に治まり、ようやく立ち上がれそうになり顔を上げながら立ち上がると。


 地平線の彼方まで続く灰色の、それ以外には何もない世界がそこにはあった。


 うん?あの高校生達は?てっきり彼らと同じ場所に転移されると思ったのだが?まさか何もない場所とは?

いや!この場合は神様的な存在が居る空間なのでは!

そう思った瞬間、背後から声をかけられる!


 「そのとおりだ、我が信徒候補よ」

その言葉を聞いてから、ゆっくりと振り向くと神々しくも禍々しくこの世のものとは思えないほどの美しい女性が眼の前に居た。

その素晴らしい容姿は、年齢は二十代前半の知的美人であり、髪はおかっぱを長くしたようなセミロングヘアで絹のように細く柔らかく艶々とした黒色で、目は切れ長で大きく黒真珠のような清楚な光をたたえ、鼻は筋がとうり日本人のそれよりは高く西洋人の物よりは低いくらいで、唇は滑らかで張りがあるピンク色であり、今までの人生で見かけた女性の中では最も美しい女性だと断言できた。

この人を妻にできれば、どれほどの幸福であろう。

いや一晩だけでも相手をしてくれるなら異世界転移すらドブに捨てても構わないとさえ思えるほどの女性だった。


 「ふむ、容姿を褒め称えてくれたのは嬉しく思うが話は進まぬし、神である我を手にしたいのであれば、神に相応しい存在となるが良い」

ピンク色の唇から紡がれる言葉も、また美しく至上の音楽のごとし。

その内心は押し留めつつ、疑問に思うことを口にする。

「素晴らしい容姿を褒め称えたのは事実ですが、口に出したおぼえはないのですが?あと相応しい存在になる方法とは?」

「神であれば信徒の心を知るなど容易きこと。そして相応しき存在になる方法は、異世界で鍛錬を積み重ね我の従属神となるか、同程度の存在になれれば、まあ妥協してやらぬでもない」

う~ん人の心を勝手に読んでるのに、何とゆう上から目線。

いやでもまあ、そんなもんか、相手は神様だしな、むしろ神に性欲を向けるとは不敬である!と処刑されないだけましか。それはそうと。

「従属神になる方法と同程度の方法とは?具体的におっしゃっていただきたい」この疑問は解消しなければならないだろう。


 「方法は数種類ほど有る、夕凪朝日よ貴公の概念で分かりやすく説明すると。1つ目は我の、強欲と狂気の神であるヴェスペラの神官となりレベルとでも言うべきものを上げ続ければ、いつの日にかは届くであろう。

2つ目の方法は魔法使いとなりレベルを上げ続け神にも等しい魔力を得られれば同程度の存在となれる。

3つ目の方法は剣士、戦士となる方法だが朝日の年齢では実質不可能に思えるな」

まあ若くないと認めたくはないのだが、もう45歳だしな肉体的にも下り坂だ。十代二十代の頃は無茶をしても問題なかったが、今は無茶をするとケガか故障をするし、少なくとも確実に不調にはなるし、確かに無謀ではある。

それに、せっかくの異世界なんだから魔法の類を使いたくはある。

さて魔法使いと神官のどちらを選ぶべきか…

と数秒だけ考えてから、俺個人の想像でしかないがヴェスペラ様と会話?念話?を普段からできそうな神官を選ぼうとして、何の知識もないし本当にできるかどうかも知らない事に気づく。

色々と質問するべきだろうな。

そう考えた直後にヴェスペラ様が口を開く。

「念話は光の奇跡の供物か闇の奇跡の生贄を使用している際に可能だ我が信徒朝日よ、ついでに言うと両方ともレベル1の奇跡だから信徒になればいつでも使えるぞ。

さらに言えばヴェスペラの神官以外では念話はできない。

それ以外にも我が信徒になるメリットは多数有る。

1番のメリットを上げるとヴェスペラ神官以外では光と闇の奇跡を同時に扱える者は汎用魔法使い以外いない。

ちなみに汎用魔法使いは全ての魔法を使えるのだが最高レベルでも7程度でしかないし、神官と専用の魔法使いならば最高レベルは10だ、しかもレベル8以降の奇跡と魔法には汎用性は低いが強力無比な物が多いし、何よりも汎用魔法使いでは従属神になるのは不可能だ。」

生贄とは物騒だなとは思うが、闇の奇跡だしそんなもんかとも思う。供物は賽銭とか米や野菜や肉や魚かな?軽く頷いているし多分そうだろう。それはそうと。

「聞きたいことはだいたい教えてくれましたが、本当に汎用魔法使いは従属神に成れないんですか?前人未到であっても空前絶後ではないのでは?」

「いや空前絶後だ、なぜならば従属神に成るための最低条件は2つあり、1つはレベル10の奇跡か魔法を使えることだし、もう1つは専用の奇跡か魔法を全て使えることだ」

「なるほど汎用魔法使いでは両方とも満たせないことが分かりました、では異世界に行く前に聞きたいことがあるのですが言葉は通じますかね?あと病原菌とかは大丈夫ですかね?」

ある程度の覚悟は異世界転移に巻きこまれるためにダッシュした際に決めたから当然あるのだが、さすがに風邪らしきウイルスに感染しました免疫がないので致死率100%です死にました…は勘弁してほしい。

まあある程度は覚悟しているし、社会保障もろくにない契約社員の底辺労働者として延々と働き続けて何時か身体を壊して障害年金か生活保護で食いつなぐよりは、はるかにマシだと自分の人生と生命を賭けたんだから、しゃあないと諦めもつくんだが。できれば良い目にあいたい。

「問題ない、そのへんはスターターパックとして用意されている。ついでに言うと高校生達とは別の場所に転移することになるだろうから、そのつもりでいるように」

「それはどうしてですかね?てゆうか何故彼らはこの場所に居ないんですかね?」

ヴェスペラ様に選ばれた存在に成れたから、ある種どうでもいい存在になったので、ついうっかり忘れていたが不思議ではある。


 「先ずは彼らがこの場所に居ない理由を答えよう、彼らも別の神に会っている。

神の名前と高校生達の名前も役に立つ可能性は十二分に有るであろうから一緒に教えよう。

一人目は慈悲と慈愛の女神ミセリと本巣田夏帆(ほんすだかほ)

二人目は秩序と正義の男神オルドと根井隆成(ねいたかなり)

三人目は戦争と勇気の男神ベルムと菅野義行(かんのよしゆき)

四人目は農耕と牧畜の男神イウメンタと祐野耕史(ゆうのこうじ)

五人目は商売と盛衰の女神ボウナと福野幸子(ふくのさちこ)

六人目は芸術と音楽の女神アテムと早田公美(はやだくみ)

七人目は復讐と報復の女神ヴィンディと東雲陽太郎(しののめようたろう)

ちなみにヴィンディとベルムの神官は闇の奇跡を使いミセリ達の神官は光の奇跡を使える。

さらに言うと神の信徒にはそれぞれ聖約があり、聖約を違反し続けると加護を失い、神官であれば奇跡を行使できなくなる。我の信徒には聖約は存在しないが。

さて、何故彼らと同じ場所に転移すべきでないかと言うと理由は2つある。

1つ目は教義が存在しない事が危険視されていることで、2つ目は信徒に成るための条件が厳しく我が信徒は少ない、世界全体でも100人ほどしか居なくて後ろ盾が無いに等しく教義が無い事も相まって、ほぼ間違いなく飼い殺しにされるだろう。中世ヨーロッパの娯楽もないド田舎で2〜3人の女をあてがわれて一生を過ごしたいわけではあるまい」

内心では微妙に魅力を感じてはいるのだが口に出すわけにはゆくまい、たとえ相手が理解していてもだ。

まあ目の前の女性、ヴェスペラが手に入るのであれば百倍の数の美人達でも比較にはならないのだが。まあそれはそうと。

「後ろ盾が無いと軟禁に為るという事は人権意識は現代社会と比較すると低いか殺人などの犯罪行為を何の躊躇いもなく行うと思われていると言う事ですかね?

さらに中世ヨーロッパとゆう事は衛生環境は劣悪で、女性を数人あてがえるということは王侯貴族あたりに召喚されたということですかね?

そして逃げ切れないということは、チート的な能力は貰えない感じですか?」

ヴェスペラ様は目を軽く開いた後に、ほうと感心した様子で返答を開始する。

「良い読みだぞ朝日よ、1つを除いて全て当たっている。

さて、そろそろ行く道を選ぶのだ!」

そう言いながらヴェスペラ様が両手を肩の高さまで上げると、上を向いた手のひらから魔力なのだろうか?バレーボールほどの大きさの紫色の球が左右の手に2つずつ出現し、ゆっくりと左右に別れながら地面に着地する直前で、4つのゴシック様式の両開きの扉に変化する。


 なんで4つなのだろうか?別の場所行きと王城行きの2つしかないと思うのだが?

「ふむ疑問に思っているようだな。では説明しよう、朝日から見て1番左の扉を通ればチートは無しで高校生達と別の場所で我を妻に出来る可能性がある。

左から2番目はチートは無しで高校生達と同じ場所で我を妻に出来る可能性がある。

左から3番目はチートがあり高校生達と別の場所で我を妻に出来る可能性は無い。

左から4番目はチートがあり高校生と同じ場所で我を妻に出来る可能性は無い」

さてどれを選ぶのだ?と言外に言われるが、俺が選ぶ扉は考えるまでもなく。

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