第一話
俺の名は夕凪朝日日本生まれの日本育ちの氷河期世代で今年45歳になる負け組の男だ…
就職氷河期ゆえに新卒で就職できず不満もあり、資格などを取るための努力はそれなりに続けていたが実ることもなく、正社員になれることもなくズルズルと生き続けていたら、気づけばこの歳まで独身よ…
だが!そんな俺にも転機というかチャンスが訪れた!
というのも約10m先を歩いている4人の男と3人の女の学生服を着た高校生のグループの足下に魔法陣らしき、発光する複雑な模様のサークルが突如として出現したからだ!
これは異世界転移かな?異世界転移だろう!と個人的にひっそりと楽しんでいる、なろう系小説そっくりの状況に興奮しながらも、加齢で少しづつ衰えている身体に鞭を打つようにして高校生達の元へとダッシュで駆け寄る!
2〜3歩ほど踏み込んだ時に「おわあっ!なんだこりゃあ!」「きゃあ!なによこれ!」などと高校生達が騒ぎだすのだが、俺も若いころにこんな事があったらなぁ、今の俺みたいにはなってなかったんだろうなとゆう悔恨や羨望などの内心を無視して突き進んでゆく。
しかし後3〜4歩ほどで目がくらむほどの強烈な発光が起きる!
なろう系なら光がなくなると同時に異世界転移が完了するのだろう!つまり一刻の猶予もない!
そう思い覚悟を決めてヘッドスライディングを敢行する!
もしも間に合わなかったら下半身のスニーカーと靴下とジーンズはともかく、上半身は半袖のポロシャツだし腕が擦過傷だらけ、胴体は打撲で1〜2週間は苦しむんだろうな…
そうして敢行したヘッドスライディングだが、予想に反してそれなりの被害を俺自身にもたらした。
まあ後になって冷静に考えれば、そりゃあそうだと納得できる。
間に合う間に合わないにかかわらずアスファルトの歩道に接触すれば傷くらいは負うだろう。
神様的なサムシングにより傷1つ負わないことも期待はしたのだが、残念ながらそんなことは起きなかった。
先ずは右膝が地面に接触し強烈な痛みと擦りむいた際の熱を感じた直後に左膝が着地し、さらに胴体と太ももが同時に着地し最後に腕、そして右手の中指の先端が魔法陣の中に入るのと同時に魔法陣の発光はおさまるのだった。