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新学期

「4月、それは始まりの季節。

 冬が終わり、徐々に気温が上がっていき、もうすでに昼間はぽかぽか日和である。

 そんな始まりの季節に、今日から高校生活を始める高校生は桜が舞い散る道を希望と不安、緊張など様々な感情を持ちながら歩き、そして、学校までの止まりたくても止まることができない道を歩み始める。

 この止まれない道を今から歩み始めるのが彼、山里(やまざと)大河(たいが)。彼には身長、体重、顔、勉強、スポーツなどどれをとっても秀でているとは言えない能力を持ち、簡単に言ってしまえば平凡な男である。そんな彼も今日から高校生という新たな道を歩み始めていく。

 そう、この物語は彼、山里大河がこれから起こる高校生活において様々なことで一喜一憂し、時には悩み、考え、自分なりの答えを探していく物語である」


「……………………………………………………そんなプロローグを話しているところ悪いんだけど、もう電車来るぞ」


 その言葉を大河が告げると同時に、駅にホームには電車がやってくるアナウンスが鳴り響き、両者の間には少しばかりの沈黙が流れたが、その沈黙はすぐにやってきた電車の騒音によってかき消されていった。


「この物語は……」


「もういいから! おいてくぞ!」


「それは勘弁してくれないかな」


 そう言って、今までずっとプロローグを話していた東条(とうじょう)(たくみ)は大河の後を追うように電車の中へ入っていった。

 巧が電車に乗ると、すぐに電車のドアが閉まり、二人が通う学校の方へ電車は走り始めた。


「この物語は……」


「くどいわ!」


「えっ? だって新学期だよ、俺たちこれから高校生だよ、そしたらさ、プロローグを言わずにはいられなくなっちゃってさ」


「普通はそうならないし、それになんで勝手に俺が主人公ポジションで物語が始まろうとしてるんだよ。どうせやるんだったら自分のにしてくれ、俺を巻き込むな」


「……?」


「そんなひょっとこみたいなとぼけた顔をするな、てかひょっとこの顔はとぼけている顔ではない」


「そうなの? じゃあどんな顔なの?」


「それはだなぁ……」


「ほら分からないじゃん」


「判断するのが早すぎるだろ、俺が考えるための時間を稼ぐために話していたのに、終わった瞬間に話しかけてくるんじゃない」


「時間稼ぎしている時点で分からないって言ってることと同じだと思うんだけど」


「…………そういう巧はどんな顔だか知ってするのかよ?」


「ああ知ってるとも」


「ほほーん、それじゃあ今から答えてもらおうか」


「いいだろう、正解はだな。…………CMのあと」


「知らねぇじゃねーか」


 その言葉と共に大河は巧の肩を少し強めに叩く。


「うわ、いったくないわ」


「じゃあそのことは言わなくていいわ」


 そんな二人の間で他愛もなさすぎる会話が行われた後、二人の間には少しの沈黙が流れたが、それもすぐに二人の徐々に大きくなっていく笑い声によってかき消されていった。


「大河はやっぱり変わらないな」


「そういう巧も変わってないよ」


「「だって、昨日も会ってたし」」


 二人はお互いに大爆笑し、少し声が出せなくなっていたが、笑いのツボが収まってくるとすぐさま二人は会話を始めた。


「今年も、いや、これから三年間よろしくな大河」


「こちらこそよろしく頼むぞ巧」


 そして二人は固い握手をなぜか交わし、電車の中では次の駅にもうそろそろで到着するというアナウンスが流れ始めていた。


「そろそろ学校に着くみたいだな」


「そうだな、それじゃあ学校に行きますか!」


 こうして二人は学校に向かい、新学期が始まるのであった。


「「違うクラスじゃねーか!」」


まずは『高校生、電車の中でも高校生』を読んでいただきありがとうございます。作者の磯崎陽です。

前作を約一年ぐらい投稿していない私がこの作品を連載し始めたのは、久しぶりに小説を書いてみようと思い、最初に前作から手を付けるのは大変だったため、簡単に考えた新作を投稿することにしました。

もちろんこの作品の投稿頻度は未定であり、いつ投稿が止まるか分かりません。

そのため、作者のモチベーションのためにも様々な声をいただけると幸いです。また、時間と心に余裕ができてくれば前作の投稿も再開したいと考えていますので、そちらの方もよろしくお願いいたします。

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