引っ越し祝いとこれからの事
私と宗一郎は荷物の整理をしている。
「このドレスも着れないのね」
私は自分が着ているドレスを見ながらしんみりした。
この世界ではドレスは日常的には着ない。
めでたい時に着る物だし私のドレスは宝飾がされていて凄く目立つ。
「まぁ、特別な時に着れば良いんじゃないか。誕生日とか故郷が恋しくなったりとか」
「恋しくなる事は無いわ。嫌な思い出しかないもの」
キッパリと私はそう告げた。
「それじゃあ着替えなよ。俺は着替えている間に引っ越し祝いを準備するから」
そう言って宗一郎は部屋を出ていった。
確かにこのままドレスを着たままだとおかしいのでドレスを脱ぎこっちの世界に似合った服に着替えた。
何の装飾もされていないけど動きやすくて気に入っている。
「着替え終わったか、ピザを頼んどいたから食べよう」
「ピザっ! 流石はソーイチローねっ!」
ピザと聞いた瞬間、私は目をキラキラさせた。
こっちの世界に来てピザは私のお気に入りだ。
熱々のとろけるチーズとトマトソースの味わい、想像しただけでほっぺたが落ちてしまいそう……。
私と宗一郎は2人で仲良くピザを食べた。
「これからは自分で働いて生活をしていかなきゃいけないのね」
「あぁ、その事なんだけど、こっちの学校に通ってみないか?」
「学校? 私は卒業しているわよ」
「あくまで向こうの学校だろ? こっちでは学歴は無いんだから、今後の生活やこの世界をもっと詳しく知る為に必要だと思うんだ」
「でも年齢とかは……」
「大丈夫、昼間働いて夜に学校に通えるシステムがあるんだ」
「そんな事が出きるのっ!?」
私は宗一郎の提案に乗る事にした。