高嶺の花はなかなか枯れることはない。
「ほ、ほら、今書けた!
頼むよ!な、な...!!俺から渡す勇気はないんだよ!」
いつの間に書いたのかと思う程に。
リョーヤのヤツはラブレターをしたためて、
俺に水色の封筒を押し付けてきた。
「今、林ユーコに渡して来てくれよ。
ホームルームまではまだ時間があるしさ!
頼む、頼むよ...!!」
「しつこいぞ...!」
「なんとでも言えよ。面と向かって渡すなんてこと、脚が震えてだな、、あと、もし俺が渡して、手紙を
目の前で破かれたりしたらショックで
死んじまうかもしれないだろ...!」
「そんな死ぬとか大袈裟だぞ...」
「林ユーコがそんなことはしないだろ、
流石によ...」
性格はそんなに悪くないヤツだった。
誰からも好かれていたように思う。
いや、違うな。
俺だけにはなんか、どういうわけだか、ツンツンしててだな。
そんなに会話もしたことないから、
俺は彼女のことが苦手だったが。
林ユーコが人望厚くて、児童会長に
クラスは違うが推薦されたときには。
俺、なんの気無しに、彼女の名前の上に丸を描いて投票箱に入れたことを覚えていた。
俺が投票したから彼女が当選したとかではなくて、もうなんか、女子や男子や
下級生からも圧倒的人気で。
だからこそ、小学校のときは児童会長を務めて。
成績も良くて運動神経も良い、才色兼備。
おまえに児童会長。
「高嶺の花」って言葉が似合う女。
中学生になったらなったで。
また、生徒会長をやってた。
小学校での高嶺の花は、中学生になっても
枯れることなく高嶺の花だった。