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王貴血者

その後の道程に、問題は無かった。

街道に合流後、馬を借り、ロマニアへと駆ける。

ロマニアに到着後、リリーは根回しがあるからと、ルシフと一旦別れ。


そして……


王立高等魔導学園リュケイオン。

その会議室の一室で。


リリーは、ディアナを呼び出した。


「王女殿下、本日もご機嫌麗しゅう。この度の祭事、お疲れ様でした。随分お帰りが遅かったですが、何かあったのでしょうか?」


「ええ、盗賊に襲われただけよ。頼りにしていた親衛騎士のローザも……」


「ローザさんが?!それは……でも、王女殿下が無事だっただけでも……」


ディアナが、青くなるが……同時に訝しむ。

どうして自分が今、その情報に接しているのか。


ディアナは、有力貴族の令嬢。

決して身分が低いわけでは無いが……高い訳では無い。

リリーとディアナが口を聞いたのも、数える程度。

無論、ディアナから話しかけた事など無い。


まさか……


ディアナは、ある可能性に思い当たる。

襲撃したのは……自分の……身内?

お父様が……?

まさか……お父様がそんな事を……


「まあ、襲撃の事はどうでも良いのよ」


「良いのですか?!」


ディアナが目を白黒させる。

ますます、自分が呼ばれた理由が分からない。


「貴方、ルシフの世話をする様、父君から依頼されていますね?」


「ルシフ……ですか……?お父様から……ひょっとして、深海の魔女アカネア様の……?」


「そう、魔女アカネアの孫、ルシフよ」


「はい、それは聞いています。まだ学園に着いていないと認識しておりますが」


リリーは、ディアナの肩を叩き、


「その役目、私が引き受けるわ」


「な、駄目、駄目ですよ?!魔女アカネア様は信頼できるお方、そのお弟子たるルシフさんも、決して悪い方では無いと思いますが……王女殿下が接触するのは危険過ぎます!」


「せ……接触って、手を繋ぐ事すら許さないって言うの?!」


「そもそも、お会いする事すら危険だと……って、どうして王女殿下がルシフさんの事を……?」


リリーは、胸を張ると、


「私を盗賊から助けてくれたのが、ルシフだったのよ。あれはきっと運命、私はあの人の物になりたい……リリーさん、貴方もルシフに手を出したら許さないからね」


「何を仰るのですか、王女殿下?!」


ディアナが悲鳴を上げる。


「王女殿下は、王族ほぼ最後の血族……由緒正しきお方と結ばれ、王国存続の……いえ、勇者の血を次代に継いで頂かねば……」


「ルシフは強いわ。きっと優秀な子供が生まれるわよ」


「ルシフさんは賤混者(ハーフ)なんですよ?!しかも、親は不明……混じった魔物の種族すら不明……」


「あら、アオロ伯の御令嬢は、賤混者(ハーフ)差別主義者なのかしら?」


「意地悪を仰らないで下さい……貴方は王貴血者(アーク)、私の様な凡人とは違うのです……どうか、どうか、お立場をお考え下さい」


最後の勇者の血が、魔物と血と混じり合う。

ディアナは、その恐ろしさにぞっとする。

そもそも、魔物の天敵たる勇者の血、クウォーターと言えども、反発してしまわないか……


「もう決めたのよ。私は、あの人の物になるわ。文句があって?」


「いえ……出過ぎた事を申しました」


ディアナは、項垂れてそう言った。

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