第一回【卒業記念記録盤鑑賞会】成功?
次の上映までの休憩時間、会場の隣りの部屋に用意してあった軽食を摘みながら、皆が幾つかのグループに別れて談笑している。
「『卒業パーティーで婚約者を罵倒して、婚約破棄する』なんて最低な元婚約者でしたわね!」
とコレはレイリアル殿下の婚約者の公爵令嬢。
ランディーが学院を去った後、生徒会長を務める殿下の補佐をするべく、学院初の女性副会長を務めた才媛だ。
彼女の周りにいるのは、その友人達であるいずれも聡明なご令嬢達。
「公の場で家の名前に泥を塗って置いて、自分達が幸せになれると思っていたなんて!廃嫡になって当然ですわ!」
「そんなに『身分でしか自分を見てくれない!』というなら、自ら身分をお捨てになれば良いではありませんか!」
などと言いながら、優雅に用意された軽食や紅茶を口に運んでいる。流石は学院の生徒。
「それにしても、あの自称ヒロインが婚約者の気を引く為にやった自作自演の数々、やけにリアルでしたわね?」
「それだけ脚本の方が素晴らしいのでしょう!」
「確かあの【名探偵タークの冒険】の作者の方でしょ?私達と同じ貴族令嬢なのですって♪」
「そうなんですの?では、私も今まで書いたポエムなどを出してみようかしら?」
ああ…確か彼女は文化部の部長でレイリアル殿下の側近の婚約者だったな。春には結婚か羨ましい……
俺は未だに婚約者候補すら決まっていないというのに!
「それにしても、キイナ様かっこよかったですわねー♪」
「少し上映時間が短めでしたけど、【卒業記念公演】ですから仕方ありませんわね。」
女子生徒の評価は上々だ。良かった、彼女達はまともな感覚を持っていた様だ。
エリー先輩の脚本、元ネタがあるとはいえ流石の脚本力だな。
それに引き換え…真っ青な顔であぶら汗を流している令息数名。
花畑なヒロインモドキ数名の中にはあの劇の意味すら解っていない者すらいる。
30分間の休憩中は大混乱……
にはならず、ひたすらヒロインモドキから逃げ回る者、婚約者に謝罪の機会を設けてくれる様に必死に頭を下げる者が若干名。
どうやらこの前のナルーニの件を知る者は、早々に縁組をやり直すなりヒロインモドキと距離を取るなりしたらしい。
まぁ貴族として正しい選択だな。いくら可愛いくても、周りの女性を敵に回す様ではこの先社交会でやっていける訳がない。
マナーも守れない様なヒロインモドキなど言語道断!
例え平民であろうと、この学院に一年以上通って『マナーが守れない、解らない!』と言っている時点で覚える気が無いと判断され将来の将来の貴族夫人失格だ。
貴族の場合、有事の際は夫の留守中に一族をまとめなければならない事もある。馬鹿では役に立たないし、いつも夫に守ってもらっている様では困るのだ。
つまり【お花畑乙女ゲームヒロイン】に、貴族夫人…ましてや国母など務まる訳が無い!
逆ハーレムルートや隣国の王族との結婚なんてとんでもない!
逆ハーレムなんてされて、誰の子かわからない子に王位を継承させられるか!内乱が起こるわ!!
隣国の王族との結婚?国際問題だろそれ!
母国で待ってる婚約者に失礼だと思わないのか?
王族の伴侶になる為に幼い頃から努力していたのに、婚約者の浮気で全部ダメになるんだぞ!
その婚約者の家は王族の後ろ立てになるはずの家だ。
それを裏切った王族に彼らが後ろ立てになる訳がないから、そいつは後ろ立てを無くして途方にくれる事になるだろう。
そんな女を国外に出した我が国も、当然とばっちりを受けて下手すると戦争だ!
そんな事にならない為にも、【お花畑ヒロイン】は取り締まらなければならない!
学院卒業後もこの件は【国家事業】として続けていこうと思っている。
因みに【勇者シルバーVSピンクギドラ】はモフモフ好きの者を除くとあまり評判は良くなかった。
エンディング後に何故か《【勇者シルバー大怪獣決戦】1~3の記録盤、ユイナーダ王国より近日発売決定!》というCMが流れた。
この前見た時にはこんなの映ってなかったのに……
まさかこの為だけに記録盤に遅延式の術でもかけてあったのか?
流石はボルネオール家……




