顛末
皆さんたいへんお待たせ致しました。
少し落ち着いたので再開致します。
ただしスローペース。
ブジーア・コンスルタは、嘘付きだった。
それは幼い頃からずっと……
最初は些細な事だったのだろう。
幼い彼女の嘘は、直ぐにバレたし可愛い物だった。しかし、長じるに従いその嘘は巧妙になっていった。嘘をついて人から物を盗むのは日常茶飯事。ついには本来、特待生として学院に入学する筈だった生徒を罠にハメ、その資格を奪いとって学院に入学して来たのだ。
ナルーニの件以外にも余罪が有り、ブジーアは学院を退学。というか、在学した事すら無かった事になった。
今回の件で、彼女が今まで行ってきた嘘が全て明るみに出た為、当然だと思う。
その後ブジーアは、罰として絶海の孤島にある世界一厳しいと言われている【ハッチ女子修道院】に行く事になった。
数ヶ月に一度、転移陣で必要物資が届けられ、ごくたまにブジーアの様な奴が送られて来るだけで、あちらから生きて脱出する事は不可能。
修道院の規則は厳しく会話は必要最低限…《祈り》《挨拶》《はい・いいえ》《長文禁止》。
ブジーアにはコレに加えて、アキトの伝で【嘘をつくと首が絞まる首輪】を付けさせた。
その嘘の基準がどうなっているか解らないが……
まぁ二度と会う事も無いだろう。
【ハッチ女子修道院】は、現国王の高祖母が建てた物で初代の院長もその方だと聞いているが、何故か未だに院長の名前はそのままになっている。
普通ならもう亡くなっていると思うが、何しろここは異世界だ。もしかしたら、院長はエルフとかの長命種なのかもしれない。
一方、もう一人の当事者のナルーニ。騎士団の調査で上がってきた【ブジーアの調査報告書】を読んだ彼は、かなりショックを受け寝込んでいた様だが、3日もすると何事もなかった様にケロっとして登校して来た。
メンタルが異常に強いのか?それとも単なるバカなのか?どちらにせよコイツに侯爵家を継がせるのは危ないと思う。
幸いというか、ナルーニには出来の良い庶子の弟が居た。庶子の為、後継から外されてずっと領地で生活していたが、この件で一年遅れで来期から学院高等部に入学する事になった。
俺も会って話してみた。見た目は平凡な男だが、ナルーニと違って常識も知識もあるから、次期侯爵として期待が持てそうだ。
因みにこの件でアインファッハ侯爵家は、ようやく名前から【D】を返上した。
で、ナルーニだがこの男…実はとんでもない特技を持っていた。それはそれは美しい文字を書けるのだ。
《芸は身を助く》と言うがまさにその通りナルーニは後継からは外されたが卒業後、なんと王城で文官の中でも一握りしか成れない【高級文書書記官】として働く事が決まった。
【高級文書書記官】とは昔の日本でいうと祐筆と言われる武将や大名や貴族の《代筆専門の文官》だな。
やがて彼の書いた文書等が、高額で取り引きされる事になったのはずっと先の話し。




