後輩からの相談
数日後に会った、黒虎獣人の女騎士グロースの弟リッター君は、人型に虎耳・虎尾を持つ何故かちょっと困った様な顔をした可愛らしい少年だった。
騎士家の子息らしく、真面目で誠実な性格だ。
「将来は騎士になりたい。」
と言っていたので、同じ騎士を目指すブレディーを紹介してやったら直ぐに懐いた。
やっぱりこういうのは同じ志しを持つ者同士が良いんだろう。
ところが三日も経たないうちに、俺は二人に呼び出された。
ものすごく真剣な様子だ。
いったい何があった?
《内密な話》だと言うから、高位貴族用のサロンで話を聞く事にした。
「はぁ?クラスメイトの女子が、婚約者から『俺の可愛い恋人に嫉妬していじめる様な女とは、婚約破棄する!お前の所為なんだから慰謝料を払え!』って言われているから、何とかしてくれ?」
馬鹿かそいつは?
それって『浮気相手をいじめたから、婚約破棄する。慰謝料払え!』って言っている様なもんだろ?
「で…リッター君のクラスメイトの婚約者って、どこのどいつかな?」
「アインファッハ侯爵家の嫡男、高等部二年のナルーニ・D・アインファッハ先輩です。」
「はい?」
えっと…それって……もしかしなくても……
「浮気相手の方は高等部一年のブジーア・コンスルタン、平民の特待生だな。
妹に聞いてみたが、良くない噂しか聞かないそうだ。」
とブレディーが補足説明をしてくれた。
ああ~なんとなくわかるよ。
名前からしてアレだからなぁ~。
アインファッハ侯爵家というのは、ポーラルタオ王国の先先代の双子の弟が起こした家で、臣籍降下したにも関わらず代替わりしても未だに【D】を名乗る高位貴族家だ。
【D】を名乗る事が出来るのは【初代の侯爵が当主を務めている間だけ】許されていたんだが、未だに返上していない。
しかも数年前に事業に失敗して、多額の借金がある。
そんな中で結ばれたのが、隣領のミルト子爵家のアドレット・F・ミルト子爵令嬢との婚約。
子爵家が魔道石鉱山を掘り当てたので、それを狙って強引に婚約者になったそうだ。
それを自分が浮気しておいて『婚約破棄』『慰謝料払え』だと?
やはり名前通りなんだな……
【名は体を表す】って本当なんだ。
だいたいその恋人とやらの名前も気に入らない。
「浮気相手の方はテレーゼ達に調べてもらおう。
男の私達が近づいたら、ろくな事にならないと思う。」
相手は一応侯爵家だからな、だから公爵家の俺に相談しに来たのか。
きっとリッター君はそのクラスメイトの事が好きなんだろう。
よし!お兄さん頑張っちゃうよ!
アインファッハ侯爵家の事には、王家の方も頭を悩ませていたから、この事を知らせれば喜ばれる。
面白くなって来たな♪




