にわか探偵ネイサン ④
驚いた事にエルロックは本物の《中田元樹》だった!
まさか売れる前に、異世界に来ていたなんてな!
せっかくだから、この前貰った色紙にサイン書いてもらおう♪
異世界の《ロコロコ中田》のサインとかかなりレアだよな♪
「えっと…《ロコロコ中田》《エルロック・シャルメ》って書いて《ジョナサン・F・チェイテスさんへ》って書けば良いんですね?」
「はい♪ニホン語とこちらの言葉両方ででお願いします。
後ついでにコレも!」
そう言ってインベントリから色紙を出すと、エルロックことロコロコ中田は、サイン色紙の山を見て驚いている。
まぁけっこうな枚数だからなぁ……
本人にしたらまだ売れる前にこっちに来たのに、こんな枚数を書かされるとは、思ってもいなかっただろう。
彼のファンだった者は、こっちの世界にもけっこう多い。
なので知り合いに配るとたぶんいろいろ優遇してくれるだろう。
良い手土産になるw
そうこうしている間に、腹痛だと言ってトイレに行っていた助手役の冴えない顔をしたおっさんが戻って来た。
後でアキトに確認したら、本当に腹痛だったようで、サインを書き終わったロコロコ中田と共に彼が期待したようなお宝は無いと説明すると、残念そうに帰って行った。
ただ何と、帰り際に彼が『宛先の人物に心当たりがあるので確認でき次第、連絡します。』と言っていたのが気になる……
もちろん嘘を吐かれないように、かんじんなところは伏せて説明して置いたから大丈夫だと思うけど。
そして数日後…伯爵家に連絡が有った。冴えないおっさん…本名ミヤサの話によると……
「手紙の宛先らしき人物は、おそらくズーラシアン王国に本店がある《ウメモト キヨシ商会》の会長、《キヨシ・ウメモト》氏ではないでしょうか?
そもそも私があのイシドウロウに興味を持ったのも以前、会長の家で同じ様なイシドウロウを見たからなのです。」
《ウメモト キヨシ商会》といえば、世界を股にかける大商会じゃないか!
公爵家も取り引きがある。
確かに名前からして稀人の興した商会だとは思っていたが、まさかその人が探していた人物だったとは……
どうやら見た目と雰囲気で勘違いしていただけで、ミヤサというこのトレジャーハンターのおっさんは、悪い人では無かった。
ロコロコ中田の方もかなり誤解していた様で、あの後謝ったそうだ。
その後、伯爵家から正式にトレジャーハンター・ミヤサに依頼し、《キヨシ・ウメモト》氏に連絡を取ってもらう事になった。
それから暫くして、ロコロコ中田とミヤサがズーラシアン王国から、老人とその付き添いの猫獣人の女性、数人の獣人の護衛を連れて伯爵家にやって来た。
その猫獣人の女性には、見覚えがあった。
俺達がズーラシアン王国に行く時、ボルネオール侯爵家が付けてくれた上級メイドのミケルさんだった!
何故この人がここに?




