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にわか探偵ネイサン ③

少し遅れました。

(エルロックside)


なんなんだこの執事は!!

何を言っても頼んだ物をアイテムボックスから取り出して来る。



いつもならとっくに仕事を終えて、逃げているのに……

今回はどうも上手く行かない。



見た目は若いのに、完璧過ぎる!

もしかして俺を不孝のどん底に落としたあの女の様にハーフエルフなのか?



そもそも俺は、この世界の人間じゃない。

二十年ぐらい前に別の世界から来た。

いわゆる稀人で本名は《中田元樹》という元売れない芸人だ。



相方との稽古の帰りに突然この世界に転移してしまった。



この世界に来て直ぐ、ユイナーダ王国の冒険者ギルドに保護されたのは良かったが、俺にこの世界の事を教えてくれたギルドの教育係りの女が最悪だった。



嘘の常識を教え、他に頼る者もなかった俺はあの女を信用しきってしまい、仕事で大失敗をしてしまった。



その所為で冒険者の資格も失い、流れながれて今では、この国で半年前に知り合った今の相方ミヤサのトレジャーハンターの仕事の手伝いをしている。 



そういえば最近、『元の世界に帰れる魔法陣が見つかった。』と聞いた事がある。

噂によると『元の時間に元の姿で帰れる。』のだとか……



それが本当なら、元の世界に帰りたい。



その後も此方の狙いに気付いているのか、執事はいっこうに俺から離れなかった。

いつもなら、ここで諦めるのだが今回…ミヤサがずいぶんとこの()()()()()()()()に執心しているので、いくら合図を送っても、『撤退する気はない!』と合図をよこして来る。



『《何処かの貴族の家の庭に、石で出来た変わった形の塔があり、お宝の在処を示した暗号が掘られている。》という噂話を同業者に聞き、ずっと前から狙っていた。』

と言っていたからなぁ……



普通なら、この伯爵家の様な武官の貴族家でトレジャーハントなど二人でやる様な仕事ではない。



そもそも俺は半年前にミヤサに誘われて始めたばかり…個人的には犯罪に巻き込まれる前に、サッサと暗号の解った部分だけ渡して帰ってしまいたい。

もしかしたら、元の世界に帰れるチャンスかもしれないし……



幸いと言って良いか、ミヤサは腹痛だと言って部屋から出て行った。

おそらく別の場所を探しに行ったのだろう。

ミヤサには悪いが、やはり執事に解った部分の暗号を渡してしまおう。



「あの執事さん。コレ…石灯籠に掘られていた暗号を解いた物なんですが、私ではコレが精一杯で……

伯爵夫人にお渡し願いますか?

書庫の本に何か他の手掛かりがあるかと思っていたのですが、どうやら違う様ですね。」



俺はなるべく探偵らしく振る舞いながら、ダメ元で言ってみる事にした。



「実は私…稀人でしてね。『元の世界に帰還できる魔法陣がある。』と最近小耳に挟んだのですが、何かご存知ありませんか?

もしくはご存知の方をご紹介していただけないでしょうか?」


「何故私にその話しを?」



執事が訝しげに俺を見る。そりゃそうだ。普通ならそんな話は家の主人である伯爵か伯爵夫人にするものだからな。



だが俺は既に確信している。この執事はニホンと何かしらの繋がりがあるはずだ!

何故なら先程から俺に渡して来た文房具類が全てニホン製だったから……



俺が居た時代よりずっと後の可能性はあるが、ハーフエルフというより転生者の可能性が高くなってきた。



「貴方はただの執事ではありませんね?

おそらく私達の事を怪しんで、伯爵家で新たに雇われた探偵か冒険者でしょう?

私がこの伯爵家に来たのは古くからある家で先祖に稀人がいると聞いて、元の世界に帰る手掛かりがあるのではないかと思ったからなのです!」



別に嘘はついて無い……





☆ネイサンのスキルはインベントリですが、稀人と転生者の一部しか持っていません。なので、対外的にはアイテムボックスのスキルだという事になっています。


☆アイテムボックスのスキルは頑張れば一万人に一人くらいは後天的に得る事は可能です。

ただし、魔力量に関係なく容量は人によって違います。

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