にわか考古学探偵ネイサン
石灯籠…寺社仏閣、日本庭園に置かれている石でできた灯籠だ。
ボトルコフィ家の庭にあった石灯籠は【琴柱灯籠】という種類の柱の部分がアーチ状で、お琴の糸を支える琴柱に似ている石灯籠だった。
俺も実際に見たのは初めてだ。
確か石川県の兼六園という日本庭園に同じ形の物が置かれている。
ただし本物よりかなり大きく作ってある。
本物の【琴柱灯籠】は1mくらいの物らしい。
日本風の池の側にあったソレは、長年風雨に晒されていたにしては、綺麗なままだった。
どうやら【状態保存】が付与されているらしい。
「どうだろう?解るかい?」
「そうですねぇ……
この柱部分に彫られている模様の様な物……
コレたぶん何かの暗号だと思うのですが、この場で解析するのは難しいので写して帰っても?」
「それは構わない。私も何が書いてあるのか気になる。」
ブライト殿の許可を経て、とりあえずインベントリから半紙と墨汁とタンポンを取り出した。
「すみませんが、この墨汁を入れる入れ物を貸してください。」
「ジョナサン殿?何をするつもりなんだ? 」
「拓本でこの模様を写し取ります。」
ブライト殿の許可が出るとブレディーは使用人に入れ物を持って来る様に命じた。
俺は届けられた入れ物に墨汁を入れ、半紙を乗せブレディーに手伝って貰って丁寧に写し取って行く。
テレーゼとスレーネ嬢も珍しい作業なので、見に来ている。
今回は細かい模様もあるので【間接湿拓法】を使った。
この方法の方が石灯籠も汚れない。
紙の上から鉛筆で写す、【乾拓法】と本体に直接墨を塗る【直接湿拓法】いうのもあるが、今回は範囲が広いし正確に写す為にこの方法を選んだ。
「カメラで撮影した方が早いのではないか?」
というブライト殿の質問はもっともではあるが、この場合は不正解。
「カメラで写すと光の加減などできちんと写らない場合があるので、石碑などに彫られている模様や字を写すには、この方法が最適なのです。
この方法だと本体も汚れませんし…… 」
まぁ俺も実際にやったのは初めてで、以前テレビで見た歴史探偵の先生の真似をしてみただけだけどなww
「なるほど…この様な方法があるとは……
これも稀人の知識ですか?」
「いえ…おそらく考古学の研究者の方はご存知なのでは?」
こういう事には疎いブライト殿とブレディーはそれで納得していたが、その後調べてみたらこの世界では【間接湿拓法】は広まってなかった。
汚れても洗浄魔法で簡単に綺麗にできるかららしい。
「あ!そう言えばこの前、この石灯籠を調べに来た男が居たな。
その男は助手に紙と鉛筆で写させていた。
名前は何と言ったか?」
ブレディーが紙を押さえながら、とんでもない事を言い出した。
えっ?俺の他にも調査してる人いるの?
「エルロック・ショルメ様ですわよ。
助手の方はアルセーヌ・ルパン様と……
確かどこかの子爵家のパーティーでお父様が紹介された、探偵ですわ。
ブレディー兄様。」
《エルロック・ショルメ》と《アルセーヌ・ルパン》だと……
なんだその嫌な予感しかしない名前は!?
「その男達は今どこに?」
「『3日後の午後にまたいらっしゃる。』と、昨日お母様からお聞きしましたけど?」
つまり明後日には、ここに来る訳か……
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※1
魚拓などで使う方法。




