【閑話】親友の話し
今回は時間通り!
(ブレディーside)
俺の名はブレディー・F・ボトルコフィ。
ボトルコフィ伯爵家の次男だ。
俺には親友が居た。
幼い頃、第二王子レイリアル殿下の学友…側近候補として出会った、チェイテス公爵家の嫡男ランディー・F・チェイテス。
名前が似ていたのもあって、俺達は直ぐに仲良くなった。
五歳で出会って十年間、切磋琢磨しながら殿下にお仕えしていた。
やがて、ランディーは俺の妹のスレーネと親同士の話し合いで婚約者になった。
いわゆる政略による婚約だ。
だが二人の仲はとても良く、コイツなら大事な妹を任せても大丈夫だと思っていた。
妹が学院を卒業して直ぐ、ランディーと義兄弟になる予定だった。
ところが二年前、王都にある大神殿で行われた【祝福】(神様から様々なスキルが貰える成人の儀式)と同時に今回初めて行われた【鑑定】という、血筋をより確かにする魔道具で、とんでもない事が発覚してしまったんだ。
ランディーは公爵家の血筋じゃなかった。
公爵家の筆頭護衛騎士の息子だったのだ。
そこで直ぐ、ランディーの乳兄弟で従者をしていたカイトの【鑑定】をする事になった。
何故ならつい最近、同盟国で同じ様な事件があったばかりだからだ。
冗談じゃない、もし仮にあのカイトが本物の公爵子息だったとしても、スレーネの婚約者になんてさせるものか!!
【鑑定】の結果、意外…というかとんでもない事実が発覚した。
あのカイトはその昔、今のチェイテス公爵領の一部を支配していた、領民を虐げ、人身売買や横領などで断絶された貴族の子孫だったのだ。
どうやらその先祖が、庶子でまだ幼かったという理由で見逃していたのが、仇となったらしい。
最悪な事にカイトは、その事実を知っていてなりすましていた。
その後、奴の家族は成人前の兄弟も含めて処刑された。
当然、スレーネとランディーの婚約は白紙。
結局ランディーは俺達の助命嘆願と、国王陛下の温情で、実の父だった公爵家の元筆頭護衛騎士と共に、国外追放になり弟妹は公爵家の伝で他国に渡った。
その数ヶ月後、本物のチェイテス公爵家の子息が見つかった。
そいつの名はジョナサン・F・チェイテス。
本来ならソイツは俺達と一緒に、王立ポーラルタオ魔法学院に入学するはずだったがずっと平民として育って来た為、貴族としての教育が出来ていないという理由で、二年生から編入する事になった。
その間にも従兄弟でもあるレイリアル殿下は何度かソイツと会い、その度に大きな成長を遂げていると言っていた。
『最近ではジョナサンと会うのが楽しみになっているのだ。』
と言われ、俺は内心ガッカリした。
あれ程、ランディーと仲の良かった殿下がそんな事を言うなんて!!
十年間一緒に頑張って来たのに、裏切られた気分になった。
だからと言って殿下の護衛兼側近候補として手を抜く様な事はしない。
魔法学院の一年が終わり、いよいよアイツが編入して来る!
と思っていたら、なんと学院の編入試験で、『今まで誰も解いた事のない問題を解いてしまい、学院に編入せずにユイナーダ王国に二年間留学してしまった。
とんだ肩透かしを食らったようだ。
まぁこの二年の間、一度も会わなかった訳じゃないが……
社交界には顔を出しているからな。
会う度にアイツはいろいろな者達との交友関係を築きあげていく。
中にはランディーと、仲の良かった伯爵家のアレン殿も居た。
「いったいどういうつもりだ!?
アレン殿!!
アイツの所為でランディーは国を出る事になったんだぞ!!」
彼にその事について問うと
「ブレディー殿は、まだその様な事を……
貴方はランディー殿と特に仲が良かったですから、そのお気持ちはわからなくもありませんが、アレは彼の所為では無いでしょう。
むしろ彼の方は完全に被害者です。
一度、きちんとお話した方が良いと思いますよ。
貴殿も本当はわかっているのではないですか?」
そう言って彼は俺の前から去って行った。
※カイトの話は第一章参照。




