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ジョンついにユイナーダ王国へ!
ジョナサンの愛称はネイサンだった。
俺は今…何故か【国立ユイナーダ学園高等部】の特進科二年の教室に居る。
王立ポーラルタオ魔法学院に中途入学するのは、かなり大変だと言われて凄く頑張った。
いや…頑張り過ぎた。
『学院創設以来、誰も解いた事がない』と言われていた問題を解いてしまったのだ。
前世で普通に高校を卒業していれば誰でも解る公式問題だと思って普通に解いてしまったんだが……
で、ポーラルタオ王国側は『このまま魔法学院に通わせるのは惜しい。』と、判断して急遽同盟国であるユイナーダ王国に連絡を取ったところ、『是非、我が国の学園へ!』
と言われ、あっという間に俺はユイナーダ王国に留学する事になってしまった。
親切な事に、半年前までユイナーダ王国に留学していた公爵令嬢から、紹介状や学園街のガイドブック、共通教科の教科書まで予習用にと餞別に頂いた。
因みに公爵令嬢は、近くユイナーダ王国の高位貴族に嫁がれるそうだ。
もしかして、この人も俺と同じ前世持ちなのか?
ところで、この【国立ユイナーダ学園】という学園は、驚く程前世の日本の学校とシステムが似ている。
そう思って、まだよく知らないこの国の事を図書館で調べた結果、なんとこの国を作ったのは、異世界転移して来た日本人の男性だったのだ!
名前は【ユイナダ トオル】。
漢字までは分からなかったが、結構お調子者だったようだ。
この国の歴史書には、かなりのやらかしが書かれている。
まるでラノベの主人公みたいだなぁ。
あ!この人、ポーラルタオ王国にも来てるんだ。
彼の事が書かれている文献を、ラノベ代わりに読んでいたら、司書のお姉さんに三年生の先輩を紹介された。
特進科のケイト・F・ボルネオールという侯爵令嬢だった。
彼女は、【稀人伝説研究部】という部活の部長で、世界各地で昔から語り継がれている稀人に関する研究をしているのだそうだ。
しかし、彼女は三年生なのでもうすぐ引退。
部活存続の為に、司書のお姉さんに俺を紹介してもらったのだとか。
留学生の俺で良いのか?
と、質問したところ入部してくれるなら、留学生でも良いらしい。
早速、その日の放課後に部室へ行ってみた。
ケイト先輩の他に部員が9人。
その内先輩を含めて6人が三年生なので、引退すると4人になってしまう為、マジでギリギリだったようだ。
部活内容は、《各自でテーマを決めてレポートを書き、だいたい3か月に1回のペースで皆んなに発表する。》
という物で、別に発表しなくても良いらしい。
ある日、俺は図書館で学園出身者の書いた本のコーナーを見つけた。
何が書いてあるのか気になったので、何冊かあらすじを読んでみた。
…………………。
このエリーって言う人の書いた小説って所謂、【悪役令嬢ざまぁ小説】って奴だよなぁ。
あれ?もしかして元婚約者の令嬢達この本を参考にして自衛策を取っていたのか?
あ、BL小説まである?!
良いのか?学園の図書館にこんなの置いといて!
しかも、この人ケイト先輩のお姉さんか……
というかBL流行らせたのこの人じゃん!
で、このエミール殿下のは、【ハードボイルド物の推理小説】か真面目に書いてあるんだろうけど、俺からみたら全部ファンタジー小説なんだよ。
コレ、もしかして俺が前世の世界を舞台にした、【現代小説】を書いたりしたら、逆に【ファンタジー小説】になったりするのか?
いや、書かないけどな。