【閑話】ある女盗賊の話し
追い詰められる女盗賊団【光りの剣】!
(サミィside)
やぁ皆んな♪アタイは盗賊団【光りの剣】の参謀兼荷駄隊のリーダーのサミィだよ♪
実は今、アタイ達はもの凄いピンチで明るく自己紹介してる場合じゃないんだよ!
頭のナミが引き込んだ勘違い勇者の稀人…ケンが番の事を誤解していたのを良い事に、煽て仕事を手伝わせてたら、番の女メリーナの婚約者を怒らせちまった。
まずい事にその婚約者ってのが、ポーラルタオ王の王弟の息子で次期公爵、更に称号持ちだったんだ!
普通なら、伯爵家の四女が嫁げる様な家柄じゃない。
しかも、ケンなんかよりイケメンで将来性もあるし、何より金持ちだ!
それの何が気に入らなかったんだよ!?
アタイだったら、番の男よりそっちを取る!
何を好き好んで、A級冒険者と駆け落ちなんかするんだよ!
駆け落ちなんかしたら、将来性はゼロになるじゃないか!
ケンとメリーナを引き込んだ時点で、それに気がついてたら、こんな事にはなってなかったのに……
その時はメリーナの婚約者がそんなに身分の高い権力者だって知らなかった。
おまけにアタイらがケンを調子に乗せ過ぎて、【S級冒険者】に成れたって思い込ませたから、更にやる事がエスカレートして【みかじめ料】まで取る様になった。
コレはヤバい……
そろそろケンと手を切った方が良いと、提案しようとした矢先に、アタイ達【光りの剣】は《討伐対象》として指名手配された。
ケンが稀人だったのもまずかった……
アタイらの《討伐》に、乗り出して来たのは本物のS級冒険者達。
だからアタイは強欲なマルカを唆して、皆んなをオッハーナ騎士爵領に向かわせる様仕向けた。
あそこにある《魔道高速船》を奪って、アタイだけでも逃げ延び様とした。
けどまさか…こんな田舎騎士爵家に、一人で盗賊団の半数近くを潰せる様な奴が居るなんて聞いてない!
ナミ達の話しを聞いて、アタイは相手が誰か気がついた……
【鉄壁のロイド】だ!!
冒険者としてはB級だけど、防衛戦に置いてはS級並みの凄腕の冒険者。
B級から上がれないのは決定的な攻撃力がないからって言われているけど、実は態と昇級していないんじゃないかって噂もある。
けどたぶん、今回の件で間違いなく昇級するだろう。
とにかく向こうにロイドがいるんじゃ《魔道高速船》を奪って逃亡するのは無理だ。
メリーナを人質にして、追っ手から逃げるしかない!
そう思って、ナミを探したけどいつの間にか姿を消していた。
アイツ、アタイらを置いて逃げたな!
ナミの【隠密】スキルは全体に、バフとして掛ける事も出来る。
そのお陰で今まで何度も強盗を成功させて来た。
けど今回は相手が悪い…仕入れた情報がただしければ、勇者シルバーと狂犬ラックも参戦してる。
盗賊団全体に、バフを掛けてたんじゃ逃げきれない。
だから一人だけ逃げたんだろうけど、たぶん捕まるよ。
もうアタイらの周り、勇者シルバーの仲間に囲まれてるけど、二人とも居ないから……
「盗賊団【光りの剣】のサブリーダー、サミィだね?
大人しく捕まってくれるかな?」
アタイに声を掛けて来たのは【勇者シルバーのパーティー】の実質的なリーダー。
執事の様な格好をした、アークという慇懃無礼な男だった。
「盗賊団ですって!?何を仰っているの?
私達は正義の味方、【光りの剣】ですのよ!!」
そう、堂々と言ってのけるお花畑が、まだ一人居た。
メリーナ…あんただけだよ、未だにそう思ってるのは……
こうしてアタイらの逃亡は終わった。




