【閑話】ある冒険者の転落 2
(ケンside)
仮眠から目覚めた後、僕達はオッハーナ攻略の為に新たに計画を立てた。
まずマーサの盾に隠れて、僕のチートスキルで攻撃出来る範囲まで近付く。
届きさえすれば、僕のチートスキル【剣王】と【神速】で倒せる!
「僕達のスキルじゃもっと近付かないと、攻撃が届かない。」
「アタイの盾で絶対に旦那を守ってみせるから、安心しとくれ。」
「便りにしてるよマーサ。」
「任しときな!」
いつもながらマーサの威勢の良い声には励まされるよ。
盾に隠れて移動出来るのは僕とマーサの二人だけ……
他の皆んなは僕が奴を引き付けている間に、囚われている人達を救出する。
そうすれば僕に感謝して、礼金も弾んでくれるだろう。
また一つ、僕の勇者としての名声が高まる!
この世界に突然転移した時は凄く心細かったけど、出会った人達は皆んな親切で、お陰で僕はソロでA級冒険者になれた。
僕の能力をあてにして、パーティーに入れようと親切な振りして誘って来る奴ら(男性パーティー)もいたけど、ここは女の子から誘われるまで我慢だ!
どうせパーティーを組むなら可愛い女の子が良い。
偶にソロで出来ないクエストとかが、ある時はなるべく可愛い女の子が多いパーティーに参加させてもらった。
けどそういうパーティーって、回復役の神官が男なんだよな。
冒険者ギルドで聞いても『女だけのパーティーなんてあり得ない!いたとしたら、まだ駆け出しで神官を雇えない人達ですね。』と言われた。
けど僕はナミ達のパーティーに出会った!
僕がずっと求めていた女だけのパーティーに!!
しかも回復役の男の神官もいない。
まさに理想のパーティー。
奴隷商から救い出すと、彼女達は僕の事を好きだと告白してくれた。
今じゃ僕が憧れてたあの小説の主人公みたいに、番のメリーナやたくさんの可愛い女の子達に囲まれて、ハーレムを築く事も出来た。
その後も僕達は各地で、悪徳領主や商人から虐げられた人々を救って行った。
中には僕達の活躍に感動して、活動資金を提供してくれる人達も現れ始めた。
皆んなの為にも悪は滅ぼさ無ければならない!
僕のハーレムを壊した奴を絶対に許すもんか!!
僕とマーサは防御率を上げる為、ありったけの防御率アップの護符を防具や盾に貼り、バターケに向かった。
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(マーサside)
アタイはマーサ。
最初は冒険者をしていたのに、いつの間にか盗賊の仲間になってた。
付いたあだ名は《オーガのマーサ》。
大柄な体と持ち前の腕力、【身体強化】スキルを使って仲間を守るのがアタイの仕事だ。
《ケンを大楯で守りながら、バターケに近づき、物陰に隠れながら襲撃者に攻撃させてる間にアタシらは逃げる。》
そういう計画だった。
けどまさか…バターケに入れずに行くてを阻まれるなんて!
突然矢や槍の襲撃が止んだから、チャンスだと思ってたのに……
「クソッ!何なんだよ?まるでバリアが張ってあるみたいで、先に進めない!!」
「《バリア》って何だい?」
「一種の結界みたいな物だよ!マーサは少し離れてて!
僕のスキルで攻撃してみる!!」
そう言って、ケンの奴は何度もミスリルソードで《バリア》っていうのに攻撃しているけど、一向にひび一つ入らない。
「クソッ!何なんだよ?この硬さは?」
何か嫌な予感がする……
アタイは持ち前の感で、コレ以上此処に居るとマズイと判断して、こっそりとその場を離れる事にした。
ドシュ!
「ぎゃあ〜!!痛い、痛い!!」
逃げようとしていたアタイの足に、突然上から槍が降って来た。
えっ?何で⁇
「マーサ!!」
ケンがアタイの所まで走って来て、次の槍はなんとか防いでくれたけど、この足じゃ皆んなの所に戻れない。
「おや?残念…… 。後1人で金貨10枚だったのになぁ。」
そう言って、アタイ達の前に現れたのは稀人特有の姿をした男じゃなかった。
8/2510時に新作を投稿します。
(仮)天然ボケ猫王子は修行中〜回復役は男の神官より聖女の方が良いそうです。
https://ncode.syosetu.com/n6024gl/1/
☆回復役の神官が、男性神官ばかりだった理由は、この作品を読んで頂けるとわかります。




