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【閑話】ある冒険者の話し 4

今回はかなり残酷なシーンがあります。

ご注意下さい!

(ロイドside)



コレで3人。



他の連中はまだ防衛範囲外。

無理に攻撃して、手の内を晒す訳には行かない。

アイツらが来る前に、出来るだけ矢や槍などの補充をし、トラップを仕掛けておこう。



一応、裏にある山側にもトラップは仕掛けて置いた。

いくらオレでも、同時に何箇所からも攻められたらカバーしきれない。



【光の盾】は凄いが維持するのに大量の魔力がいるから、最後の手段だ。



とりあえず使った分の矢や槍を、多めに補充してから少し眠ろう。



翌朝、朝飯を食べながら【地図アプリ】で、アイツらの位置を確認する。

昨日倒した、盗賊の死体を使った罠の辺りで何人か固まっている。



ちょうど良い…今なら何人か狩れる!



領主館の物見櫓から、アイツらの居る方に向かって人数分の矢を放つ。

数秒後に3人に当たったが、他は弾かれるか避けられた。



残念…もう少しイケると思ったんだがな。

今、俺が使ったのは鉄製の矢に、ちょっとした仕掛けがしてあるんだが当たらなかったら意味がない。



!!!



チッ!今度は裏側か!

だが、そっちにはトラップがある。

そう簡単には抜けさせない!



案の定、もたついてる間に仕留めていく。

何人かは倒したが通常の矢じゃコレが限界か?



さて次はコイツ…槍。

超高速で飛んで行くから、そこら辺の防具じゃ防げないぜ!



やった!当たりだ!!

アイツらは全員、賞金首だから倒せば倒すほど儲かる。



この金を貯めて結婚資金にするんだ。



――――――――――――――――――――――――



(ケンside)


昨日の夜、偵察に行ったベッティとマルカが帰って来なかった。

心配したアニーも『様子を見に行く。』と言って、出て行ってそれきり帰って来ない。



「どうせサボってるんだよ。あの3人だし♪」



と僕の数歩前を歩いていたエイシャが、明るい声で話す。

彼女は元ダンサーで、スレンダー美人。



「この辺りは()()()()()()()()()()()()から、きっと獲りにでも行ってるんですわ。」



ハーレムメンバーの中でも博識で上品なサマンサが、また新しいこの世界の事を教えてくれた。



「へぇ〜()()()()()()()()()()()()なんて、流石は異世界だなぁ。」



やっぱり世界が違うと、こういう常識は変わってるんだな。



のん気に会話しながら進んでると、街道から少し外れた所に立ってるアニーを見つけた。



それを見つけたお調子者のラキが、笑いながら近づいて行った。



「もう、アニーってばこんな所で何やって…… 。」



ドスッ!ドスッ!ドスッ!



突然どこからか、音も無く矢が飛んできて僕の数歩前を歩いていた、エイシャや隣りを歩いていたサマンサ、アニーに近付こうとしたラキを貫き、3人はそのまま倒れてしまった。



僕はナミに手を引かれて間一髪で助けられ、何とか避けられた。



「み…皆んな!」



皆んなを助けようと近づこうとしたら、ナミに止められた。



「近づいちゃダメだよ!もう皆んな死んでる!

たぶんアレは即死の矢(※1)だよ!」



3人は倒れてピクリとも動かない。



「えっ!?そんな!」



動揺する僕に、ナミが説明してくれたのは犯人の残酷な罠だった。



「あそこにアニーの死体を置いといたのも罠だったんだよ!

心配して近づいて来た、仲間を殺す為の囮りだよ。」



こんな残酷な罠を仕掛ける奴は間違いなく、悪人だ!

慌てて後方にいる、荷駄隊のいる方まで戻った僕達は、皆んなに状況を伝えた。



「そんな…酷いわ!いったい誰がそんな酷い事を!?」



体力が無いから荷駄の馬車に乗って付いて来ていたメリーナが、顔を青ざめさせながら聞いて来る。



「たぶん…あたしの村を襲った奴だよ……。」



そう言えば、ナミが前に話してくれた状況と似ている。



「えっ!?じゃあ、オッハーナにナミの盗賊団(家族)の仇がいるってのかい!?

絶対に許さない!よくもアタイの仲間を!!」



馭者をしている大柄で男まさりのマーサが、仲間の死にショックで今にも倒れそうなメリーナを支えながら、憤っている。



そうか…僕の大事なこの世界のハーレム(家族)を殺した奴が……



「ナミの家族の仇。いや…たった今、奴は僕のハーレム(家族)の仇になった!」



僕の大事なハーレム(家族)…アニー、エイシャ、サマンサ、ラキ…… 。

皆んなの仇は必ず討つ!



「そう言えば、ベッティとマルカは?」



そうだ!まだ2人が見つかって無い。



「たぶん…2人共とっくに殺られてる。

今、あたし達を攻撃してるのが村を襲った奴なら。

ケン!あなたなら皆んなの仇、討ってくれるよね!?」



目に涙を浮かべてナミが俺に頼って来た。



「あたりまえだ!!僕の愛する皆んなをこんな残酷なやり方で殺すなんて、絶対に許さない!!」


「そうですわ!皆んなの仇を討って、悪人を懲らしめなければいけません!」



メリーナも賛同してくれた!

流石は僕の番だ!!



「メリーナの言う通りよ!私達、義賊【光の剣】の力を見せつけてやりましょう!!」


「さぁ!反撃開始だ!!

悪人め!もうお前の好きにはさせない!!」



僕のハーレムの邪魔をする奴は許さない!


 

「「「「おぉ〜!!」」」」



《こうして、元A級冒険者ケン・ワタヌキはこの世界のルールを勘違いし、女盗賊達に利用されている事にも気づかず、自ら最悪の事態を招いていくのであった。》



――――――――――――――――――――――――

※1


当たれば絶対に死をもたらす、呪いの矢。

コピーするのに、時間と魔力が掛かるので量産は難しい。

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