【閑話】義賊の少女
今回もグロ注意。
ちょっとだけナミの話しを書き足しました。
(盗賊side)
あたしの名前はナミ。
盗賊団・義賊【光の剣】のメンバー。
盗賊団なのに名前が変?
仕方ないのよ。
今、この盗賊団を仕切ってる奴が、とんでもない勘違い男でさぁ。
自分の事を勇者で正義の味方だと思いこんでるんだから。
前は女盗賊団だったんだけど、仕事をしくじって仲間がレモ男爵領の騎士団に捕まって困っていた時に、あたしの見た目に騙されて話しを訊いて来たのがコイツとのきっかけ。
あたしの見た目って人畜無害な小動物的な感じなんだよ。
今まで、人の良い金持ちの家に入りこんでは仲間を手引きしてたんだけど、今回はバレちまった。
昔、あたしが仕事で潜り込んだ事がある商会にいた奴に、町で偶然見つかったのが原因。
こっちはまったく気がついてなかったけど。
それで今回の仕事先に、仲間を引き込もうとしたら待ち伏せされてて、あたし以外の仲間が全員捕まった。
お頭や幹部連中のほとんどは騎士団に殺され、生き残った仲間も犯罪奴隷として、奴隷商に売られた。
何とか助け出そうとしてたところに現れたのが、勘違い男のA級冒険者ケン・ワタヌキ。
婚約者のいる番の伯爵令嬢と真実の愛の為に、逃避行を続けているんだとか……
馬鹿だコイツら。
しかもこの男、稀人で番の事とかいろいろ勘違いしている。
都合が良いからコイツを利用する事にした。
いつも同情を引く為に、お人好しな連中にしている話しをしたんだ。
より同情を引く為にちょっとばかり脚色したけどね。
『あたしの名前はナミっていうの。
実はあたしの仲間が奴隷商に捕まって、もうすぐ別の町に連れて行かれちゃうんだ!
家族を一度に無くしたあたしの大事な仲間なの!
えっ?あたしの家族の話しが聞きたい?
いいけど長くなるよ。
あたしが子供の頃家族と住んでいたのは、山奥にある盗賊村でね………
母さんはあたしを産んで直ぐ亡くなったけど、働き者の父さんと優しい兄さんと平和に暮らしてたんだ。
時々、大人達が何人かで外に盗賊の仕事に行って沢山の商品(人間含む)を持ち帰って来てた。
持ち帰って来た商品は村の皆んなで分けたり、余ったモノは遠くの町に売りに行ってたわ。
ある日、盗賊の仕事に行った人達が予定の日を過ぎても、村に帰って来なかったの。
その中にはあたしの父さんと兄さんも居たわ。
兄さんは初めての盗賊の仕事だった。
『お土産を持って帰るから。』
そう言って笑顔で出かけて行ったのに……
それから直ぐだったわ。
お頭が『アジトの場所を移す!ずらかるの準備をしろ!!』
その号令で皆んな慌ててずらかるの準備に取り掛かったの。
あたしも持てるだけの荷物をかき集めてたら、急に外が騒がしくなって、こっそり覗いたら何人かの人達が地面に血を流して倒れてたの。
父さんの留守中いつも親切にしてくれてた、隣りのおばさんは頭と胸に矢が刺さって死んでた。
いつも明るくて、皆んなに盗賊の仕事のやり方を教えてくれてたドム爺は背中から槍が刺さって、立ったまま死んでたの。
あたし、怖くて家から出れなかった。
矢や槍の攻撃が止んだと思ったら、今度は鎧を着た騎士や兵士がやって来て、さっきの攻撃から生き残った皆んなを襲いだしたの。
間違いなく、アレはあの辺りを治めている領主の兵士達だった。
アイツら盗賊団が溜め込んでた掠奪品が狙いだったんだ。
あたしの友達や逃げられなかった村の皆んなも、大勢捕まったわ。
お頭や残ってた村の幹部の人達は戦ったけど、訓練されてる騎士や兵士には勝てなくてどんどんやられていった。
それでもお頭は最後まで、あたし達を逃す為に戦ってくれた。
だけどまた何処からか飛んで来た矢や槍で、ハリネズミみたいになって死んじゃったわ。
その時、あたしは見たんだ!
騎士達と一緒にいる兄さんを!!
皆んなを裏切って、村に騎士や兵士を引き入れたのは、兄さんだった!
あたしは見つからない様に必死で逃げた。
一人になったあたしを助けてくれたのが、今の仲間達なんだ。
だからお願い!
仲間を助けるのを手伝って!!』
あたしの話しを聞いた、ケンとメリーナは涙を流して同情し、奴隷商の襲撃に手を貸してくれた。
ほんとに助かったよ。
あんた達が世間知らずのバカで♪
因みにあたしに兄さんなんて人は居ないww
救出した仲間と色仕掛けでケンをチヤホヤしたら、『異世界転移お約束のハーレムだ♡』
なんて喜んでる。
メリーナも『もちろん私が正妻ですわよね♡』なんて言ってるし。
今じゃコイツらが、いつあたしに騙されてる事に気づくか仲間内で賭けをしてる。
因みにあたしは最後まで気づかないに一票だよ。




