1 プロローグ
今回から、新しい章が始まります。
いろいろあったけど、やっと帰って来たぜ!
とりあえず、ミーコちゃんを猫キャリーバッグに入れ、他はインベントリに収納。
《インピジブル》で借りている屋敷に帰って来た。
いや〜疲れたなぁ。
本当はお風呂とか入りたいけど、こっちはもう夜中だし《浄化》を掛けてから寝る事にしよう。
おやすみなさい……
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(翌朝)
「ジョナサン様!ジョナサン様起きて下さい!!
本国の旦那様から《直ぐ帰国せよ!》とのご命令が!!」
な…何!?
今まで、一度もそんな命令無かったのにいったい何が?
「解った!直ぐに支度する。テレーゼ達はどうするのだ?」
「テレーゼ様の執事レイソンには私から説明をしてありますので、後は彼に任せて大丈夫でしょう。
《ジョナサン様と私だけ先に帰国する様に!》との事です!」
何だろう…凄く嫌な予感しかしないんだが……
とりあえず荷物を全部インベントリに収納だ。
もちろん大事なミーコちゃんの入った猫キャリーバッグは別だがな。
執事も俺を呼びに来る時に、自分の荷物は既にマジックバッグに入れているだろうから、早朝で申し訳ないが、ロピアー次期公爵夫妻に挨拶だけはしておこう。
その後、俺は既に起きて庭で素振りをしていたロピアー次期公爵に、《緊急帰国命令》が出た為帰国する事を伝え、妹達の事を頼んだ後、ズーラシアン王国王都の転移が許可されている冒険者ギルドから執事と2人、ポーラルタオの公爵邸に転移した。
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(ポーラルタオ王国王都チェイテス公爵邸)
公爵邸の前に転移した俺と執事は、待ち構えていた王都屋敷の執事に案内され、執務室に向かった。
コンコン!
「旦那様!若様がお帰りになりました。」
「うむ…入りなさい。」
直ぐに入室許可が出た。
「父上!ジョナサンです。只今戻りました!!」
「早かったな…
《転移》スキルというのは本当に便利だな。
疲れているだろうから、とりあえず座りなさい。」
父上の様子がおかしい……
いったい何が起こったんだ?
俺がソファーに座った後も、父上がなかなか話し掛けて来ない。
「あの…父上?」
俺は不安になって来た。
まさか今更、《やっぱり俺が偽物だった。》何て話しじゃないよな?
「実はな、ジョナサン…
今朝方、ネーブル伯爵家から手紙が届いたのだ。」
ネーブル伯爵家から?
あ、ネーブル伯爵家って言うのは公爵領の隣りにある俺の婚約者のお嬢様の家だよ。
まさか、お嬢様に何かあったのか?
「ネーブル伯爵家の令嬢メリーナ嬢が4日前に《番の冒険者と駆け落ちした》そうだ。」
へ!?
《番の冒険者と駆け落ちした》だと!!
「その際、公爵家からメリーナ嬢に送った貴金属類等、金目の物を全て持ち出しているそうだ。
どうやら相手の男はアイテムバッグかアイテムボックスのスキル持ちらしい。
更に稀人だという噂もある。
伯爵家でも直ぐに捜索隊を出したが、今のところ見つかっていないと書いてあった。
で、これがメリーナ嬢の書き置きの写しだ。」
《ジョンへ
私、真実の愛を見つけました。
お相手は私で番、A級冒険者ケン様です。
【番同士なら何をしても許される】というルールがある事をケン様から教えて頂きましたの。
ですから私、愛するケン様と以前から憧れていた旅に出ます。
ジョン、今まで貢いでくれてありがとう。
メリーナより。》
ほほう…随分と舐めた真似してくれたじゃないか……
お嬢様のお陰で、俺は今の地位にある。
もちろんその事には感謝している。
だがそれとこれとは別問題!
俺を怒らせたらどうなるか、思い知らせてやる!!
【番同士なら何をしても許される】だと!?
そんなルール自体この世界にねえよ!!
もう相手の男、稀人か転生者なの決定な!




