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21 異世界から帰ります! 3

墓参り…というか自分参り……



まさか自分で、自分の墓参りに来る事になるとは思わなかったよ。

こんなのラノベの世界だけだと思ってた。



どうやら先に両親達が来てたみたいだ。

俺の事件の捜査が始まった事を、報告に来たんだろう。



自分の墓に花を供えて、帰ろうとしたところである意味一番会いたくなかった人物とすれ違った。

あの事件が無かったら、プロポーズする予定だった2歳下の彼女だ。



たぶん事件の捜査が行われる事を、何処かで聞いたんだろう。

もう会う事もないだろうけど『どうか彼女が幸せに暮らしていけます様に。』とこちらの神様にお願いしておこう……



『出来れば彼女と結婚したかった……』

と、いかんいかん!

今の俺には向こうに婚約者がいるんだ!



不自然にならない様にそっと彼女を見送る。

あゝでも墓前の花と線香で、供えたのが俺だって気づくかな?



気づかれる前に隠れた方が良いな。

何しろ寺まで1本道だ。



案の定、バレた。

彼女が慌てて俺を探している。

見つかった時の上手い言い訳も見つからないので、仕方なく転移魔法で一旦神社に帰る事にした。



まさかこの時の俺の呟きが、この後大変な騒動を巻き起こす事になるとは思ってもいなかった。



――――――――――――――――――――――――



「あれ?お帰り…早かったな。」



神社に帰ったら公明に声を掛けられたので、前世の彼女…松下(あかり)と寺で会った事を話した。



「松下さんか……

そう言えば彼女…まだ独身だぞ。」



えっ!?そうなの?



もう3年も経つんだから、俺の事は忘れて幸せになって欲しい。



「彼女、かなりのオタクだろ?

それを隠してお見合いしても、途中でバレたり同じ趣味の相手でも着いて行けなくて破談になっているんだ。」



はい?独身の理由ってそっちなの?

というか公明やけに詳しいな。



「薫のオタク仲間だからな。」



としれっと教えてくれた。



「彼女に着いて行けたのはお前だけだ。」



死んじまったんだから仕方ないだろ……

その後はする事もなく、薫さんが沙紀君を回収して来るまで、2人でいろいろな話しをして過ごした。



夕方の5時過ぎになって、薫さんが沙紀君を連れて帰宅。

その後4人で薫さんが買って来てくれた、稲荷寿司を食べながら、自己紹介をする事にした。



「えっ!?じゃあ君が晶の言ってた異世界の人?」


「そうだよ。俺はポーラルタオ王国、チェイテス公爵家の嫡男ジョナサン・F・チェイテス18歳だ。

今すぐは無理だけど、君だけならとりあえず専属料理人として先に行く事も出来る。

もう知ってると思うけど、犬井さんは仕事の都合で暫く退職するのは難しいと思うし…… 」



その後、沙紀君といろいろ話した結果、犬井さんと相談してから決める事にした。

まぁそうだよな。



で今回父親と喧嘩して家出して来た訳だけど、公明が矢澤に電話した結果、暫く神社で預かる事になった。

沙紀君の着替えも後で届けてくれるそうだ。



9時過ぎには着替えを持って矢澤がやって来た。

もちろん俺は会わない様に隠れていた。

矢澤は弟の性癖について、何か言うつもりは無いらしい。

沙紀君の荷物と猫のお世話セットを置いた後、公明達に『弟を宜しく頼む。』と言って帰って行った。



アイツも昔よく、俺と一緒に燈が書いたネット小説とか読まされてたから、多少耐性があったからかもしれない。



30分くらいして今度は犬井さんが来た。



「良かった間に合って!

事件の本格的な捜査は明日からになるので、今日は解散になりました。

何か事件の証拠になりそうな物とかあります?

出来れば当時、首藤が正気だった証拠とか!」



見送りに来てくれたんじゃないんだ……

仕事熱心だなぁ。



「事件が早く解決すれば、それだけ早く退職出来るんでね。

沙紀とイチャイチャする時間も取れますし。」



その台詞を聞いて顔を赤らめている沙紀君。



あゝそう……



「そうだなぁ……

本当はあの時、あの男の髪の毛とか掴んで握ってたんですけど雨で流されたらしいし……

あ!そうだ!!親父達の部屋の天袋の隅に奴からアイラや俺宛に届いた手紙がある。」


「「「「何でそんな所に置いとくんだよ(ですか)?

普通、自分の部屋じゃないのか?」」」」



皆んなに怒られた。



「もし奴に家に入り込まれて、見つかったらまずいと思って。

よくあるだろ?本人の留守中に、ストーカーが家に侵入とか?」


「お前の家は大概誰か居るだろ!」


「そんな証拠が有るんだったら、もっと早くに事件解決してただろ!!

何故そんな解り難い場所に!?」 


「ドラマの見過ぎです!」


「何で早く出さないんですか!?」



とか凄く怒られた。



さて、そろそろこちらの世界に来て丁度1週間後の時間になるので帰らせていただきます。



部屋から荷物を持って来て外に出る。



「いろいろ世話になったな。

あっちに来た時はお返しに大歓迎するよ!

じゃあ、日にちが決まったらモフ神通信で連絡してくれ♪

じゃあ元気でな!!」


「あゝ…お前もな。

あっちで会えるの楽しみにしてるよ。」



足元に魔法陣が現れ、皆んなに見送られて俺は元の世界に帰った。



直前に皆んながが何か言っていた気がしたが、何を言っていたんだろう?



こうして俺の1週間という、短くも有意義な異世界旅行は終わりを告げた。



スリスリ……



突然、足元から何かの気配がして驚いて下を見るとそこには……



えっ!?何???

恐る恐る下を確認すると、足元には沙紀君の飼い猫で茶虎の《ミーコ》がいた。



アレ?もしかして最後に皆んなが何か言ってたのってコレだったの?



「ニャ〜ン♪」



とりあえず確保。

居なくなったりしたらやばいし……

暫くして、モフ神通信で手紙と猫キャリーバッグとお世話セットが届いた。



《そちらへ行くまで暫くミーコの世話をお願いします。沙紀。》



残念ながら、モフ神通信で植物以外の生き物は送れない。

仕方ない沙紀君が来るまで預かって置くしかない。

一応これでも猫神様の眷属だから、何とかなるだろう。







異世界編はこれにて一旦終了。


公明や薫ちゃん達とは暫しのお別れです。

閑話を挟んで、新章が始まります!

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