20 異世界から帰ります! 2
とりあえず胃薬は買った。
これだけ有れば当分は大丈夫…たぶん。
さて、そろそろお昼だし愛コーヒーに行こう♪
行って来ました。
残念ながらマスターは既に引退していて、息子さんが店を経営していた。
なのでグァテマラはあの頃のままだったけど、タラコパスタはやはりイマイチ何かが違う……
美味しかったけどな。
実は俺、息子さんの方とはあまり付き合いが無い。
ちょうど彼が店に入った頃から、仕事が忙しくなってあまり来れてなかったんだよ。
あゝ本当に残念だ……
その後はまた、昔遊んだ公園とか図書館とか思い出の場所巡り。
途中で公明とは別の幼馴染みの矢澤が後を継いでる、ケーキ屋にも寄ってみた。
昔はただの町のケーキ屋だったが、改築してお洒落な店になってた。
パティシエは父親と矢澤…とあれは矢澤の弟かな?
矢澤は父親似でちょっと厳ついタイプだが、弟の方は細っそりした美人だ。
確か名前は…沙紀君だったはず。
どうやら父親と揉めていたみたいだ。
タイミングの悪い時に来たらしい。
「もういいよ!俺、この家出て行くから!!」
「出て行くって、どこに行く気だ!?」
「晶の所に行く!」
「なんだと!?お前まだあの男と付き合ってたのか!?」
おやぁ?もしかして犬井さんのパートナーのパティシエって彼だったの?
親子喧嘩の最中ちょっと店に入りづらい……
いろいろぐるぐる考えている間に彼…矢澤沙紀君はリュックと上着と猫キャリーバッグを引っ掴んで、出て行ってしまった。
えっ?それも持って行くの?
どうしよう…犬井さん今、帳場が立ってるから電話出れないよな。
それに犬井さんって独身だから、家って警察の独身寮だ。
転がり込むのは無理がある。
仕方ない…沙紀君を捕まえて、とりあえず公明に預かってもらおう。
でも彼と俺は初対面。
どうすれば?
そうだ!鈴木家も矢澤のケーキ屋に出入りしてるから、公明か薫さんに彼の回収を頼もう。
犬井さんには後でメールでもしておくか……
さて…先程までの事は見なかった事にして、矢澤ん家のケーキ食べて帰るかな。
因みに俺が好きなのはモカケーキとマドレーヌ。
公明は苺ショートが大好きなのでお土産に買って帰ろう。
お土産…あ!?
ヤータ様達のお土産忘れてた!
ヤバイヤバイ!
あの方達の好意でこっちに来れたんだから、ちゃんと買って帰らないとね!
その様子はまた後日……
と…俺凄く大事な事忘れてた。
公爵家の両親とか婚約者のお嬢様と伯爵家の人達のお土産。
殆どはコーヒー豆で済ませるにしても、何か形に残る物を渡さないとまずいよなぁ。
特に婚約者には。
仕方ない…ショッピングモールに行こう。
あそこなら大抵の物は有る。
問題は物によってはあちらの物の方が、物が良かったりする事だ。
万年筆とかあっちの方が良い物がある。
しかし、俺は良い物を見つけた!
蒔絵の万年筆だ!!
流石にコレはあっちに負けてないと思う。
父上達のお土産に最適だ。
母上達には蒔絵の簪。
婚約者のお嬢様にはピンク真珠の髪飾り。
こっちでは割と手に入りやすいが、あっちで粒を揃えてこの数を集めるのは難しい。
帰ったら《保存》の魔法をかけないとな。
真珠って経年劣化するんだよ。
他にも数点アクセサリーや日本的な物を購入し、この前行ったアクセサリー材料のお店や本屋に寄って帰った。
後は墓参りして帰ろう。




