閑話 私の側近の話し2
私と同い年だった聖女アリスも当然、【鑑定】を受けた。
その結果、アリスの【身分詐称】が発覚した。
【聖女】どころか【悪女】【逆ハーレムヒロイン】【傾国の魔女】等、碌でもない鑑定結果が判明したのだ。
何故直ぐに判明しなかったのかというと、取り巻きの1人、神官長の嫡男が係りの神官を脅して事実を隠蔽していたからだ。
そしてあの、学院の卒業パーティーの日、兄上は茶番劇を引き起こした。
それにしても、自分達の婚約者であるご令嬢方が、学院高等部に進学していなかった事すら、気づいていなかったとは、呆れてものも言えない……
中には学院に入学すらしていなかったまだ幼い婚約者のご令嬢に、『高等部にいるアリスを虐めた。』とあきらかな冤罪を掛けた者もいた。
騎士団長の次男ブレディーだ。
卒業パーティーの数日前に件の神官が、良心の呵責に耐えかね王城に『畏れながら…… 』と訴えて来た事もあり、王城でも彼等の行動を調査していた矢先の事だった。
兄上の婚約者だったローラ嬢達の協力も有り、兄上達のずさんな茶番劇は呆気なく幕を閉じ、お陰で事前に国難を防ぐ事が出来た。
その結果…第1王子派は多数の逮捕者を出す事になり、アリスは永久追放。
兄上やその側近候補達の婚約者達との婚約は全て白紙となり、多くの者は廃嫡や追放となった。
もちろん、彼等の実家も監督不行き届きとして爵位を落としたりその地位を追われたり、爵位を返上する事になった家もあった。
兄上は去勢されて北の塔に幽閉され、神官長の元嫡男は【国家反逆罪】で公開処刑になった。
それに比べてアリスの罰が甘いと感じるかもしれないが、決してそんな事は無い。
【嘘を付けば身体が黒く染まり、鑑定等せずとも犯した罪が表示される】という呪いをたまたま我が国に次期神官長の選定にいらしていたエルフの血を引く枢機卿に掛けて貰ったのだ!
そして私はその半年後、運命的な出会いをした。
こんなに可愛いいご令嬢がまだ婚約者も無く、お一人でいたとは!!
彼女はあの、兄上の元側近候補ブレディーの元婚約者だった。
私は初めて本当の恋をした。
と同時に失恋した、つい最近婚約したばかりだそうだ。
危うくアリスと同じ事をするところだった。
え?テレーゼの事は良いのかって?
彼女は私の事に全く感心が無い……
私の派閥に、ちょうど良い年頃で身分の釣り合う相手はテレーゼしかいなかった。
どうも皆、何時も一緒にいたので、彼女と私が婚約するものだと思っていた様だ。
残念ながら、彼女が私と一緒にいたのはランディーと一緒にいたかったからだ。
その彼女テレーゼは今、事件から半年後に見つかった本物の従兄弟ジョナサンを追って、同盟国のユイナーダ王国の学園に留学している。
その従兄弟ジョナサンが後数ヶ月で帰国する、
テレーゼが帰国するのは来年になる。
帰国したら学院に数ヶ月、席を置く事になっている
。
それはユイナーダ王国の学園と我が国の学院の、入学時期がずれているのが原因だ。
帰国後ジョナサンが、私の側近になるのは決定事項。
彼とは2〜3回会って社交的な挨拶をしたきり。
この様な複雑な事情を含む私と彼……
果たして上手くやって行けるのか、不安である。