【閑話】 婚約を白紙にした公爵令嬢の話し1-2
私の感想を聞いた、ハインツお兄様はとても真剣な表情で、仰いました。
「この話は【荒唐無稽】ではなく、実際にユイナーダ王国の学園で実際に起きかけた事件なんだよ。」
え?!
「幸いにも、この小説でいうところの攻略対象とされる方々は皆様真っ当な貴族男性だったし、婚約者の令嬢方も自称ヒロインの計略に引っかからなかった。」
まぁ!流石は稀人が建国したと云われるユイナーダ王国ですわね。
「ある方達のお陰で、自称ヒロインの思い込んでいた設定と、随分かけ離れていたというのが、一番の原因だけどなww」
(シリーズ⑧⑨参照)
まぁ、そうなのですか。
「それから【聖女の♡異世界学園生活2】に出て来る第二騎士団次期団長は、私だよ。」
は?!何ですかそれ?
「もちろん実際には第二騎士団の次期団長は全く別の方だ。
第一と第四はほぼ世襲制だが王都の警備をしている第二と、魔物の討伐を主にしている第三は実力主義、親が団長だからといって必ずしも継げる訳じゃない。
それに私は次男だからね。」
えっと…確かお話しの中でのハインツお兄様の役所は、【荒れ果てたスルガナ子爵領から王都に出て来たばかりのヒロインが迷子になっているところを王都の警備をしていて助けたのが縁で知り合う。】とありますわね。
でも、実際はエミール殿下の護衛騎士で第二騎士団では有りませんからヒロインと王都で知り合う機会は有りませんわ。
「他にも王都で知り合うはずだった、行方不明の妹を探しているウサギ獣人の【暗殺者】の青年は随分前に、兄妹共にズーラシアンの伯爵家令嬢に保護されているよ。
数年前にご令嬢と一緒にズーラシアン王国に帰国してるから、ユイナーダ王国には居ないし。」
まぁ、良かったですわ。
それではお話しの様に【暗殺者】に為らなかったんですね。
「そもそも、2の自称ヒロインのいうスルガナ子爵領で起こった魔物の氾濫の原因の【キングモグラン】が現れなかったんだ。
だから当然、多少魔物が増えた程度で魔物の氾濫も起こらなかった。」
【魔物の氾濫】が起こらなかったのは、良い事ですわね。
「自称ヒロインは、『魔物の氾濫の時に助けてくれたS級冒険者にお礼を言いたくて。』と言って攻略対象の彼に近づいたんだ。
しかし起こらなかった事件なので、彼には当然全く心当たりがない。
既にボルネオール侯爵家に婿入りが決定しているから自称ヒロインと恋愛は無いだろ。」
それはそうでしょうね。
七男で筆頭魔法貴族家に婿入りが決定しているのに態々平民の娘と付き合って、人生を棒に振る方は居ませんわよ。
そう言えば、どうして【キングモグラン】は現れなかったのでしょう?
「あゝそれな……昔ローラがユイナーダ王国の私の家に遊びに来た時、牧場に遊びに行っただろう。
その時、大量の【モグラン】が発生して一緒にいた皆んなと【モグラン叩き】しただろ。」
確かにやりましたね。
【モグラン叩きゲーム】(リアル版)。
あの時お友達になった、ご令嬢達やその婚約者の方々と一緒に……
その中の赤毛のご令嬢から【モグラン叩き専用ハンマー】(お友達作)を借りて皆んなでやったゲーム、凄く面白かったですわね。
「あの時、白いモグランの事をローラが教えてくれただろ?
本来ならソイツが生き延びて【キングモグラン】になる筈だったんだけど、倒しちゃったから(苦笑)」
あらまぁ何というか……
ヒロインさん的にはお気の毒ですけど被害が【牧場の野菜畑だけ】で良かったですね。
【魔物の氾濫】が起こったら被害が甚大ですもの。
「結局、自称ヒロインは、お話しの中でS級冒険者のトラウマになっていたはずの侯爵令嬢に対する、度重なる不敬罪で処刑されたよ。」
「ところでローラはこの話の【悪役令嬢】の様にはなりたく無いよな?」
もちろんですわ!
もう少し続きます。