狐と狼と 2
お待たせしました!
(犬井視点)
こんにちわ……
犬井 晶だ。
恋人の矢澤 沙紀からは、晶と呼ばれている。
元の世界では日本の某所轄で、刑事課の警部補だったのだが、ある事件でネイサン君と知り合い異世界に移住するチャンスを貰った。
俺の家系が大神の血筋なので、コレは非常にありがたい話だった。
当然、日本の神なので本性は【ニホンオオカミ】がベース、体格は中肉中背で髪色は茶色。
『風紀がどうのこうの』と煩いので、警察官だった頃は仕方なく黒く染めていた。
ドラマみたいに茶髪の警官なんて、処分対象だから。
それに俺とペアを組んでいたベテランのヤマさんこと山田巡査部長は、そういうのには厳しかった。
因みに俺の本性である【ニホンオオカミ】は絶滅種なので、獣化した姿で現代で見つかると、非常にまずい事になる。
それと恋人の紗紀の事もあって、仕事を辞めてこっちの世界にやって来た。
まぁそれは置いといて、こちらの世界で生活するにあたって、まず就職先を探さなければならない。
ネイサン君の伝で、そのままチェイテス公爵家の護衛として就職する予定だったんだが、公爵に『こちらの世界での実績がない』事を理由に、直ぐにという訳にいかなくなった。
そこへ『第一王子の元側近達によるクーデターを阻止せよ!』と、王家からチェイテス公爵家に命令が降ったのだ。
公爵は、『この仕事を就職試験とし成功させれば、雇ってくれる』と約束してくれた。
因みに紗紀の方は、持参したお菓子を公爵夫人に披露して、公爵家の伝で政商の経営するお店でパティシエとして修行を始めた。
将来的には自分の店を持つ予定で、毎日頑張っている。
俺も頑張らないとな……
それにしてもコイツら警戒心薄いな、こんな緩い警備じゃ覗き見し放題だ。
この廃村、彼らの行動範囲以外は荒れ放題。
その為、潜伏する場所に事欠かない。
念の為、見つかり難いように狼の姿で隠れて待っていると、俺が隠れている草むらの向こうから、ガサガサと音がして見張りの交代要員として#神孤__キツネ__#が4匹やって来た。
その中には空狐のタグチさんもいた。
「犬井さんお疲れ~♪」
八本の尻尾を揺らしながらやって来た彼…タグチさんはその軽い口調にも関わらず流石の貫禄だ。
「あ…タグチさんお疲れ様です。
公爵家の家臣じゃなく、あなた方が態々来たという事はやはり…… 」
「はい♪この3匹が彼らと入れ替わります。
見張り兼観察です。
私は見張り兼指揮官として参加します。」
一緒に来た神孤達も、どういう基準で選ばれたのかよくわからないが、この異世界ツアーに当選しただけあって、かなり優秀らしい。
それぞれ自慢の六本の尻尾を揺らしている。
俺は彼らと情報共有した後、一旦ネイサン君達がいるウチニーク商会に戻る事にした。
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※1
【|矢澤 紗紀【やざわ さき》】
第4章 異世界編に登場した、ネイサンの前世の親友の弟。
実家は地元で人気のケーキ店。
職業 パティシエ。焼き菓子が得意。
お察しの通り男の娘である。
※2
【平成・英弘ストーカー殺人事件】
平成から英弘に掛けて、ストーカーや傷害事件を繰り返し、遂には被害者女性の家族が殺害された事件。
詳しくは第4章 異世界編参照。
※3
【ニホンオオカミ】
脊椎動物亜門哺乳類綱ネコ目(食肉目)イヌ科イヌ属に属する。
絶滅種。体長95 - 114センチメートル、尾長約30センチメートル、肩高約55センチメートル、体重推定15キログラムが定説となっている。
他の地域のオオカミよりも小さく中型日本犬ほどだが、中型日本犬より脚は長く脚力も強かったと言われている。
尾は背側に湾曲し、先が丸まっている。
吻は短く、日本犬のような段はない。
耳が短いのも特徴の一つ。
周囲の環境に溶け込みやすいよう、夏と冬で毛色が変化した。
(参考資料 Wikipedia)




