表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

106/110

狐と狼と 1

お待たせしました。

結局、モーダが持ち込んだ虫入りの魔石は……



「コレは画期的ですよ!」



と、あまりの技術の高さに当初の予定より、リサーがかなり食い気味で返事をしてしまった。

モーダの方も何かに気づいたらしく、契約を保留にして慌てて帰っていった。



まさかこっちの正体に気づいた訳じゃないよな?



「おい!そのまま帰していいのか?」



ライブラ伯爵と疑問に思うのは、無理もない……



「ちゃんと尾行は付いてますから、大丈夫です。」


「尾行?」


「こっちの世界に移住希望の人で、向こうでは本職の人なんです。

今回は採用試験って感じかな?


彼には、関係者全員の写真と周辺地図を見せたりして、いろいろ準備してもらっているので大丈夫です。」



彼…犬井 晶(いぬい あきら)さんは、元の世界じゃ警察官だった。

しかも階級は警部補で、刑事課だ。



こっちに来て直ぐ、モフール教(※1)の教会で【祝福(※2)】をしてもらったところ、全部は教えてくれなかったが追跡者(スニーク)と狙撃のスキルが付いているそうだ。

おそらく2つ共、前職の影響だろう。



俺としてはそのまま雇っても良かったんだけど、公爵家の当主である父親から『こちらでは何の実績も無いから…… 』

と即採用は却下された。



『何か良い手はないものか?』

と思っていたその時に、飛び込んで来た今回の件。



ここで実績を上げれば、犬井さん(※3)をチェイテス公爵家で雇う事が出来る。



こんな即戦力の人を雇わないのは、あり得ないだろう!

しかも彼は大神()の血を引いている。



彼にモーダを尾行してもらい、彼らの潜伏先を突きとめ、出来れば()()()()()()()全員確保したいところだ。



モーダが店を出てから30分程して、犬井さんから事前に渡しておいたナカジマ氏謹製(きんせい)のスマホを使って連絡が来た。



因みにコレ、以前俺が前世の世界で使ったGPSモドキを術式として組み込み、更に暗証番号機能もある優れ物だ!



流石はナカジマ氏!

向こうの世界ではGPSも暗証番号も普通の技術だが、このファンタジーな世界で再現するのは、かなり難しいはずだ。



{アジトは、王都から北に馬車で30分くらい行った所にある廃村だ。

そこはジェーニオの作業場があって、モーダとブラッドが彼の見張りと護衛をしている。}



それを聞いた俺達は驚いた。

見張りって、どういう事だろう?



「えっ?!見張り?アイツら仲間じゃなかったのか?!」



驚いて興奮気味のアキト、逆に犬井さんは冷静だ。

こういう所はやっぱり、元冒険者と元刑事の違いだろう。



{暫く見張っていたが、どうやらジェーニオはこの計画から抜けたいらしく、度々1人しか見張りがいない時に、隙を見て逃げだそうとしているようだ。


モーダもフィリップ達を出し抜いて、金儲けを企みだした。

今までの詐欺紛いの商売と違って、今回のジェーニオの技術を使えば、かなり儲かる事に気づいたらしい。


ブラッドは脳筋過ぎて、今回の件もあまり深く考えていない。

フィリップに命令されたから、見張り兼護衛をしているだけだな。


フィリップとクレデンテは別行動をして

いるらしく、今のところ連絡も無い。}



なるほど……

2人が合流する前にモーダ達を確保すれば、今回の計画を潰してフィリップ達を捕まえる事が出来るかもしれないな。



「とりあえず、暫くしたら見張りの交代が到着するので、それまでお願いします。」


{交代か…助かるな。尾行と監視は普通、2人1組でするものだからな。}



交代要員は既に先程、その廃村に向かってもらった。

もちろんナカジマ氏謹製のスマホを持って……



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


※1


この世界で広く信じられているヤータ神を主神とする宗教。


グレーの髪の白皙の美青年神と伝えられているが、本性はかなりふくよかなグレーの鉢割れ猫。


乙女ゲームそっくりの世界だが、ヒロインがゲーム通りに行動すると、必ず失敗する。


むしろ、攻略を失敗させるのを楽しみにしている傾向が……


特に逆ハーレムは、許さないタイプ。



※2


スキルや加護などを授ける儀式。


冒険者ギルドに加入する時に受ける【スキル鑑定】とほぼ同じ仕組み。

教会の権威を上げる為と、ポーラルタオ王国の人口把握、教会の権威を上げる為に無料で5歳と15歳の時に行われる。



※3


【第4章 異世界編】に登場した某所轄の元刑事。


大神の血を引いている。

普段は隠しているが、立派な狼耳と尻尾を持つ。


()()()()()の恋人と結婚する為に、神孤達と一緒にネイサンが暮らす世界にやって来た。

9月中に【完結】を目指しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ